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商写像
商写像についてまとめておきます。
位相空間 (X,\mathcal{O}_X) と (Y,\mathcal{O}_Y) の間の
全射写像 f:X\to Y が商写像であるとは、
U\in \mathcal{O}_Y\Leftrightarrow f^{-1}(U)\in \mathcal{O}_X
を満たすことをいいます。
この矢印の右向きの条件から、f は連続であることがわかります。
全射連続写像 f が開写像であるとき、
U\in \mathcal{P}(X) が f^{-1}(U)\in \mathcal{O}_X であるとき、
f(f^{-1}(U))=U\in \mathcal{O}_Y であるから、矢印の左向きも成り立つので
商写像になります。
つまり、全射連続開写像は商写像になります。
同じようにして、全射連続閉写像も商写像になります。
しかし、この逆は成り立たず、全射連続で開でも閉でもない写像が商写像に
なることがあります。
どのような例があるか考えてみください。
例としては、数理科学2018年12月号(例題形式で探求する集合・位相10)
をみてください。
商写像はその名の通り、商集合に入る位相を定めます。
商位相
X を位相空間とし、\mathcal{O}_X をその位相とし、
\sim を X の同値関係とします。
p:X\to X/\sim を商集合を作る自然な射影とします。
このとき、p は全射となります。
p を連続とする X/\sim 上の最大の位相 \mathcal{O} を定めることができます。
\mathcal{O} は、\mathcal{O}=\{U\subset X/\sim|p^{-1}(U)\in \mathcal{O}_X\}
と定められます。
\mathcal{O} が位相であることは、すぐわかります。
このとき、この (X,\mathcal{O}_X) と (X/\sim,\mathcal{O}) の間の写像
p は商写像となります。
連続性は条件から明らかで、
反対の条件 U\in \mathcal{P}(X/\sim) に対して、p^{-1}(U)\in \mathcal{O}_X であるとすると、 \mathcal{O} の条件から、U\in \mathcal{O} となりますから、
商写像の左向きの条件が成り立ちます。
よって、p は商写像となります。
また、f:X\to Y を商写像とします。
このとき、f に従って X に同値関係 \sim_f を
f(x)=f(y)\Leftrightarrow x\sim_f y として
定義することができます。
この同値関係によって作られる自然な射影 p:X\to X/\sim_f
によって作られる X/\sim_f 上の商位相は Y と同相となります。
これは、自然な射影が商写像となる位相(商位相)が
一意的に決まるからです。
例えば、{\mathbb R} の同値関係 x,y\in {\mathbb R} が x-y\in {\mathbb Z}
によって与えられる同値関係による商集合 {\mathbb R}/\sim 上の
商位相は、{\mathbb R}^2 の単位円
S^1=\{(x,y)\in {\mathbb R}^2|x^2+y^2=1\} と同相であることがわかります。
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