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2017年10月27日金曜日

トポロジー入門演習(第4回)

[場所1E202(月曜日4限)]

HPに行く
必要な配付プリントはHPで取ってください。
HP上の課題3のプリントは壊れていたようですが、直しました。

今日は、
説明4と課題4のプリントを配りましたが、
だんだんと課題が宿題プリントと化しているので、授業時間内に、多くの人と
相談しながら、感覚をつかんでいくということをして欲しいです。

課題3と説明4のプリントを中心にやったようでした。

課題3-1
以下の問題を解け。
(1) 部分集合族\mathcal{C}を以下のように定める。
\emptyset,X\in \mathcal{C}
F_1,\cdots, F_n\in \mathcal{C}\Rightarrow F_1\cup \cdots \cup F_n\in \mathcal{C}
\{F_\lambda|\lambda\in \Lambda\}とするとき、\cap_{\lambda\in \Lambda}F_\lambda\in \mathcal{C}である。

このとき、\mathcal{O}=\{O\in \mathcal{P}|O^c\in \mathcal{C}\}とすると、\mathcal{O}X上の位相になることを示せ。

(2)  (X,\mathcal{O})を位相空間とする。以下の同値を示せ。
A\in\mathcal{O}\Leftrightarrow \forall x\in A, \exists U\in \mathcal{O}\text{ s.t. }x\in U\subset A

このような問題ですでに迷っている人が多いようです....
命題には、仮定があり、結論があります。

仮定を用いて、結論を導くのですが。問題は、結論が正しいことを示すことです。
そのとき、必要になれば、仮定を使いながら証明を進めることになります。

今回示して欲しいのは、\mathcal{O} が位相であることをです。

そのためには、\mathcal{O} が位相となるための3つの条件を一つ一つ示すことです。

(i) 空集合と全体集合が \mathcal{O} に入ること。
(ii) 有限個の \mathcal{O} の元に対して、その共通集合が再び \mathcal{O} に入ること。
(iii) 任意個の \mathcal{O} の元に対して、その和集合が再び \mathcal{O} に入ること。

これらを問題の仮定を使って示してください。その際、集合論の最初の方で出てきた
ドモルガンの法則を使います。

課題3-2は1点集合の問題です。

課題3-2
以下の問題を解け。
(1)  (X={\mathbb R}^2,\mathcal{O})を通常の距離位相とすると、
任意の1点集合は閉集合であることを示せ。
(2) 上の問題1. を一般の距離空間から作られる位相空間の場合に示せ。
(3) (X={\mathbb R}^2,\mathcal{O})を通常の距離位相とすると、
任意の1点集合の内部、閉包、境界、外部が何か答えよ。
(4) (X,\mathcal{O})が一般の離散位相空間の場合、任意の1点集合の内部、閉包、境界、外部が何か答えよ。
(5) 1点集合が閉集合とならない位相空間があることを、例をもって示せ。


(1) ある部分集合が閉集合であることを示すには、補空間が開集合を示すことに
なります。これは閉集合の定義です。
距離位相における部分集合 A が開集合であることを示す方法は、
A の任意の一点 x に対して、x\epsilon 近傍で、A に包まれるもの
が取れるときを言います。なので、平面 X から1点 p 除いた空間 Y=X-\{p\}
の任意の1点 q に対して、q\epsilon-近傍で Y の中に
B_d(q,\epsilon) をおけるか?
という問題になります。つまり、
B_d(q,\epsilon)\subset Y 
を示せばよいことになりますが、部分集合であることの必要充分条件はもうすでに
やっていますので、それを適用させることになります。

(2) は、(1) でやったことがわかっていれば、ほぼ、証明を真似すればできるはずです。
(3) 内部、閉包、境界、外部を思い出せ。
ちなみに、A が開集合というのは、A の内部と、A が一致する集合
としても同値です。
同じように、A が閉集合というのは、S の閉包と、A が一致する集合
としても同値です。

(4) 離散位相の場合、開集合、閉集合がどのような集合だったのか思い出してください。

(5) 授業中かなり頭をひねっていたようでしたが、もっと単純に考えればすぐに例が
思い出せるはずです。このような単純な質問は、トポロジー入門を終えるころには瞬時に
答えが出せるようになっているとよいですね。


課題3-3 は離散空間に関する問題でした。

課題3-3
有限集合の位相、また、離散位相について考えよう。
(1)  有限集合Sに距離dが定義できるとする。
このとき、(S,d)から作られる位相空間(S,\mathcal{O}_d)は離散空間となることを示せ。
Sを無限集合とすると、違う場合があるか?
(2) 位相空間(X,\mathcal{O})を考える。このとき、以下を示せ。
\mathcal{O}が離散位相空間であること\Leftrightarrow\forall x\in Xに対して、
\{x\}\in \mathcal{O}が成り立つ。

もしかしたら(2) を問いてから(1)を解いたほうが順当だったかもしれません。
(2) 右向きの論理は定義からあきらかですね。左向きの論理は任意の部分集合が
開集合になることができるかどうかですが、各点が開集合なのだから、
位相の定義の3番目から簡単にいえますね。

(1) これも、任意の1点が開集合として含まれることをいえばよいわけですね。
空間として有限個なので \epsilon-近傍の \epsilon を充分に小さくしていくと、
そのうち1点集合になりますね。
無限集合とすると違う場合があるのはほぼほぼ明らかですが、この場面でどのように
言うことができるか。

課題3-4は、この日の主題であった内部、閉包、境界点、の話題
です。

X={\mathbb R}^2とし、dをユークリッド距離とする。
(1) D=\{(x,y)\in {\mathbb R}^2|x^2+y^2<1\}とする。
このとき、D^\circ=Dであり、\bar{D}=\{(x,y)\in {\mathbb R}^2|x^2+y^2\le1\}であることを示せ。
(2) p=(\cos\theta,\sin\theta)とする。
ただし、0\le \theta<2\piとする。
このとき、d(p,D)=0であることを示せ。
(3) p\not\in \bar{D}であるとする。このとき、d(p,D)>0であることを示せ。

(1)  D^\circ =D でることの必要充分条件は、D が開集合でることなので、
D の任意の点に対して、そのある \epsilon-近傍が D に入ることを
示せばよい。示し方は上に書いたものと同じですね。
閉包も上と同じです。
(2) d(p,D) の定義をもう一度思い出してもらいましょう。
0\{d(x,y)|y\in D\} の下界であること、
また、0 が下界の中で最大であることを示せばよいことになります。
つまり、0 より真に大きい数 t>0 を持ってきたときに、t より小さい、
d(x,y) (\exists y\in D) が取れればよいことになります。
つまり、(\cos\theta,\sin\theta) に収束する D の元を構成することと同値です。

(3) これは、x\in \bar{D}\Leftrightarrow d(x,D)=0 を示すことの
左向きの命題です。右向きの命題の本質的な部分は、(2) でやったものです。
つまり、外部の点を取ると、必ず D までの距離が正となるのです。
重要なことは、外部の点は、補集合の"内部"であることとです。
内部ということは、特に開集合です。なので、任意の点にその開集合に
包まれる \epsilon-近傍が存在することになります。
その \epsilon-近傍が距離を正とできる理由となります。
この部分を正確にまとめてください。


課題4-1,2,3,4についてはとりあえず、ノーヒントで頑張ってみてください。

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