2018年1月30日火曜日

トポロジー入門演習(第15回)

[場所1E202(月曜日4限)]

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最終回は

  • 連結性
連結

とりあえず定義をしておきます。

定義(連結)
位相空間 $(X,\mathcal{O})$ が連結であるとは、
2つの空でない開集合 $U_1,U_2$ によって、$X=U_1\cup U_2$ かつ $U_1\cap U_2=\emptyset$
のように $X$ を覆う被覆が存在しないことをいう。

連結性は開集合の非存在を使って定義されています。
なので、連結性をしますのに存在しないことを言うのに
背理法を使って、「もし連結でなかったら」という仮定をおいて、
何か矛盾を引き出して、連結と結論づけることが多いです。

非連結とは、そのような空ではない開集合が存在するときをいいます。

もし、$X$ が非連結なら、$U_1,U_2$ が両方開集合なので、$U_1,U_2$ は閉集合にも
なっており、つまり、$U_1,U_2$ は開かつ閉となります。
開かつ閉の集合のことをclopenと言ったりします。

つまり、連結であるとは、$X$ にclopenな空ではない部分集合が存在すると、
それは、$X$ 自身になるといってもよいです。

また、$A\subset X$ が連結部分集合であるとは、$A$ に入る相対位相に関して、
$(A,\mathcal{O}_X|_A)$ が連結であるという定義です。
書き直せば、
$A\subset X$ が連結部分集合であるとは、
$X$ の開集合 $U_1,U_2$ で、$A\subset U_1\cup U_2$ かつ、$A\cap (U_1\cap U_2)=\emptyset$
かつ、$A\cap U_1\neq \emptyset$ かつ $A\cap U_2=\emptyset$ を満たす
ような、$U_1,u_2$ は存在しない

となります。


例えば、${\mathbb R}$ は連結ですが、$(0,1)\cup (1,2)$ は連結ではありません。

証明
${\mathbb R}$ が連結でないとすると、
空ではない $U_1,U_2$ が開集合で、${\mathbb R}=U_1\cup U_2$ かつ、$U_1\cap U_2=\emptyset$ となるようなものが存在します。
$U_1\neq\emptyset$ かつ $U_2\neq \emptyset $ となります。

いま、$x_i\in U_i$ とします。$x_1<x_2$ が成り立つとして構いません。
ここで、$(-\infty ,x_2]\cap U_1$ は空集合ではないので、$\sup((-\infty ,x_2]\cap U_1)$ が
存在し、それを、$y$ とおきましょう。

$(-\infty ,x_2]\cap U_1$ は閉集合なので、$y\in U_1$ が成り立ちます。
一方、$[y,x_2]\cap U_2$ は閉集合で、$x_2$ を含むので、空ではありません。
よって、任意の正の$\epsilon>0$ に対して、$[y,y+\epsilon)\cap U_2\neq \emptyset$ なので、
$y\in \bar{U}_2$ であり、$U_2$ は閉集合でもあったので、$y\in U_2$ となります。
よって、$y\in U_1\cap U_2$ となるので、$U_1\cap U_2=\emptyset$ であることに反します。

よって、${\mathbb R}$ が連結であることになります。

$X=(0,1)\cup (1,2)$とすると、$U_1=(0,1),U_2=(1,2)$ とすると、
確かに、$U_i$ は空ではない開集合になっており、$X=U_1\cup U_2$ かつ、$U_1\cap U_2=\emptyset$
を満たしています。


連結な空間の連続像が連結であることなどは、定義に戻ってやればできます。

連結性の別のヴァリエーションをしておきます。
定義(弧状連結)
$X$ が弧状連結であるとは、
$\forall p,q\in X$ に対して、連続写像 $f:[0,1]\to X$ が存在して、$f(0)=p$ かつ $f(1)=q$ 
となることを言います。

つまり、任意の2点が $[0,1]$ 閉区間によるパスによって結ぶことができる
ときをいいます。なんとなく繋がっている直感にあう定義ですね。

しかし、弧状連結と連結は違う概念です。
弧状連結であれば、連結ですが、逆は一般には言えません。

その有名なものは、トポロジストのサインカーブというやつで、

$X=\{(x,\sin\frac{1}{x})|0<x\le 1\}\cup\{(0,y)|-1\le y\le 1\}$
として、$X$ に ${\mathbb R}^2$ の相対位相を入れておきます。
実際描いてみると、$x=0$ の付近で激しく振動しています。

この位相空間は連結ですが、$(0,0)$ と$(1,\sin (1))$ をパスで結ぶことはできません。

また、$x\in X$ を含む連結な部分集合の最大のものを $x$ の連結成分といい、
$C(x)$ と表します。$C(x)$ は一般に閉集合なのですが、それを示すのに、
$A$ が連結な部分集合なら、$\bar{A}$ および、$A\subset B\subset \bar{A}$ となる
任意の部分集合 $B$ が連結であることを示すことができます。

これは、課題15-3にヒントを載せましたのでそれに沿って証明してみてください。

最後に、${\mathbb R}\setminus {\mathbb Q}$ が連結でないことと、
${\mathbb R}^2\setminus {\mathbb Q}^2$ が連結であることを定義に沿って導いてください。

後者は弧状連結性を示せば十分ですね。



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