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2018年1月20日土曜日

トポロジー入門演習(第12回)

[場所1E202(月曜日4限)]

HPに行く

今回は分離公理についてやりました。

ここで最低限知っていて欲しいことは、

  • ハウスドルフの定義
  • 正則空間の定義
  • 正規空間の定義
です。もちろん、空間のどのような性質なのかも、理解する必要があります。
  • 離散空間は正規空間
  • 距離空間は正規空間
であることも知る必要があります。

ハウスドルフ空間は T_2 空間とも呼ばれます。
正則空間は T_3T_2 を仮定した空間です。
また、

正規空間は T_4T_2 を仮定した空間です。

このとき、定義からすぐに、
正規空間 \Rightarrow 正則空間 \Rightarrow ハウスドルフ空間

という関係があります。
しかし、
T_4\Rightarrow T_3 \Rightarrow T_2
とはならないので、気をつけてください。

T_2,T_3,T_4 がどのような条件かというと、以下のようなものです。
X は位相空間で、\mathcal{O} をその位相とします。

(T_2
\forall p,q\in X に対して、U,V\in \mathcal{O} が存在して、
p\in U, q\in V かつ U\cap V=\emptyset を満たす。

(T_3
\forall p\in X かつ任意の閉集合 F\subset X に対して、U,V\in \mathcal{O} が存在して、
p\in U, F\subset V かつ U\cap V=\emptyset を満たす。

(T_4
任意の閉集合 E,F\subset X に対して、U,V\in \mathcal{O} が存在して、
E\in U, F\in V かつ U\cap V=\emptyset を満たす。

となります。
ハウスドルフ、つまり、T_2 の条件を満たせば、一点が閉集合となりますので
自然に正規なら正則、正則ならハウスドルフが満たされるということになります。

距離空間 X がハウスドルフになるということとも、
一般的な照明を与えておくと、任意の閉集合 F,GE\cap F=\emptyset に対して、
U=\{x|d(x,E)<d(x,F)\}
V=\{x|d(x,E)>d(x,F)\}
とおいて、開集合を作るという定番の方法があります。
このとき、示さなければならないのは、E\subset U, F\subset V かつ、
U,V が開集合であり、U\cap V=\emptyset であることになります。

そのとき、d(x,E)d(x,F)X 上の連続関数であることを使いましょう。
その証明は、この授業の最初の方で与えました。

ちなみに、2つの閉集合 E,F で、共通部分を持たないものが、d(E,F)=0 
となることはあります。片方が 1点の場合は、そのようなことはなく、x\not\in E であれば、d(x,E)>0 となります。

同値性の示し方

(A\Rightarrow B)  \Leftrightarrow (C\Rightarrow D) 

のような同値性の証明の仕方を書いておきます。
多くの人が証明方法を間違えていました。

右向き \Rightarrow

C を仮定する。このとき、C からくる命題 C’A の仮定を満たす。
よって、C’B の性質をもつ。ゆえに、D が成り立つ。


左向き \Leftarrow

A を仮定する。このとき、A からくる命題 A’C の仮定を満たす。
よって、A’D の性質をもつ。ゆえに、B が成り立つ。

のように証明するのです。
間違えているひとは、例えば、右向き \Rightarrow を示すのに、まず、A
仮定して証明を始めていることです。これは全く違います。
A の仮定をいくら変形して、C\Rightarrow D のような命題は生み出されません。

まずは、証明をしたい(C\Rightarrow D) の部分の C を仮定するのです。


応用として、T_4 空間が、F\subset U となる任意の閉集合と開集合にたいして、
開集合 V が存在して、F\subset V\subset \bar{V}\subset U であることが同値であるなど
の命題を示すことができます。
他に、  (課題12-3) など


T_4

\Rightarrow  

(F\subset U となる任意の閉集合と開集合がある。\Rightarrow 開集合 V が存在して、F\subset V\subset \bar{V}\subset U である)  (*)


を示します。
T_4 の命題は、

E,F が閉集合で、E\cap F=\emptyset
\Rightarrow
開集合 U,V が存在して、E\subset U かつ F\subset V かつ U\cap V=\emptyset

という命題です。

まず、仮定するのは、
F\subset U となる任意の閉集合と開集合がある。です。

このとき、F と U^c はどちらも閉集合で、F\cap U^c=\emptyset を満たします。

これで T_4 の最初の仮定が揃いました。
よって、T_4 を使って、ある開集合 V,W が存在して、
F\subset V かつ U^c\subset W かつ V\cap W=\emptyset が成り立ちます。

いま、W^c\subset U で、W^c は閉集合です。
なので、V\subset W^c から、V を含む最小の閉集合 \bar{V} は、\bar{V}\subset W^c
となるはずです。

ゆえに、F\subset V\subset \bar{V}\subset W^c\subset U となり、(*) が導かれました。

逆も同じようにやってください。

ゾルゲンフライ直線の正規性
および、ゾルゲンフライ平面の非正規性

ゾルゲンフライ直線が正規性についての問題も載せました。
これは、誘導にきっちり乗っていけば解けるはずです。

この問題を出したのは、正規空間の直積は正規とはならないことがあるという
例でよく使われます。

以前、ゾルゲンフライ平面についてやりましたが、
この空間は、内部に、非可算濃度の離散部分空間が含まれていました。

このことから、ゾルゲンフライ平面は第二可算ではないことがわかりました。
(2つの第二可算な空間の直積集合も第二可算といってもよい。)

ゾルゲンフライ平面は可分な空間(稠密な可算部分集合をもつ)であるので、
それ上の連続関数のなす空間は実は可算空間です。(稠密な部分集合で一致する
2つの連続関数は一致するから)

しかし、内部に非可算離散集合を含む集合は、その部分集合上での
連続関数は非可算無限個あります。

ここで、正規性を使うと、正規空間というのは、任意の閉集合上の連続関数は
空間全体に拡張するという性質を持ちます。(ティーチェの拡張定理)
なので、今の場合、この非可算無限個の連続関数が空間全体に拡張しないといけません。

しかし、拡張した結果、ゾルゲンフライ平面上では高々可算個の連続関数
しかないのだから、矛盾を持ちます。

よって、ゾルゲンフライ平面は正規ではなくなります。

このティーチェの拡張定理が示すように、正規性というのは
位相空間のグローバルな性質を反映したものだといます。

一方、正則空間というのは、閉近傍全体が基本近傍系となる(課題12-3)ように、ローカルな
位相空間の性質を表しているともいえます。

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