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2017年5月23日火曜日

微積分I演習(物理学類)(第5回)

[場所1E103(金曜日5限)]

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今回は
  • ランダウの記号
  • ライプニッツの公式
を行いました。

ランダウの記号
ランダウの記号はこのブログで多く書いてきました。

例えば今、お隣の数学類で今年度行っている授業のブログ
2017年微積分I演習数学類第4回(リンク)
2017年微積分I演習数学類第5回(リンク)

においてもあります。
上の数学類の第5回のブログにも書いたように、ランダウの記号の計算規則(1)-(5)
があり、下にもう一度書いておきます。
それは、今回の授業中においても説明しました。

まず、ランダウの記号 o は以下のようにして定義されます。
関数 f(x),g(x) に対して、
\lim_{x\to a}\frac{f(x)}{g(x)}=0
をみたすとき、f(x)=o(g(x)) とかく。


ここでは、x\to ag(x)\to 0 であると仮定します。
意味としては、関数 f(x) は、g(x) より速く
0 に収束するということです。

例えば、微分の定義を用いれば、\frac{e^x-1-x}{x}\to 0 x\to 0 であるから、
e^x-1-x=o(x) と書かれます。つまり、関数 e^x-1-x は、x=0 において
一次関数 x より速く 0 に収束するということになります。

よって、今の例を一般化することで、f(x)x=a で微分可能であること
\lim_{x\to 0}\left(\frac{f(x)-f(a)}{x-a}-f'(a)\right)=0
を書き直せば、f(x)-f(a)-f'(a)(x-a)=o(x-a) が成り立ちます。

また、式を一部移項すれば、
f(x)=f(a)+f'(a)(x-a)+o(x-a)
とも書き表されます。

o(x-a) は、x=a において x-a より速く 0 に小さくなる関数なので、
関数 f(x) は、x=a の近くにおいて接線 f(a)+f'(a)(x-a)
にかなり近いということがいえます。

実際、接線とは、x=a において関数 y=f(x) に最も近い一次式のことですので、
直感とも合います、接線の関数のことを関数の1次近似ともいいます。
そして2次近似は、今回提出してもらった宿題にもあったように、
f(x)=f(a)+f'(a)(x-a)+\frac{f''(a)}{2}(x-a)^2+o((x-a)^2)
に現れる2次式 f(a)+f'(a)(x-a)+\frac{f''(a)}{2}(x-a)^2 です。

ランダウの記号の計算規則

(1) x^mo(x^n)=o(x^{n+m})
(2) \forall c\in {\mathbb R}, co(x^n)=o(x^n)
(3) x^{n+1}=o(x^n)
(4) o(x^n)+o(x^m)=o(x^n)\ \ \ (n\le m)
(5) o(x^n)o(x^m)=o(x^{n+m})

証明も書いておきます。
(1) f(x)=o(x^n) とすると、\lim_{x\to 0}\frac{x^mf(x)}{x^{n+m}}=\lim_{x\to 0}\frac{f(x)}{x^n}=0
(2) c\in {\mathbb R} として、f(x)=o(x^n) とすると、\lim_{x\to 0}\frac{cf(x)}{x^n}=c\lim_{x\to 0}\frac{f(x)}{x^n}=0
(3) \lim_{x\to 0}\frac{x^{n+1}}{x^n}=\lim_{x\to 0}x=0
(4) f(x)=o(x^n) g(x)=o(x^m) とすると、\lim_{x\to 0}\frac{f(x)+g(x)}{x^n}=\lim_{x\to 0}\left(\frac{f(x)}{x^n}+x^{m-n}\frac{g(x)}{x^m}\right)=0
(5) f(x)=o(x^n), g(x)=o(x^m) とすると、\lim_{x\to 0}\frac{f(x)g(x)}{x^{n+m}}=\lim_{x\to 0}\frac{f(x)}{x^n}\frac{g(x)}{x^m}=0

今回の宿題はこれらを使って、近似多項式を作ってください。

ライプニッツの公式
ライプニッツの公式とは、関数の積の n 回微分を計算する公式ですが、
これは、もう少し授業中に計算例をやっておけばよかったと思いました。

ライプニッツの公式とは、
(f(x)g(x))^{(n)}=\sum_{k=0}^n{}_nC_kf^{(k)}(x)g^{(n-k)}(x)
となります。

例えば、問題5-1(4) なら、公式から、
((x^2+1)e^{-x})^{(n)}=\sum_{k=0}^n(x^2+1)^{(k)}(e^{-x})^{(n-k)}
となります。(x^2+1)^{(k)} は、

k=0 のときに、x^2+1
k=1 のときに、2x
k=2 のときに、2
k\ge 3 のとき、0
となります。

また、(e^{-x})^{(n-k)}=(-1)^{n-k}e^{-x}
なので、
n\ge 2 のとき、
((x^2+1)e^{-x})^{(n)}=(x^2+1)(-1)^ne^{-x}+n\cdot 2x(-1)^{n-1}e^{-x}+\frac{n(n-1)}{2}2(-1)^{n-2}e^{-x}
=(-1)^n((x^2+1)-2nx+n(n-1))e^{-x}=(-1)^n(x^2-2nx+n^2-n+1)e^{-x}
となります。

また、n=1 のとき、
-(x^2-2x+1)e^{-x}
となります。よって、どちらの場合でも統一して、

((x^2+1)e^{-x})^{(n)}=(-1)^n(x^2-2nx+n^2-n+1)e^{-x}
として書くことができます。


問題5-1の(5)(6)も同様にできると思います。

また、問題5-1の(2) は、(e^{-x}\sin x)^{(n)}
の計算で、少々めんどくさいですが、
n=1 のとき、 e^{-x}(\cos x-\sin x)
n=2 のとき、 -2e^{-x}\cos x
n=3 のとき、 2e^{-x}(\cos x+\sin x)
n=4 のとき、 -4e^{-x}\sin x
n=5 のとき、 -4e^{-x}(\cos x-\sin x)
n=6 のとき、 8e^{-x}\cos x
.....
となっていきます。

つまり、(e^{-x}\sin x)^{(4)}=-4e^{-x}\sin x が帰納的に成り立ちます。
周期4で同じ関数のマイナス4倍になります。

なので、
(e^{-x}\sin x)^{(n)}=\begin{cases}(-4)^me^{-x}(\cos x-\sin x)&n=4m+1\\-2(-4)^me^{-x}\cos x&n=4m+2\\2(-4)^me^{-x}(\cos x+\sin x)&n=4m+3\\(-4)^me^{-x}\sin x&n=4m\end{cases}
とまとめられます。

また、有理式の微分も、
\frac{1}{x^2+x-2}=\frac{1}{3}\left(\frac{1}{x+2}-\frac{1}{x-1}\right)
のように、まずは分解しておいてから、
それぞれの成分の高次の微分係数を求めればよいということになります。

また、問題5-3、5-4についてはおまけの問題なので
だれか解く人がいれば、点数をあげます。

問題5-3
関数 (1+1/x)^{x} は単調増加であることを示せ。

問題5-4
0<a<b のとき、\lim_{x\to \infty}\left(\frac{a^x+b^x}{2}\right)^{\frac{1}{x}} の極限を求めよ。

宿題の方は、誘導に乗っていけば自然と解けると思います。
宿題5-3はランダウの記号が分母に来たときの処理の仕方に関する問題ですが、
分母を払って考えれば自然と考えられると思います。

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