[場所1E103(金曜日5限)]
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定期試験を行いました。
各問題の正答率は以下のようになりました.
受験者 29人
平均点 78.1
最高得点 100点
最低点 10点
90点以上の人 13人
全体として、やはり1が最もできていませんでした。計算中心に出すと言ったので
そのあたりの定義を復習した人はいなかったんですね。
特に、下界の定義がかけた人はほとんどいませんでした。
2は答えが書いてあるということでよくできていました。
3,4,5あたりの問題は多くの人は計算は合っていました。
6になると、広義積分の難しさか、多少ややこしいからか若干正答率がさがりました。
問題
問題16-1
部分集合 A\subset {\mathbb R} に対して、A の下界を定義せよ。
また、A の下限はどのように定義されるか?
問題16-2
逆関数の微分法を使うことで、\frac{d\text{Arctan} x}{dx}=\frac{1}{1+x^2} を示せ。
問題16-3
次の関数を3 次の項までマクローリン展開し、剰余項は、o(x^3) で表せ。
f(x)=\sqrt{1+2x}
問題16-4
以下の定積分を計算せよ。
\int_1^2\frac{dx}{x+2\sqrt{x-1}}
問題16-5
次の極限を求めよ。
\lim_{x\to 0}\left(\frac{1}{e^x-1}-\frac{1}{\sin x}\right)
問題16-6
以下の広義積分を求めよ。
\int_0^\infty \frac{dx}{1+x+x^2}
解答と講評
問題16-1
M が A の下界とは \forall a\in A に対して、M\le a となる実数。
A の下限とは、A の下界の集合の中で最大のものをいう。
講評
単にこれだけを問う問題だったのですが、下限が分かっている人も
それほど多くはありませんでした。
この問題は全ての人ができると思って出しました。
上限、下限について分かっている人は、10パーセントくらいなのですね。
何回かやったはずなのですが....
下界のことを A の最小値以下になるとか、書いている人がいましたが、
A には最小値があるかどうかわかりません。例えば、(0,1)\subset {\mathbb R}
(端が 0,1 であるような区間で、両端を含まないもの)とすると、この区間には
最小値はありません。
最小値というからには、その集合の中に、最小を与える点がないといけません。
問題16-2
y=\text{Arctan}(x) とおく。このとき、x=\tan y であるから、
\frac{dy}{dx}=\frac{1}{\frac{dx}{dy}}=\frac{1}{(\tan y)’}=\frac{1}{\frac{1}{\cos^2y}}=\frac{1}{1+\tan^2y}=\frac{1}{1+x^2} となる。
講評
この問題は、微分の結果も書いてあるので、できている人は多かったです。
ただ、逆関数の微分法を使えと書いているのに、\text{Arctan}(x)=\frac{\text{Arcsin}(x)}{\text{Arccos}(x)}
と謎の変形を使って計算している人がいました。
問題16-3
二項展開の式を使うと、
\sqrt{1+x}=\sum_{k=0}^3\binom{\frac{1}{2}}{k}x^k+o(x^3)
となる。
各係数を求めると、\binom{\frac{1}{2}}{0}=1, \binom{\frac{1}{2}}{1}=\frac{1}{2}, \binom{\frac{1}{2}}{2}=\frac{\frac{1}{2}\cdot(\frac{1}{2}-1)}{2\cdot 1}=-\frac{1}{8}
\binom{\frac{1}{2}}{3}=\frac{\frac{1}{2}\cdot(\frac{1}{2}-1)\cdot(\frac{1}{2}-2)}{3\cdot 2\cdot 1}=\frac{1}{16} となる。
ゆえに、\sqrt{1+x}=1+\frac{x}{2}-\frac{x^2}{8}+\frac{x^3}{16}+o(x^3)
がわかる。
よって、x に 2x を代入して、
\sqrt{1+2x}=1+x-\frac{x^2}{2}+\frac{x^3}{2}+o(x^3)
となる。ここで、o(x^3) に 2x を代入して、o(8x^3) となるが、
h(x)=o(x^8) となる任意の関数 h(x) は、\frac{h(x)}{x^3}=\frac{h(x)}{8x^3}8 であるので、 x\to 0 の極限は、\lim_{x\to 0}\frac{h(x)}{8x^3}=0 であることから\lim_{x\to 0}\frac{h(x)}{x^3}=0 となる。
よって、h(x)=o(x^3) であることがわかる。
講評
この問題は、何回か微分すればよいだけなので、できている人は多かったです。
しかし、微分係数を求めるのに、ロピタルの定理を用いる方法をとっている人
(間違いではないが、普通に n 回微分を使ってやった方がミスがない)や、
f’(x)=\frac{x}{\sqrt{1+2x}} としている人が複数(3人以上は)見られました。
また、3次の項と書いているのに2次までしか求めていない人もいました。
問題16-4
t=\sqrt{x-1} とおくと、dx=2tdt であるから、
\int_1^2\frac{dx}{x+2\sqrt{x-1}}=\int_0^1\frac{2tdt}{(t+1)^2} となる。
ここで、t+1=s とおくと、この積分は、
\int_1^2\frac{2(s-1)ds}{s^2}=2\int_1^2(s^{-1}-s^{-2})ds=2\left[\log s+s^{-1}\right]_1^2=2(\log 2+\frac{1}{2}-1)=2\log 2-1
と計算できる。
講評
この問題も計算だけなので、それほど間違えている人はいませんでした。
dx を dt に変換する部分を忘れている人がいました。
問題16-5
\lim_{x\to 0}\frac{\sin x-e^x+1}{(e^x-1)\sin x} は不定形の極限であるので、ロピタルの定理を適用させて、
\lim_{x\to 0}\frac{\cos x-e^x}{e^x\sin x+(e^x-1)\cos x} の極限が求められればよい。
この極限はまた不定形なので、再びロピタルの定理を適用させることで、極限
\lim_{x\to 0}\frac{-e^x-\sin x}{2e^x\cos x+\sin x}
が求められればよい。この極限は不定形ではないので、代入操作により、
極限は \frac{-1}{2} と求められる。
ゆえに、元の極限も求まり、
\lim_{x\to0}\frac{\sin x-e^x+1}{(e^x-1)\sin x}=-\frac{1}{2}
何回か微分しているうちに、計算ミスをしている人は多かった。
問題16-6
\frac{2t+1}{\sqrt{3}}=s と変換をすると、dt=\frac{\sqrt{3}}{2}ds となる。
よって、\frac{4}{3}(t^2+t+1)=s^2+1 であるから、
\int_0^\infty\frac{1}{t^2+t+1}dt=\int_{\frac{1}{\sqrt{3}}}^\infty\frac{4}{3(s^2+1)}\frac{\sqrt{3}}{2}ds=\frac{2}{\sqrt{3}}\int_{\frac{1}{\sqrt{3}}}^\infty\frac{1}{s^2+1}ds=\frac{2}{\sqrt{3}}\left(\lim_{s\to \infty}\text{Arctan}(s)-\text{Arctan}(\frac{1}{\sqrt{3}})\right)=\frac{2}{\sqrt{3}}\left(\frac{\pi}{2}-\frac{\pi}{6}\right)=\frac{2\pi}{3\sqrt{3}}
となります。
講評
変数変換をしても、積分区間が変わらず、0 から \infty になったままのものや、
ds と dt の変換がなされていないものなど多数見受けられました。
変数変換の仕方がわからず、 x=\tan \theta としている人。
不等式の処理をして値を不等式でしか出さない人もまぁまぁいました。
全体として
上位4割の人(90点以上)が13人おり、計算ミスもなく、これらの多くの人は基本的な理解も進んでいました。
中位3割の人(70点から89点)は10人おり、若干の計算ミスはするが、だいたいの理解は進んでいます。
それ以外の人(6人)は理解が曖昧な部分があったり、計算の仕方が分かっていなかったり
でした。ただ、決して、全く理解が足りないということでもありませんでしたが....
宿題返却をしても、結果にのみ一喜一憂し、間違えたところを、
何が正しい答えだったのか自分で追求せず、放置しているのではないかと思います。
宿題の採点がたとえ10点中8点だったとしても、決して合格レベルとは言えません。
間違えたところがあるのだから、何がいけなかったのか?反省すべきです。
どんな授業でも、積極的に求めなていかなければ、それなりのものしか得られません。
知識や経験は向こうからやってくるのではなく、頑張って問題を解いたり、
こちらから迫っていかないと得られません。
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定期試験を行いました。
各問題の正答率は以下のようになりました.
問題 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
得点率(%) | 34.8 | 93.1 | 82.2 | 86.9 | 82.8 | 73.3 |
受験者 29人
平均点 78.1
最高得点 100点
最低点 10点
90点以上の人 13人
全体として、やはり1が最もできていませんでした。計算中心に出すと言ったので
そのあたりの定義を復習した人はいなかったんですね。
特に、下界の定義がかけた人はほとんどいませんでした。
2は答えが書いてあるということでよくできていました。
3,4,5あたりの問題は多くの人は計算は合っていました。
6になると、広義積分の難しさか、多少ややこしいからか若干正答率がさがりました。
問題
問題16-1
部分集合 A\subset {\mathbb R} に対して、A の下界を定義せよ。
また、A の下限はどのように定義されるか?
問題16-2
逆関数の微分法を使うことで、\frac{d\text{Arctan} x}{dx}=\frac{1}{1+x^2} を示せ。
問題16-3
次の関数を3 次の項までマクローリン展開し、剰余項は、o(x^3) で表せ。
f(x)=\sqrt{1+2x}
問題16-4
以下の定積分を計算せよ。
\int_1^2\frac{dx}{x+2\sqrt{x-1}}
問題16-5
次の極限を求めよ。
\lim_{x\to 0}\left(\frac{1}{e^x-1}-\frac{1}{\sin x}\right)
問題16-6
以下の広義積分を求めよ。
\int_0^\infty \frac{dx}{1+x+x^2}
解答と講評
問題16-1
M が A の下界とは \forall a\in A に対して、M\le a となる実数。
A の下限とは、A の下界の集合の中で最大のものをいう。
講評
単にこれだけを問う問題だったのですが、下限が分かっている人も
それほど多くはありませんでした。
この問題は全ての人ができると思って出しました。
上限、下限について分かっている人は、10パーセントくらいなのですね。
何回かやったはずなのですが....
下界のことを A の最小値以下になるとか、書いている人がいましたが、
A には最小値があるかどうかわかりません。例えば、(0,1)\subset {\mathbb R}
(端が 0,1 であるような区間で、両端を含まないもの)とすると、この区間には
最小値はありません。
最小値というからには、その集合の中に、最小を与える点がないといけません。
問題16-2
y=\text{Arctan}(x) とおく。このとき、x=\tan y であるから、
\frac{dy}{dx}=\frac{1}{\frac{dx}{dy}}=\frac{1}{(\tan y)’}=\frac{1}{\frac{1}{\cos^2y}}=\frac{1}{1+\tan^2y}=\frac{1}{1+x^2} となる。
講評
この問題は、微分の結果も書いてあるので、できている人は多かったです。
ただ、逆関数の微分法を使えと書いているのに、\text{Arctan}(x)=\frac{\text{Arcsin}(x)}{\text{Arccos}(x)}
と謎の変形を使って計算している人がいました。
問題16-3
二項展開の式を使うと、
\sqrt{1+x}=\sum_{k=0}^3\binom{\frac{1}{2}}{k}x^k+o(x^3)
となる。
各係数を求めると、\binom{\frac{1}{2}}{0}=1, \binom{\frac{1}{2}}{1}=\frac{1}{2}, \binom{\frac{1}{2}}{2}=\frac{\frac{1}{2}\cdot(\frac{1}{2}-1)}{2\cdot 1}=-\frac{1}{8}
\binom{\frac{1}{2}}{3}=\frac{\frac{1}{2}\cdot(\frac{1}{2}-1)\cdot(\frac{1}{2}-2)}{3\cdot 2\cdot 1}=\frac{1}{16} となる。
ゆえに、\sqrt{1+x}=1+\frac{x}{2}-\frac{x^2}{8}+\frac{x^3}{16}+o(x^3)
がわかる。
よって、x に 2x を代入して、
\sqrt{1+2x}=1+x-\frac{x^2}{2}+\frac{x^3}{2}+o(x^3)
となる。ここで、o(x^3) に 2x を代入して、o(8x^3) となるが、
h(x)=o(x^8) となる任意の関数 h(x) は、\frac{h(x)}{x^3}=\frac{h(x)}{8x^3}8 であるので、 x\to 0 の極限は、\lim_{x\to 0}\frac{h(x)}{8x^3}=0 であることから\lim_{x\to 0}\frac{h(x)}{x^3}=0 となる。
よって、h(x)=o(x^3) であることがわかる。
講評
この問題は、何回か微分すればよいだけなので、できている人は多かったです。
しかし、微分係数を求めるのに、ロピタルの定理を用いる方法をとっている人
(間違いではないが、普通に n 回微分を使ってやった方がミスがない)や、
f’(x)=\frac{x}{\sqrt{1+2x}} としている人が複数(3人以上は)見られました。
また、3次の項と書いているのに2次までしか求めていない人もいました。
問題16-4
t=\sqrt{x-1} とおくと、dx=2tdt であるから、
\int_1^2\frac{dx}{x+2\sqrt{x-1}}=\int_0^1\frac{2tdt}{(t+1)^2} となる。
ここで、t+1=s とおくと、この積分は、
\int_1^2\frac{2(s-1)ds}{s^2}=2\int_1^2(s^{-1}-s^{-2})ds=2\left[\log s+s^{-1}\right]_1^2=2(\log 2+\frac{1}{2}-1)=2\log 2-1
と計算できる。
講評
この問題も計算だけなので、それほど間違えている人はいませんでした。
dx を dt に変換する部分を忘れている人がいました。
問題16-5
\lim_{x\to 0}\frac{\sin x-e^x+1}{(e^x-1)\sin x} は不定形の極限であるので、ロピタルの定理を適用させて、
\lim_{x\to 0}\frac{\cos x-e^x}{e^x\sin x+(e^x-1)\cos x} の極限が求められればよい。
この極限はまた不定形なので、再びロピタルの定理を適用させることで、極限
\lim_{x\to 0}\frac{-e^x-\sin x}{2e^x\cos x+\sin x}
が求められればよい。この極限は不定形ではないので、代入操作により、
極限は \frac{-1}{2} と求められる。
ゆえに、元の極限も求まり、
\lim_{x\to0}\frac{\sin x-e^x+1}{(e^x-1)\sin x}=-\frac{1}{2}
何回か微分しているうちに、計算ミスをしている人は多かった。
問題16-6
\frac{2t+1}{\sqrt{3}}=s と変換をすると、dt=\frac{\sqrt{3}}{2}ds となる。
よって、\frac{4}{3}(t^2+t+1)=s^2+1 であるから、
\int_0^\infty\frac{1}{t^2+t+1}dt=\int_{\frac{1}{\sqrt{3}}}^\infty\frac{4}{3(s^2+1)}\frac{\sqrt{3}}{2}ds=\frac{2}{\sqrt{3}}\int_{\frac{1}{\sqrt{3}}}^\infty\frac{1}{s^2+1}ds=\frac{2}{\sqrt{3}}\left(\lim_{s\to \infty}\text{Arctan}(s)-\text{Arctan}(\frac{1}{\sqrt{3}})\right)=\frac{2}{\sqrt{3}}\left(\frac{\pi}{2}-\frac{\pi}{6}\right)=\frac{2\pi}{3\sqrt{3}}
となります。
講評
変数変換をしても、積分区間が変わらず、0 から \infty になったままのものや、
ds と dt の変換がなされていないものなど多数見受けられました。
変数変換の仕方がわからず、 x=\tan \theta としている人。
不等式の処理をして値を不等式でしか出さない人もまぁまぁいました。
全体として
上位4割の人(90点以上)が13人おり、計算ミスもなく、これらの多くの人は基本的な理解も進んでいました。
中位3割の人(70点から89点)は10人おり、若干の計算ミスはするが、だいたいの理解は進んでいます。
それ以外の人(6人)は理解が曖昧な部分があったり、計算の仕方が分かっていなかったり
でした。ただ、決して、全く理解が足りないということでもありませんでしたが....
宿題返却をしても、結果にのみ一喜一憂し、間違えたところを、
何が正しい答えだったのか自分で追求せず、放置しているのではないかと思います。
宿題の採点がたとえ10点中8点だったとしても、決して合格レベルとは言えません。
間違えたところがあるのだから、何がいけなかったのか?反省すべきです。
どんな授業でも、積極的に求めなていかなければ、それなりのものしか得られません。
知識や経験は向こうからやってくるのではなく、頑張って問題を解いたり、
こちらから迫っていかないと得られません。
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