2021年12月8日水曜日

トポロジー入門(第8回)

[場所:オンライン(月曜日3限)]


一昨年(2019年度)トポロジー入門の講義の内容をまとめていましたが、
7回目を残したまま更新しませんでした。
2021年度と去年は2019年度とほぼ同じ速度で進んでいます。

後半の8回以降のトポロジー入門のブログを再開します。
また、勝手な都合でまた休止するかもしれません。

今回は、開基についての解説の続きと
生成される位相と相対位相について説明をしました。

定理8.1
$(𝑋,\mathcal{O}_X),(Y,\mathcal{O}_Y)$ を位相空間とする。
$\mathcal{B}\subset O_Y$ を開基とする。
$f:X\to Y$ が連続であるためには、
$\forall V\in \mathcal{B}\to f^{-1}(V)\in \mathcal{O}_X$ であること
が必要十分である。

(証明)
𝑓が連続であれば、
$U\in \mathcal{O}_Y$ であるの、
とくに $\mathcal{B}$ に対して正しい。
逆に、 $\forall 𝑉\in \mathcal{B}\to f^{-1}(V)\in \mathcal{O}_X$ が成り立 つとする。
$\forall \in  \mathcal{O}_Y$ に対して、 $\mathcal{B}'\subset \mathcal{B}$ が存在して、 $U=\cup_{B\in \mathcal{B}'}B$ と書ける。
$f^{-1}(U)=f^{-1}(\cup_{B\in \mathcal{B}'}B)=\cup_{B\in \mathcal{B}'}f^{-1}(B)$  よって $f$ が連続である。$\Box$

講義では言いませんでしたが、次の定理も示しておきます。
$\mathcal{B}\subset \mathcal{P}(X)$ がある
位相の開基となるためには以下の条件が必要です。

定理8.$1\frac{1}{2}$
$X$を集合とし、$\mathcal{B}\subset \mathcal{P}(X)$ とするとき、
$\mathcal{B}$ が $X$ 上のある位相の開基となるための条件は
以下の2つを満たすことであり、その位相は$\mathcal{O}_B=\{\cup \mathcal{B}'|\mathcal{B}'\subset \mathcal{B}\}$ となる。
(i) $\cup\mathcal{B}=X$
(ii) $\forall B_1\in B_2\in \mathcal{B}$ と $\forall p\in B_1\cap B_2$ に対して、
$\exists B\in \mathcal{B}(B\subset B_1\cap B_2)$ を満たす。

(証明)
$\mathcal{O}$が$\mathcal{B}$ を開基とする位相とします。
このとき、$\mathcal{O}$は$\mathcal{O}_\mathcal{B}=\{\cup\mathcal{B}'|\mathcal{B}'\subset \mathcal{B}\}$ となります。
(i),(ii)は、位相の条件(I)の$X\in \mathcal{O}$ から、
$\forall p\in X$ に対して、$V_p\in \mathcal{B}$ が存在して、$p\in V_p$
となります。
よって 、そのような$V_p$ に対して $X=\cup_{p\in X}V_p\subset \cup \mathcal{B}$
となります。
よって、(i)が成り立ちます。
つぎに、(ii)をみます。
$\forall B_1,B_2\in \mathcal{B}\subset\mathcal{O}$ に対して、
$B_1\cap B_2\in\mathcal{O}$ であるので、$p\in B\in \mathcal{B}$
が存在して、$B\subset B_1\cap B_2$ となります。よって(ii)が成り立ちます。

つぎに、(i)と(ii)が成り立つと仮定します。
このとき、$\mathcal{O}_\mathcal{B}=\{\cup\mathcal{B}'|\mathcal{B}'\subset \mathcal{B}\}$
が開集合系となることを示します。
開集合系の(I)が成り立つことを示します。
$\emptyset$は、$\mathcal{B}'=\emptyset$ とすればよく成り立ちます。
(i)は$X\in \mathcal{O}$を意味します。
(II)が成り立つことを示します。
$U,V\in \mathcal{O}_\mathcal{B}$ とすると、
$U=\cup\mathcal{B}_U$かつ $V=\cup\mathcal{B}_V$ となります。
ただし、$\mathcal{B}_U\subset\mathcal{B}$ かつ $\mathcal{B}_V\subset \mathcal{B}$
です。
このとき、$U\cap V=\cup_{B_U\in\mathcal{B}_U,B_V\in \mathcal{B}_V}B_U\cap B_V$
が成り立ちます。
よって、$\forall p\in B_U\cap B_V$に対して、$p\in B\in \mathcal{B}$
となる$B$が存在します。
よって、$\mathcal{B}_{U,V}\subset \mathcal{B}$に対して、
$\cup \mathcal{B}_{U,V}=B_U\cap B_V$ となります。
よって、$\cup \{\mathcal{B}_{U,V}|U\in \mathcal{B}_U,V\in \mathcal{B}_V\}\subset \mathcal{B}$
であり、この和集合は、 $U\cap V$ となります。
つまり、位相の条件の(II)が成り立つことになります。

(III)が成り立つことをしめします。
また、$\mathcal{U}=\{U_\lambda\in \mathcal{O}_{\mathcal{B}}|\lambda\in \Lambda\}$
とすると、$U_\lambda\in \mathcal{U}$ に対して、ある$\mathcal{B}_\lambda\subset \mathcal{B}$
が存在して、$U_\lambda=\cup \mathcal{B}_\lambda$となります。
$\cup\mathcal{U}=\cup_{\lambda\in \Lambda}(\cup \mathcal{B}_\lambda)$ですから、
$\mathcal{B}_\mathcal{U}=\cup \{\mathcal{B}_\lambda|\lambda\in\Lambda\}$とすると、
$\cup\mathcal{U}=\cup \mathcal{B}_\mathcal{U}$ が成り立つ。
よって、$\mathcal{O}_\mathcal{B}$ は開集合系であり、
構成から、$\mathcal{B}$ は $\mathcal{O}$  の開基となります。

また、以下の定理を示しました。

定理8.2.
$({\mathbb R},\mathcal{O}_l)$ は可分であるが、第2可算公理を満たさない。

(証明の概略)
可分であることは、下限位相においても ${\mathbb Q}$ 
が稠密部分集合であることから成り立ちます。
また、逆に、任意に開基 $\mathcal{B}$ を取った時に、
任意の半開区間 $[p,p+1)$ において、$p\in V_p\subset [p,p+1)$ 
となる $V_p\in \mathcal{B}$ が存在します。
ここで、$\{V_p|p\in {\mathbb R}\}\subset \mathcal{B}$
であり、この右辺は非可算集合であるので、第2可算公理を満たしません。$\Box$

このことから、下限位相は距離化可能でないことがわかります。
これは距離化可能であれば、可分であることと第2可算公理を満たすことが
同値となるからです。

生成される位相
を定義します。

定義8.1 
$X$ を集合とする。$\mathcal{S}\subset\mathcal{P}(X)$ とする、
$\mathcal{S}$ の全ての元を開集合として含む $X$ 上の最弱の位相を
 $\langle \mathcal{S}\rangle$ とかいて、$\mathcal{S}$ によって生成される位相という。

そのような位相はただ一つ存在し、
$\langle \mathcal{S}\rangle=\underset{\mathcal{S}\subset \mathcal{O}:\text{位相}}{\cap}\mathcal{O}$
となります。

生成される位相の例として、$\mathcal{O}$ を開集合系とすると、$\mathcal{O}=\langle \mathcal{O}\rangle$
となります。

例8.1 $\mathcal{S}=\{\{0,1\},\{1,2\}\}$ としたとき、
$\langle \mathcal{S}\rangle=\{\emptyset,\{1\},\{0,1\},\{1,2\},\{0,1,2\}\}$
となります。

また、次のように定義します。

定義8.2 位相空間 $(X,\mathcal{O})$ に対して $\langle \mathcal{S}\rangle=\mathcal{O}$
とするとき、$\mathcal{S}$ は $\mathcal{O}$ の準開基と言う。

ここで、次を示します。

定理8.3.
$\langle \mathcal{S}\rangle$ は、$\mathcal{B}=\{U_1\cap\cdots\cap U_n|n\in{\mathbb N}_0,0\le \forall i\le n(U_i\in S)\}$
としたとき、$\langle \mathcal{S}\rangle$ は $\mathcal{B}$ を開基とする位相になる。

ここで${\mathbb N}_0={\mathbb N}\cup \{0\}$ です。
これを証明をします。

(証明)まず、$\mathcal{B}$ が位相の開基となることを証明します。
つまり、定理8.$1\frac{1}{2}$ の(i),(ii)が成り立つことを示します。
(i) $X\in \mathcal{B}$ であるから、あきらかに $X=\cup\mathcal{B}$です。
(ii) $U_1,\cdots, U_n,V_1,\cdots ,V_m\in \mathcal{B}$ として、
$B_1=U_1\cap \cdots \cap U_n\in \mathcal{B}$ かつ $B_2=V_1\cap \cdots \cap V_m\in  \mathcal{B}$
$B_1\cap B_2=U_1\cap \cdots \cap U_n\cap V_1\cap \cdots \cap V_m\in \mathcal{B}$ ですから、
(ii) は明らかに成り立ちます。
よって、$\mathcal{B}$ は $X$ 上のある位相の開基となります。
その位相を$\mathcal{O}_{\mathcal{S}}$ とすると、生成される位相の定義から
$\mathcal{S}\subset \mathcal{O}_{\mathcal{S}}$ であり、その最小性から、$\langle \mathcal{S}\rangle \subset \mathcal{O}_{\mathcal{S}}$ となります。
また、任意に $U\in \mathcal{O}_{\mathcal{S}}$ をとると、
$\mathcal{B}'\subset \mathcal{B}$ が存在して、$U=\cup \mathcal{B}'$
となり、任意の $U_1\cap U_2\cap \cdots\cap U_n\in \mathcal{B}'$
に対して、開集合系の条件(II)から $U_1\cap U_2\cap \cdots\cap U_n\in \langle \mathcal{S}\rangle$
であり、開集合系の条件(III)から $\cup \mathcal{B}'\in  \langle \mathcal{S}\rangle$
が成り立ちます。
つまり $\mathcal{O}_{\mathcal{S}}\subset \langle \mathcal{S}\rangle$ であることから
$\langle \mathcal{S}\rangle =\mathcal{O}_{\mathcal{S}} $となります。$\Box$


例8.4
$\mathcal{O}_{d_1}$ の時、$\mathcal{S}=\{(-\infty,a)|a\in {\mathbb R}\}\cap\{(b,\infty)|b\in{\mathbb R}\}$
とすると、$\mathcal{S}$ は$\mathcal{O}_{d_1}$ の準開基となります。
というのも、$(-\infty,a),(b,\infty)$ が $\mathcal{S}$ に入るので、
そのような位相は、必ず $(b,a)$ も入るので、任意の開区間を含む位相ということになります。
$\mathcal{B}=\{(a,b)|a,b\in {\mathbb R}\}$ としておくと、このような位相は
$\mathcal{B}$ を開基とする位相空間ということになります。
そのような位相は、$\mathcal{O}_{d_1}$ ということになります。

$\mathcal{S}$ の有限共通部分をとると、
$n=0$ の場合には ${\mathbb R}$
が成り立ち、
$n=1$ の場合には、$\mathcal{S}$ となります。
また、$n=2$ の場合、
$\{(-\infty,a)|a\in {\mathbb R}\}$ と $\{(b,\infty)|b\in{\mathbb R}\}$
のそれぞれから選んで共通部分を取ると、有限開区間 $(a,b)$ もしくは空集合が作られます。
同じ側から選ぶと、$(-\infty,a)$ の形の開集合か、$(b,\infty)$ の形の開集合のどちらかです。結果的に $\mathcal{S}$ の形に戻ります。

3こ選んできたときも同様に考えると、$\mathcal{S}$ の形の開集合か、空集合か、
$(a,b)$ と $(-\infty,c)$ もしくは $(d,\infty)$ の共通部分となります。
それらは開区間か空集合なのでそれらを合わせても $\mathcal{B}\cup \{\emptyset\}$ から
外に出ることはありません。

定義8.3
$(Y,\mathcal{O})$ を位相空間とし、
$f:X\to Y$ を連続写像とします。
このとき、
$S=\{f^{-1}(U)|U\in \mathcal{O}\}$
$\langle S\rangle$ を $\langle f\rangle$と書き、$f$ によって
誘導された位相(誘導位相)ということにする。

命題
$f:X\to Y$を写像とする。
$\langle f\rangle =\{f^{-1}(U)|U\in \mathcal{O}_{Y}\}$
である。

(証明)
$\mathcal{B}=\{f^{-1}(U_1)\cap \cdots \cap f^{-1}(U_n)|U_i\in \mathcal{O}_Y\}$ とすると、
$\langle f\rangle$ は $\mathcal{B}$ を開基とする位相となります。

$f^{-1}(U_1)\cap \cdots \cap f^{-1}(U_n)=f^{-1}(U_1\cap \cdots\cap U_n)$
ですから、$\mathcal{B}=\{f^{-1}(U)|U\in \mathcal{O}_Y\}$ となります。
また、$\cup_{U\in \mathcal{B}'\subset\mathcal{B}}f^{-1}(U)=f^{-1}(\cup \mathcal{B}')$
が成り立つので、
$\langle f\rangle=\langle \{f^{-1}(U)|U\in \mathcal{O}_Y\}\rangle=\mathcal{O}_\mathcal{B}=\mathcal{B}$
がなりたちます。    $\Box$

誘導位相で重要な性質は以下です。

定理8.3
$Y$ を位相空間とする。
$f:X\to Y$ を写像とすると、誘導位相 $\langle f\rangle$ は
$f$ を連続にする $X$ の最小の位相である。

(証明略)

次に、相対位相の定義をします。

定義8.4
$(X,\mathcal{O})$ を位相空間とし、$A\subset X$ とする。
このとき、$\mathcal{O}_A=\{A\cap U|U\in \mathcal{O}\}$ として
定義すると、$(A,\mathcal{O}_A)$ は、$A$ の位相空間を与えており、
それを部分位相空間という。また、$\mathcal{O}_A$ を相対位相ともいう。

つまり、開集合を $A$ に制限して得られるような開集合全体を
$A$ の相対位相ということになります。

定理8.5
$A\subset X$ を部分集合とする。
$i:A\hookrightarrow X$ を包含写像とする。
このとき、$(A,\langle i\rangle)$ は相対位相 $(A,\mathcal{O}_A)$ と一致する。

(証明)$i^{-1}(U))=A\cap U$ であることを示されればよいです。
$\forall a\in i^{-1}(U)$ とすると、$i(a)=a\in U$ であるから、$a\in A\cap U$ であり、
$a\in A\cap U$ とすると、$i(a)=a\in U$ であるから、$a\in i^{-1}(U)$ 
ですから、$i^{-1}(U)=A\cap U$ が成り立ちます。$\Box$

例8.5
${\mathbb R}$ の通常の距離位相空間において、$A=(0,1)$ 
上の相対位相は ${\mathbb R}$ の開集合 $U$ を用いて
$(0,1)\cap U$ となる開集合ですが、
$(0,1)$ は ${\mathbb R}$ の開集合なので、$(0,1)\cap U$ 
も$A$での開集合となります。

例8.6
${\mathbb R}$ の通常の距離位相空間において、$A=[0,1]$ 
上の相対位相は ${\mathbb R}$ の開集合 $U$ を用いて
$[0,1]\cap U$ となる開集合ですが、
$[0,1]$ は ${\mathbb R}$ の開集合ではないので、$[0,1]\cap U$
は $A$ での開集合ですが、一般には ${\mathbb R}$ での開集合に
なりません。
例えば、$U=(-1/2,1/2)$ としたときには、
$A\cap U=[0,1/2)$ となって、これは ${\mathbb R}$ での開集合では
ありませんが、$A$ の開集合となります。

例8.7
$A={\mathbb Z}\subset {\mathbb R}$ を選んでやると、
$A$ 上で制限してできる開集合は、$A$ 上の離散位相空間になります。

例8.8
$A=\{1/n|n\in {\mathbb N}\}$ を選んでやると、
やはり$A$ 上の離散位相空間が得られますが、
$\overline{A}=A\cup\{0\}$ となり、
$\overline{A}$ 上の相対位相は、$\overline{A}$ 上の
離散位相とは異なる位相空間になります。
離散位相空間には、集積点は含まれませんが、$\overline{A}$
上の位相は集積点 $0$ が含まれます。

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