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2017年8月18日金曜日

微積分I演習(数学類)(第15回)

[場所1E103(金曜日5限)]

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定期試験を行いました。

各問題の正答率は以下のようになりました.

問題A(a)A(b)B(a)B(b)C(a)C(b)D
得点率(%)57.188.347.518.843.366.778.3

受験者  20人
平均点  56.0
最高得点  100点
最低点  5点

100点1人、90点台の人はおらず、80点台1人、70点台2人
60点台の人は4人で、
そのほかの人は、40点から59点ないに固まっているという状態です。



問題

問題15-A
以下の問題に答えよ。
(a) 等式 \sin (\text{Arccos(x}))=2x を満たす x を求めよ。
(b) 実数 a,b\text{Arcsin}(a)+\text{Arcsin}(b)=\text{Arcsin}(1)
a,b は関係式 a^2+b^2=1 を満たすことを示せ。

問題15-B
f(x)=\text{Arctanh}(x) とおき、この関数は、\tanh(x) の逆関数のこととする。
以下の問題に答えよ。
(a) f(x) の微分を求めよ。
(b) f(x) のマクローリン展開の n 次の項を求めよ。

問題15-C
次の不定積分および定積分を実行せよ。
(a) \int\frac{x+1}{x+\sqrt{x-1}}dx     (b) \int_1^0\frac{1}{x(x^2+1)}dx

問題15-D
次の極限を求めよ。
\lim_{x\to 0}\frac{e^{-x}-1+\log(x+1)}{\text{Arcsin}(x)-x}

解答

問題15-A
(a) a=\text{Arccos}(x) とおくと、\cos a=x となり、\sin a=\pm\sqrt{1-x^2}
なる。\text{Arccos} の値域の条件から 0\le \text{Arccos}(x)\le \pi であるので、
\sin (\text{Arccos}(x))\ge 0 である。
ゆえに、x\ge 0 であるので、\sin a=\sqrt{1-x^2} である。
2x=\sqrt{1-x^2}x\ge 0 で解くことで、x=\frac{1}{\sqrt{5}} が得られる。
(b) \text{Arcsin}(a)=x かつ \text{Arcsin}(b)=y とすると、定義より、\sin x=a かつ
\sin y=b となる。
ゆえに、x+y=\text{Arcsin} (1)=\frac{\pi}{2} となる。
\cos x=\sin (\frac{\pi}{2}-x)=\sin y=b かつ、\cos y=\sin (\frac{\pi}{2}-y)=\sin x=a
となる。ゆえに、a^2+b^2=\sin x\cos y+\cos x\sin y=\sin (x+y)=\sin \frac{\pi}{2}=1
となる。

講評
この問題はほとんどの人が手をつけており、多くの人は正解にたどり着いていたものの、
x>0 であることを見抜けた人はごくわずかでした。
見抜いた人は10点。そうでない人は5点をあげました。
arcsin なのに、arcsinh と勘違いしている人がいました。
正答率57%。

一方、(b)の方の問題は a^2+b^2=1 という結果が見えているので、多くの人は
できていました。正答率88%。

問題15-B
(a) y=\text{Artanh}(x) とすると、x=\tanh(y) となる。逆関数の微分法を用いて、
f’(x)=\frac{1}{(\tanh y)’}=\frac{1}{\frac{1}{\cosh^2y}}=\frac{1}{1-\tanh^2 y}=\frac{1}{1-x^2}
となる。
(b) \frac{1}{1-x^2}=\sum_{x=0}^\infty x^{2n} であることから、
\text{Artanh}(x)=\int_0^x\frac{1}{1-t^2}dt=\int_0^x\sum_{x=0}^\infty x^{2n}dx=\sum_{x=0}^\infty \frac{x^{2n+1}}{2n+1}
と計算できる。
(積分と極限の交換が必要となりますが、同じ求め方は、宿題8-2でもやりましたね。そのときは、\text{Arcsin}(x) でした。)
n が偶数のとき、 0 で、n が奇数の時、\frac{1}{n}x^n となります。


また、直接 f^{(n)}(0) を求める方法もあります。
(1-x^2)f'(x)=1 であることを使って、ライプニッツの公式を当てはめる方法です。
このとき、n 回部分 n>0 は、
(1-x^2)f^{(n+1)}(x)-2nxf^{(n)}(x)-n(n-1)f^{(n-1)}(x)=0
となります。ゆえに、x=0 を入れてやると、f^{(n+1)}(0)=n(n-1)f^{(n-1)}(0) が成り立ちます。

講評
(a) この問題が47%の正答率というのは愕然としました。逆関数の微分法は習ったはずです。
\frac{dy}{dx}=\frac{1}{\frac{dx}{dy}} という公式で、最後の式は y の式のはずなのに、
x が代入されていました。
つまり、
\frac{d\text{Arsinh}(x)}{dx}=\frac{1}{(\tanh (x))’} となっている解答が多くありました。
本当は、逆関数の微分法の分母は y の微分なので
\frac{d\text{Arsinh}(x)}{dx}=\frac{1}{(\tanh (y))’} です。
逆関数の微分は何回か解いたことがあったと思います。
中には三角関数と間違えて \text{Arctan}(x)=\frac{1}{1+x^2} と書いている人がいました。
完全に勉強不足と思います。

(b) は、(a) で半分の人が脱落しているので、当然さらにできている人は
少なかったです。手がつけられており、正解した人は最後まで正解した人は2人でした。
項別積分については授業で少ししか説明せず、あまり演習はしませんでした。
授業中に、もっといろんなマクローリン展開を計算する必要があると思いました。

問題15-C
(a) 定石として、t=\sqrt{x-1} とおきます。このとき、x=t^2+1 となるので、
dx=2tdt となり、
\int\frac{x+1}{x+\sqrt{x-1}}dx=\int\frac{t^2+2}{t^2+t+1}2tdt=\int\frac{2t(t^2+2)}{t^2+t+1}dt
=\int\frac{(t^2+t+1)(2t-2)+4t+2}{t^2+t+1}dt=\int\left(2t-2+2\frac{2t+1}{t^2+t+1}\right)dt
t^2-2t+2\log(t^2+t+1)+C
(ここで、C は積分定数。)
ゆえに、
t=\sqrt{x-1} であることから t^2-2t=x-1-2\sqrt{x-1} であり、
t^2+t+1=x+\sqrt{x-1} となるので、
求める積分は、
x-2\sqrt{x-1}+2\log(x+\sqrt{x-1})+C
となる。
(ここで、定数1は積分定数の中に組み込んだ。)

(b) \frac{1}{x(x^2+1)} を部分分数展開をすると、
\frac{1}{x(x^2+1)}=\frac{1}{x}-\frac{x}{x^2+1}
となる。よって、
\int_1^2\left(\frac{1}{x}-\frac{1}{2}\frac{2x}{x^2+1}\right)dx=\left[\log x-\frac{1}{2}\log(x^2+1)\right]_1^2=\log 2-\frac{1}{2}\log \frac{5}{2}=\frac{1}{2}\log\frac{8}{5}

講評
この問題は、計算のみなので、よくできていましたが、
dtds の式に変えるなど単純な変換を忘れている人も多く、
問題をあまり解いていないのでは?と思いました。
中に、割り算を間違えているものや、
\int(t-1)dt=\log(t-1) と書いている人がいました。

無理関数の積分の方は43%で、有理関数の積分の方は63%です。

問題15-D
\lim_{x\to 0}(e^{-x}-1+\log (x+1))=0 かつ
\lim_{x\to 0}(\text{Arcsin}(x)-x)=0 であるので、不定形の極限である。
ロピタルの定理を適用して、以下の極限を求める。
\lim_{x\to 0}\frac{-e^{-x}+\frac{1}{x+1}}{-1+\frac{1}{\sqrt{1-x^2}}}=\lim_{x\to 0}\frac{e^{-x}(1-e^x+x)\sqrt{1-x^2}}{(x+1)(-1+\sqrt{1-x^2})}
このとき、この極限も不定形となる。
ここで、\lim_{x\to 0}\frac{1-e^x+x}{-1+\sqrt{1-x^2}} の部分が求められれば良い。
この不定形の極限にロピタルの定理を用いると、
\lim_{x\to 0}\frac{-e^x+1}{\frac{-x}{\sqrt{1-x^2}}} =\lim_{x\to 0}\frac{(e^x-1)\sqrt{1-x^2}}{x}
を求めることになるが、これは、\lim_{x\to 0}\frac{e^x-1}{x} の部分が求められれば
よいことに注意する。この極限は、関数 e^x0 での微分係数を求めていることになるのだから、これはちょうど 1 である。ゆえに、\lim_{x\to 0}\frac{e^x-1}{x}=1 であり、遡れば、\lim_{x\to 0}\frac{-e^{x}+1}{\frac{-x}{\sqrt{1-x^2}}}=1 である。
よって、\lim_{x\to 0}\frac{1-e^x+x}{-1+\sqrt{1-x^2}}=1 がわかる。
また、ロピタルの定理から、
\lim_{x\to 0}\frac{-e^{-x}+\frac{1}{x+1}}{-1+\frac{1}{\sqrt{1-x^2}}}=1 がわかる。

また、
不定形の極限を求めているところで、
例えば、ロピタルの定理を適用させて、分母を払うのであれば、
極限がわかるところは最初に極限を計算しておくこともできます。
例えば、
\lim_{x\to 0}\frac{e^{-x}(1-e^x+x)\sqrt{1-x^2}}{(x+1)(-1+\sqrt{1-x^2})}=\lim_{x\to 0}\frac{1-e^x+x}{-1+\sqrt{1-x^2}}
のように計算することもできます。

全体として、(問題として難しかったからか?)あまりできていない印象です。
試験前には自分で問題を解いてみるなど自分で演習をするべきですね。
また、言われたり、与えたりしたものだけでなく、積極的に勉強する姿勢が必要です。
おそらく基本的なマクローリン展開ができない学生が多いのではないでしょうか?
後期に向けて、今から学習を積んでおくことをお勧めします。

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