[場所:オンライン(月曜日3限)]
一昨年(2019年度)トポロジー入門の講義の内容をまとめていましたが、
7回目を残したまま更新しませんでした。
2021年度と去年は2019年度とほぼ同じ速度で進んでいます。
後半の8回以降のトポロジー入門のブログを再開します。
また、勝手な都合でまた休止するかもしれません。
今回は、開基についての解説の続きと
生成される位相と相対位相について説明をしました。
定理8.1
(𝑋,\mathcal{O}_X),(Y,\mathcal{O}_Y) を位相空間とする。
\mathcal{B}\subset O_Y を開基とする。
f:X\to Y が連続であるためには、
\forall V\in \mathcal{B}\to f^{-1}(V)\in \mathcal{O}_X であること
が必要十分である。
(証明)
𝑓が連続であれば、
U\in \mathcal{O}_Y であるの、
とくに \mathcal{B} に対して正しい。
逆に、 \forall 𝑉\in \mathcal{B}\to f^{-1}(V)\in \mathcal{O}_X が成り立 つとする。
\forall \in \mathcal{O}_Y に対して、 \mathcal{B}'\subset \mathcal{B} が存在して、 U=\cup_{B\in \mathcal{B}'}B と書ける。
f^{-1}(U)=f^{-1}(\cup_{B\in \mathcal{B}'}B)=\cup_{B\in \mathcal{B}'}f^{-1}(B) よって f が連続である。\Box
講義では言いませんでしたが、次の定理も示しておきます。
\mathcal{B}\subset \mathcal{P}(X) がある
位相の開基となるためには以下の条件が必要です。
定理8.1\frac{1}{2}
Xを集合とし、\mathcal{B}\subset \mathcal{P}(X) とするとき、
\mathcal{B} が X 上のある位相の開基となるための条件は
以下の2つを満たすことであり、その位相は\mathcal{O}_B=\{\cup \mathcal{B}'|\mathcal{B}'\subset \mathcal{B}\} となる。
(i) \cup\mathcal{B}=X
(ii) \forall B_1\in B_2\in \mathcal{B} と \forall p\in B_1\cap B_2 に対して、
\exists B\in \mathcal{B}(B\subset B_1\cap B_2) を満たす。
(証明)
\mathcal{O}が\mathcal{B} を開基とする位相とします。
このとき、\mathcal{O}は\mathcal{O}_\mathcal{B}=\{\cup\mathcal{B}'|\mathcal{B}'\subset \mathcal{B}\} となります。
(i),(ii)は、位相の条件(I)のX\in \mathcal{O} から、
\forall p\in X に対して、V_p\in \mathcal{B} が存在して、p\in V_p
となります。
よって 、そのようなV_p に対して X=\cup_{p\in X}V_p\subset \cup \mathcal{B}
となります。
よって、(i)が成り立ちます。
つぎに、(ii)をみます。
\forall B_1,B_2\in \mathcal{B}\subset\mathcal{O} に対して、
B_1\cap B_2\in\mathcal{O} であるので、p\in B\in \mathcal{B}
が存在して、B\subset B_1\cap B_2 となります。よって(ii)が成り立ちます。
つぎに、(i)と(ii)が成り立つと仮定します。
このとき、\mathcal{O}_\mathcal{B}=\{\cup\mathcal{B}'|\mathcal{B}'\subset \mathcal{B}\}
が開集合系となることを示します。
開集合系の(I)が成り立つことを示します。
\emptysetは、\mathcal{B}'=\emptyset とすればよく成り立ちます。
(i)はX\in \mathcal{O}を意味します。
(II)が成り立つことを示します。
U,V\in \mathcal{O}_\mathcal{B} とすると、
U=\cup\mathcal{B}_Uかつ V=\cup\mathcal{B}_V となります。
ただし、\mathcal{B}_U\subset\mathcal{B} かつ \mathcal{B}_V\subset \mathcal{B}
です。
このとき、U\cap V=\cup_{B_U\in\mathcal{B}_U,B_V\in \mathcal{B}_V}B_U\cap B_V
が成り立ちます。
よって、\forall p\in B_U\cap B_Vに対して、p\in B\in \mathcal{B}
となるBが存在します。
よって、\mathcal{B}_{U,V}\subset \mathcal{B}に対して、
\cup \mathcal{B}_{U,V}=B_U\cap B_V となります。
よって、\cup \{\mathcal{B}_{U,V}|U\in \mathcal{B}_U,V\in \mathcal{B}_V\}\subset \mathcal{B}
であり、この和集合は、 U\cap V となります。
つまり、位相の条件の(II)が成り立つことになります。
(III)が成り立つことをしめします。
また、\mathcal{U}=\{U_\lambda\in \mathcal{O}_{\mathcal{B}}|\lambda\in \Lambda\}
とすると、U_\lambda\in \mathcal{U} に対して、ある\mathcal{B}_\lambda\subset \mathcal{B}
が存在して、U_\lambda=\cup \mathcal{B}_\lambdaとなります。
\cup\mathcal{U}=\cup_{\lambda\in \Lambda}(\cup \mathcal{B}_\lambda)ですから、
\mathcal{B}_\mathcal{U}=\cup \{\mathcal{B}_\lambda|\lambda\in\Lambda\}とすると、
\cup\mathcal{U}=\cup \mathcal{B}_\mathcal{U} が成り立つ。
よって、\mathcal{O}_\mathcal{B} は開集合系であり、
構成から、\mathcal{B} は \mathcal{O} の開基となります。
また、以下の定理を示しました。
定理8.2.
({\mathbb R},\mathcal{O}_l) は可分であるが、第2可算公理を満たさない。
(証明の概略)
可分であることは、下限位相においても {\mathbb Q}
が稠密部分集合であることから成り立ちます。
また、逆に、任意に開基 \mathcal{B} を取った時に、
任意の半開区間 [p,p+1) において、p\in V_p\subset [p,p+1)
となる V_p\in \mathcal{B} が存在します。
ここで、\{V_p|p\in {\mathbb R}\}\subset \mathcal{B}
であり、この右辺は非可算集合であるので、第2可算公理を満たしません。\Box
このことから、下限位相は距離化可能でないことがわかります。
これは距離化可能であれば、可分であることと第2可算公理を満たすことが
同値となるからです。
を定義します。
定義8.1
X を集合とする。\mathcal{S}\subset\mathcal{P}(X) とする、
\mathcal{S} の全ての元を開集合として含む X 上の最弱の位相を
\langle \mathcal{S}\rangle とかいて、\mathcal{S} によって生成される位相という。
そのような位相はただ一つ存在し、
\langle \mathcal{S}\rangle=\underset{\mathcal{S}\subset \mathcal{O}:\text{位相}}{\cap}\mathcal{O}
となります。
生成される位相の例として、\mathcal{O} を開集合系とすると、\mathcal{O}=\langle \mathcal{O}\rangle
となります。
例8.1 \mathcal{S}=\{\{0,1\},\{1,2\}\} としたとき、
\langle \mathcal{S}\rangle=\{\emptyset,\{1\},\{0,1\},\{1,2\},\{0,1,2\}\}
となります。
また、次のように定義します。
定義8.2 位相空間 (X,\mathcal{O}) に対して \langle \mathcal{S}\rangle=\mathcal{O}
とするとき、\mathcal{S} は \mathcal{O} の準開基と言う。
ここで、次を示します。
定理8.3.
\langle \mathcal{S}\rangle は、\mathcal{B}=\{U_1\cap\cdots\cap U_n|n\in{\mathbb N}_0,0\le \forall i\le n(U_i\in S)\}
としたとき、\langle \mathcal{S}\rangle は \mathcal{B} を開基とする位相になる。
ここで{\mathbb N}_0={\mathbb N}\cup \{0\} です。
これを証明をします。
(証明)まず、\mathcal{B} が位相の開基となることを証明します。
つまり、定理8.1\frac{1}{2} の(i),(ii)が成り立つことを示します。
つまり、定理8.1\frac{1}{2} の(i),(ii)が成り立つことを示します。
(i) X\in \mathcal{B} であるから、あきらかに X=\cup\mathcal{B}です。
(ii) U_1,\cdots, U_n,V_1,\cdots ,V_m\in \mathcal{B} として、
B_1=U_1\cap \cdots \cap U_n\in \mathcal{B} かつ B_2=V_1\cap \cdots \cap V_m\in \mathcal{B}
B_1\cap B_2=U_1\cap \cdots \cap U_n\cap V_1\cap \cdots \cap V_m\in \mathcal{B} ですから、
(ii) は明らかに成り立ちます。
よって、\mathcal{B} は X 上のある位相の開基となります。
(ii) U_1,\cdots, U_n,V_1,\cdots ,V_m\in \mathcal{B} として、
B_1=U_1\cap \cdots \cap U_n\in \mathcal{B} かつ B_2=V_1\cap \cdots \cap V_m\in \mathcal{B}
B_1\cap B_2=U_1\cap \cdots \cap U_n\cap V_1\cap \cdots \cap V_m\in \mathcal{B} ですから、
(ii) は明らかに成り立ちます。
よって、\mathcal{B} は X 上のある位相の開基となります。
その位相を\mathcal{O}_{\mathcal{S}} とすると、生成される位相の定義から
\mathcal{S}\subset \mathcal{O}_{\mathcal{S}} であり、その最小性から、\langle \mathcal{S}\rangle \subset \mathcal{O}_{\mathcal{S}} となります。
また、任意に U\in \mathcal{O}_{\mathcal{S}} をとると、
\mathcal{B}'\subset \mathcal{B} が存在して、U=\cup \mathcal{B}'
となり、任意の U_1\cap U_2\cap \cdots\cap U_n\in \mathcal{B}'
に対して、開集合系の条件(II)から U_1\cap U_2\cap \cdots\cap U_n\in \langle \mathcal{S}\rangle
であり、開集合系の条件(III)から \cup \mathcal{B}'\in \langle \mathcal{S}\rangle
が成り立ちます。
つまり \mathcal{O}_{\mathcal{S}}\subset \langle \mathcal{S}\rangle であることから
\langle \mathcal{S}\rangle =\mathcal{O}_{\mathcal{S}} となります。\Box
例8.4
\mathcal{O}_{d_1} の時、\mathcal{S}=\{(-\infty,a)|a\in {\mathbb R}\}\cap\{(b,\infty)|b\in{\mathbb R}\}
とすると、\mathcal{S} は\mathcal{O}_{d_1} の準開基となります。
というのも、(-\infty,a),(b,\infty) が \mathcal{S} に入るので、
そのような位相は、必ず (b,a) も入るので、任意の開区間を含む位相ということになります。
\mathcal{B}=\{(a,b)|a,b\in {\mathbb R}\} としておくと、このような位相は
\mathcal{B} を開基とする位相空間ということになります。
そのような位相は、\mathcal{O}_{d_1} ということになります。
\mathcal{S} の有限共通部分をとると、
n=0 の場合には {\mathbb R}
が成り立ち、
n=1 の場合には、\mathcal{S} となります。
また、n=2 の場合、
\{(-\infty,a)|a\in {\mathbb R}\} と \{(b,\infty)|b\in{\mathbb R}\}
のそれぞれから選んで共通部分を取ると、有限開区間 (a,b) もしくは空集合が作られます。
同じ側から選ぶと、(-\infty,a) の形の開集合か、(b,\infty) の形の開集合のどちらかです。結果的に \mathcal{S} の形に戻ります。
3こ選んできたときも同様に考えると、\mathcal{S} の形の開集合か、空集合か、
(a,b) と (-\infty,c) もしくは (d,\infty) の共通部分となります。
それらは開区間か空集合なのでそれらを合わせても \mathcal{B}\cup \{\emptyset\} から
外に出ることはありません。
定義8.3
(Y,\mathcal{O}) を位相空間とし、
f:X\to Y を連続写像とします。
このとき、
S=\{f^{-1}(U)|U\in \mathcal{O}\}
\langle S\rangle を \langle f\rangleと書き、f によって
誘導された位相(誘導位相)ということにする。
命題
f:X\to Yを写像とする。
\langle f\rangle =\{f^{-1}(U)|U\in \mathcal{O}_{Y}\}
である。
(証明)
\mathcal{B}=\{f^{-1}(U_1)\cap \cdots \cap f^{-1}(U_n)|U_i\in \mathcal{O}_Y\} とすると、
\langle f\rangle は \mathcal{B} を開基とする位相となります。
f^{-1}(U_1)\cap \cdots \cap f^{-1}(U_n)=f^{-1}(U_1\cap \cdots\cap U_n)
ですから、\mathcal{B}=\{f^{-1}(U)|U\in \mathcal{O}_Y\} となります。
また、\cup_{U\in \mathcal{B}'\subset\mathcal{B}}f^{-1}(U)=f^{-1}(\cup \mathcal{B}')
が成り立つので、
\langle f\rangle=\langle \{f^{-1}(U)|U\in \mathcal{O}_Y\}\rangle=\mathcal{O}_\mathcal{B}=\mathcal{B}
がなりたちます。 \Box
誘導位相で重要な性質は以下です。
定理8.3
Y を位相空間とする。
f:X\to Y を写像とすると、誘導位相 \langle f\rangle は
f を連続にする X の最小の位相である。
(証明略)
次に、相対位相の定義をします。
定義8.4
(X,\mathcal{O}) を位相空間とし、A\subset X とする。
このとき、\mathcal{O}_A=\{A\cap U|U\in \mathcal{O}\} として
定義すると、(A,\mathcal{O}_A) は、A の位相空間を与えており、
それを部分位相空間という。また、\mathcal{O}_A を相対位相ともいう。
つまり、開集合を A に制限して得られるような開集合全体を
A の相対位相ということになります。
定理8.5
A\subset X を部分集合とする。
i:A\hookrightarrow X を包含写像とする。
このとき、(A,\langle i\rangle) は相対位相 (A,\mathcal{O}_A) と一致する。
(証明)i^{-1}(U))=A\cap U であることを示されればよいです。
\forall a\in i^{-1}(U) とすると、i(a)=a\in U であるから、a\in A\cap U であり、
a\in A\cap U とすると、i(a)=a\in U であるから、a\in i^{-1}(U)
ですから、i^{-1}(U)=A\cap U が成り立ちます。\Box
例8.5
{\mathbb R} の通常の距離位相空間において、A=(0,1)
上の相対位相は {\mathbb R} の開集合 U を用いて
(0,1)\cap U となる開集合ですが、
(0,1) は {\mathbb R} の開集合なので、(0,1)\cap U
もAでの開集合となります。
例8.6
{\mathbb R} の通常の距離位相空間において、A=[0,1]
上の相対位相は {\mathbb R} の開集合 U を用いて
[0,1]\cap U となる開集合ですが、
[0,1] は {\mathbb R} の開集合ではないので、[0,1]\cap U
は A での開集合ですが、一般には {\mathbb R} での開集合に
なりません。
例えば、U=(-1/2,1/2) としたときには、
A\cap U=[0,1/2) となって、これは {\mathbb R} での開集合では
ありませんが、A の開集合となります。
例8.7
A={\mathbb Z}\subset {\mathbb R} を選んでやると、
A 上で制限してできる開集合は、A 上の離散位相空間になります。
例8.8
A=\{1/n|n\in {\mathbb N}\} を選んでやると、
やはりA 上の離散位相空間が得られますが、
\overline{A}=A\cup\{0\} となり、
\overline{A} 上の相対位相は、\overline{A} 上の
離散位相とは異なる位相空間になります。
離散位相空間には、集積点は含まれませんが、\overline{A}
上の位相は集積点 0 が含まれます。
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