[場所:manaba上(火曜日12:00〜)]
まずは正射影が表す線形変換について考えます。
正射影とその表す行列
まず次の問題を解いてみましょう。
問題
平面上の正射影の表す線形写像を行列 A をもって表示せよ。
まず、平面上の正射影というのは次のような写像
f:{\mathbb R}^2\to {\mathbb R}^2 のことです
まず平面上の直線 L を用意します 。
平面上に点 {\bf x} を取ります。この点 {\bf x} から 直線 L への垂線を考え,
その垂線と L の交わったところ (つまり垂線の足)を f({\bf x}) とするのです。
正射影というのは、ある直線へのベクトルの影を求める操作ということになります。
今、2通りのやり方で行列 A を求めてみます。
(1つ目のやり方)
1つ目の設定は正射影が何らかの方法で線形写像であることが分かったします。
線形写像というのは行列の左から積で表されていたことは前回やりました。
また、行列 A は標準基底(基本ベクトル)と像となるベクトルを並べた行列でした。
平面上の標準基底というのは、
{\bf e}_1=\begin{pmatrix}1\\0\end{pmatrix}, {\bf e}_2=\begin{pmatrix}0\\1\end{pmatrix}
でした。
つまり、f({\bf e}_i)={\bf a}_i (i=1,2) としたとき、
({\bf a}_1{\bf a}_2) が求める行列 A ということになります。
あとは、f({\bf e}_1) と f({\bf e}_2) を求めればよいのですが、
それをここでは三角比を用いて求めてみます。
ここで、y=ax の傾きは正の数であるとします。
f({\bf e}_1) の像は、ベクトル \vec{OA} なのですが、
話を元に戻します。
正射影が線形変換であるということを 用いないで A を計算してみます。
しかし この計算途中で正射影は線形変換であるということがわかります
この写像の合成は正射影を実現しています。
f(\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix})=\begin{pmatrix}x\\0\end{pmatrix}
で、線形変換を行列を用いて
f(\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix})=\begin{pmatrix}1&0\\0&0\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix} とあらわすことができるので、
x 軸への正射影は線形変換であることがわかります。
よって、この3つはそれぞれ線形変換ですから その合成も線形変換になります。
これにより正射影変換は線形変換であるということがわかりました
この行列の積を求めると以下のようになります。
\begin{pmatrix}\cos\theta&-\sin\theta\\\sin\theta&\cos\theta\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1&0\\0&0\end{pmatrix} \begin{pmatrix}\cos\theta&\sin\theta\\-\sin\theta&\cos\theta\end{pmatrix}
=\begin{pmatrix}\cos^2\theta&\cos\theta\sin\theta\\\cos\theta\sin\theta&\sin^2\theta\end{pmatrix}
となり、確かに上の計算と合いました。
直交行列によって対角化できる行列
これまで ある線形変換 A をある直交行列 R を用いて
RAR^{-1}
のように 得られる線形変換について考えていました。
A に当たる行列は、簡単な行列、例えば、\begin{pmatrix}1&0\\0&-1\end{pmatrix}
や、\begin{pmatrix}1&0\\0&0\end{pmatrix} など、対角行列(対角成分以外はすべて 0 )
のような行列を考えていました。
一般に、対角行列 A は、\begin{pmatrix}\lambda_1&0\\0&\lambda_2\end{pmatrix}
とすることができますが、
このような A に対して、RAR^{-1} はどのような性質を持つのでしょうか?
RAR^{-1} の転置行列を取ってみます。
ここで、^t(XY)=^tY^tX となることに注意しましょう。
そうすると、^t(RR^{-1})=^t(R^{-1})^tR=E ですから、
^t(R^{-1})=(^tR)^{-1} となります。
また、R が直交行列であるとすれば、R^{-1}=^tR ですから、
^tR^{-1}=R ということにもなります。
そうすると、
^t(RAR^{-1})=^t(RA^tR)=R^t(RA)=R^tA^tR=RAR^{-1}
となります。途中、行列 A が対角行列であるから、^tA=A であることを用いました。
このことからわかることは、X=RAR^{-1} という行列は、
^tX=X であることです。
このように、転置行列を施すと、もとの行列に戻る行列を対称行列といいます。
たしかに、さっき求めた行列は、(1,2) 成分と (2,1) 成分は一致していましたね。
先週の鏡映変換も、(1,2) 成分と (2,1) 成分はどちらも \sin2\theta でした。
まとめると、対角行列 A に対して、直交行列 R を用いて
RAR^{-1} を求めると、対称行列になるということがわかりました。
実は、この逆も成り立ちます。
定理
任意の対称行列は、ある直交行列 R と対角行列 A を用いて、
RAR^{-1} と書き表される。
この定理は次回以降どこかで現れます。
行列式は符号付面積であること
これは行列式っていうのは、ある意味、符号付面積であると 言うことを考えたいと思います。
ここで符号付面積というのは平面上の2つのベクトル {\bf a}_1 と {\bf a}_2
によって作られるようなで平行四辺形の符号付面積という意味です
この2つが一致するということをここで見て行きます
A を 2\times 2 行列であるとし、その行列を縦ベクトルとして
A=({\bf a}_1{\bf a}_2) としてあらわされるとします。
このとき、
{\bf a}_1=\begin{pmatrix}r_1\cos\theta_1\\r_1\sin\theta_1\end{pmatrix}
ここで、{\bf a}_1 と {\bf a}_2 のうちどちらかが0ベクトルであるとすると、
行列式はゼロなり、そのとき、符号付面積は0になりますので
この2つは一致しているということになります。
では、どちらもゼロベクトルではないときを考えます。そのとき、
\det({\bf a}_1{\bf a}_2)=r_1r_2(\cos\theta_1\sin\theta_2-\cos\theta_2\sin\theta_1)=r_1r_2\sin(\theta_2-\theta_1)
となります。
ここで、r_2|\sin(\theta_2-\theta_1)| は、{\bf a}_2 を {\bf a}_1 に垂線を
おろしたときにできる平行四辺形の高さになります。
つまり、このとき、\det(A) は、{\bf a}_1 を底辺とする高さ r_2|\sin(\theta_2-\theta_1)|
となる、{\bf a}_1 と {\bf a}_2 によって作られる平行四辺形の面積ということになります。
また、符号付面積というのはどういうことかというと、\sin(\theta_2-\theta_1)
が負の数になることも考慮する必要があるということに対応します。
つまり、0<\theta_2-\theta_1<\piのときは、その値は正の数になりますが、
\pi<\theta_2-\theta_1<2\pi となると、負の数になります。
つまり、ベクトル {\bf a}_1 と {\bf a}_2 がこの順番に角度が180度より小さく
なるのなら、面積は正の数であり、{\bf a}_2 と {\bf a}_1 の順に角度が180度
より小さくなる時、面積は負の数になります。
ということは、行列式が0になるのは、2つのベクトルが0度をなすとき、もしくは
180度をなすときということになります。
つまり、それは、いいかえれば、2つのベクトルが
ちょうど平行になっているときです。
行列式がゼロでないとき
上で行列式がゼロでないとき、
2つのベクトルは平行ではないということを意味していました。
ここで、ベクトル {\bf a}_1 と {\bf a}_2 が一次独立であるということを
実数 c_1,c_2 が c_1{\bf a}_1+c_2{\bf a}_2={\bf 0} を満たすとき、c_1=c_2=0 である
と定義します。
一次独立でないことを一次従属といいます。
ベクトル {\bf a}_1 と {\bf a}_2 が一次独立であることと、
それらのベクトルが平行であることは同値です。
もし、{\bf a}_1 と {\bf a}_2 が平行とすると、{\bf a}_1=k{\bf a}_2
もしくは、{\bf a}_2=k{\bf a}_1 を満たす実数k が存在することと同値です。
また、ベクトル{\bf a}_1 と {\bf a}_2 が一次従属であるとすると、
c_1{\bf a}_1+c_2{\bf a}_2={\bf 0} となる (c_1,c_2)\neq (0,0)が
存在することと同値ですが、c_1\neq 0 であるとすると、 c_1 で割ることで、
{\bf a}_1=k{\bf a}_2 の形になります。
同じように、 c_2\neq 0 であるときは、{\bf a}_2=k{\bf a}_1 が成り立ちます。
よって、ベクトル {\bf a}_1 と {\bf a}_2 が一次従属であるということは、
それらが、平行であるということと同値となります。
言いかえれば、ベクトルと一次が独立であることと、
2つのベクトル{\bf a}_1 と {\bf a}_2
が平行ではないことが同値であることがわかります。
まとめますと、以下のようになります。
\det(A)\neq 0 であることは、2つのベクトル{\bf a}_1 と {\bf a}_2 が
平行ではないとき、つまり、{\bf a}_1 と {\bf a}_2 が一次独立であるときを意味します。
また、第4回でもやったように、行列式 \det(A) が0ではないということは、
行列A に逆行列が存在することと同値になります。
よって、以下が同値であるということになります。
問題
平面上の正射影の表す線形写像を行列 A をもって表示せよ。
まず、平面上の正射影というのは次のような写像
f:{\mathbb R}^2\to {\mathbb R}^2 のことです
まず平面上の直線 L を用意します 。
平面上に点 {\bf x} を取ります。この点 {\bf x} から 直線 L への垂線を考え,
その垂線と L の交わったところ (つまり垂線の足)を f({\bf x}) とするのです。
正射影というのは、ある直線へのベクトルの影を求める操作ということになります。
この場合、直線 L は原点を通る場合のみであることに注意しましょう。
(一般に正射影といった場合、原点を通るとは限りません。)
今、2通りのやり方で行列 A を求めてみます。
(1つ目のやり方)
1つ目の設定は正射影が何らかの方法で線形写像であることが分かったします。
その仮定の下で解いてみます
まず直線 L を y=ax として与えておきます。
また、行列 A は標準基底(基本ベクトル)と像となるベクトルを並べた行列でした。
平面上の標準基底というのは、
{\bf e}_1=\begin{pmatrix}1\\0\end{pmatrix}, {\bf e}_2=\begin{pmatrix}0\\1\end{pmatrix}
でした。
つまり、f({\bf e}_i)={\bf a}_i (i=1,2) としたとき、
({\bf a}_1{\bf a}_2) が求める行列 A ということになります。
あとは、f({\bf e}_1) と f({\bf e}_2) を求めればよいのですが、
それをここでは三角比を用いて求めてみます。
ここで、y=ax の傾きは正の数であるとします。
f({\bf e}_1) の像は、ベクトル \vec{OA} なのですが、
その x 座標は、OH ですが 、長さ OA は、a=\tan\theta としたときの、
\cos\theta に対応するから、\cos を \tan で表す式
\cos\theta=\frac{1}{\sqrt{1+\tan^2\theta}} を用いて、OA=\frac{1}{\sqrt{1+a^2}} となります。
また \sin の方を求めておけば、
\sin\theta=\tan\theta\cos\theta=\frac{a}{\sqrt{1+a^2}} となります。
ここで、平方根はプラスの方向を取っている。つまり、
\cos のうち、正の方を取っていますが、それは、
a>0 であることを暗に仮定しているからで、 a<0 であるときは、
\cos\theta=-\frac{1}{\sqrt{1+\tan^2\theta}} となります。
ここで、平方根はプラスの方向を取っている。つまり、
\cos のうち、正の方を取っていますが、それは、
a>0 であることを暗に仮定しているからで、 a<0 であるときは、
\cos\theta=-\frac{1}{\sqrt{1+\tan^2\theta}} となります。
話を元に戻します。
これにより、OH=OA\cos\theta=\frac{1}{1+a^2} となります。
また、f({\bf e}_1) の y 座標は、AH ですから、
AH=OA\sin\theta=\frac{a}{1+a^2} となり、
f({\bf e}_1)=\begin{pmatrix}\frac{1}{1+a^2}\\\frac{a}{1+a^2}\end{pmatrix}
となります。
同様に、f({\bf e}_2) を求めてみると、
まず、f({\bf e}_2) の x 座標は、ちょうど AH ですから、\frac{a}{1+a^2}
と一致します。
y 座標は、OB-OH ですから、1-\frac{1}{1+a^2}=\frac{a^2}{1+a^2}
となります。
ゆえに、f({\bf e}_2)=\begin{pmatrix}\frac{a}{1+a^2}\\\frac{a^2}{1+a^2}\end{pmatrix}
となります。
この2つのベクトル f({\bf e}_1) と f({\bf e}_2) を並べることで得られる行列
\begin{pmatrix}\frac{1}{1+a^2}&\frac{a}{1+a^2}\\\frac{a}{1+a^2}&\frac{a^2}{1+a^2}\end{pmatrix}
は求める行列ということになります。
a=\tan\theta を用いると、この行列は、
\begin{pmatrix}\cos^2\theta&\cos\theta\sin\theta\\\cos\theta\sin\theta&\sin^2\theta\end{pmatrix}
となります。
(2つ目)
正射影というのを3つ基本的な写像の合成だと考えます。
3つの写像は順番に、 -\theta 回転、 x 軸への射影、\theta 回転です。この写像の合成は正射影を実現しています。
この分解は 前回の鏡映を3つの行列の積で変えたことに少し似ていますね。
回転はわかりますが、 x 軸への正射影は、f(\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix})=\begin{pmatrix}x\\0\end{pmatrix}
で、線形変換を行列を用いて
f(\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix})=\begin{pmatrix}1&0\\0&0\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix} とあらわすことができるので、
x 軸への正射影は線形変換であることがわかります。
よって、この3つはそれぞれ線形変換ですから その合成も線形変換になります。
これにより正射影変換は線形変換であるということがわかりました
この行列の積を求めると以下のようになります。
\begin{pmatrix}\cos\theta&-\sin\theta\\\sin\theta&\cos\theta\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1&0\\0&0\end{pmatrix} \begin{pmatrix}\cos\theta&\sin\theta\\-\sin\theta&\cos\theta\end{pmatrix}
=\begin{pmatrix}\cos^2\theta&\cos\theta\sin\theta\\\cos\theta\sin\theta&\sin^2\theta\end{pmatrix}
となり、確かに上の計算と合いました。
直交行列によって対角化できる行列
これまで ある線形変換 A をある直交行列 R を用いて
RAR^{-1}
のように 得られる線形変換について考えていました。
A に当たる行列は、簡単な行列、例えば、\begin{pmatrix}1&0\\0&-1\end{pmatrix}
や、\begin{pmatrix}1&0\\0&0\end{pmatrix} など、対角行列(対角成分以外はすべて 0 )
のような行列を考えていました。
一般に、対角行列 A は、\begin{pmatrix}\lambda_1&0\\0&\lambda_2\end{pmatrix}
とすることができますが、
このような A に対して、RAR^{-1} はどのような性質を持つのでしょうか?
RAR^{-1} の転置行列を取ってみます。
ここで、^t(XY)=^tY^tX となることに注意しましょう。
そうすると、^t(RR^{-1})=^t(R^{-1})^tR=E ですから、
^t(R^{-1})=(^tR)^{-1} となります。
つまり、逆行列を取る操作と転置行列を取る操作はどちらをさきに行っても同じということです。
そういうわけで、(^tR)^{-1} や ^t(R^{-1}) も区別はなく、^tR^{-1} と書いても
差支えないということになります。
また、R が直交行列であるとすれば、R^{-1}=^tR ですから、
^tR^{-1}=R ということにもなります。
そうすると、
^t(RAR^{-1})=^t(RA^tR)=R^t(RA)=R^tA^tR=RAR^{-1}
となります。途中、行列 A が対角行列であるから、^tA=A であることを用いました。
このことからわかることは、X=RAR^{-1} という行列は、
^tX=X であることです。
このように、転置行列を施すと、もとの行列に戻る行列を対称行列といいます。
たしかに、さっき求めた行列は、(1,2) 成分と (2,1) 成分は一致していましたね。
先週の鏡映変換も、(1,2) 成分と (2,1) 成分はどちらも \sin2\theta でした。
まとめると、対角行列 A に対して、直交行列 R を用いて
RAR^{-1} を求めると、対称行列になるということがわかりました。
実は、この逆も成り立ちます。
定理
任意の対称行列は、ある直交行列 R と対角行列 A を用いて、
RAR^{-1} と書き表される。
この定理は次回以降どこかで現れます。
行列式は符号付面積であること
これは行列式っていうのは、ある意味、符号付面積であると 言うことを考えたいと思います。
ここで符号付面積というのは平面上の2つのベクトル {\bf a}_1 と {\bf a}_2
によって作られるようなで平行四辺形の符号付面積という意味です
この2つが一致するということをここで見て行きます
A を 2\times 2 行列であるとし、その行列を縦ベクトルとして
A=({\bf a}_1{\bf a}_2) としてあらわされるとします。
このとき、
{\bf a}_1=\begin{pmatrix}r_1\cos\theta_1\\r_1\sin\theta_1\end{pmatrix}
{\bf a}_2=\begin{pmatrix}r_2\cos\theta_2\\r_2\sin\theta_2\end{pmatrix}
のようにあらわしたとします。ここで、平面上の極座標表示を用いました。ここで、{\bf a}_1 と {\bf a}_2 のうちどちらかが0ベクトルであるとすると、
行列式はゼロなり、そのとき、符号付面積は0になりますので
この2つは一致しているということになります。
では、どちらもゼロベクトルではないときを考えます。そのとき、
\det({\bf a}_1{\bf a}_2)=r_1r_2(\cos\theta_1\sin\theta_2-\cos\theta_2\sin\theta_1)=r_1r_2\sin(\theta_2-\theta_1)
となります。
ここで、r_2|\sin(\theta_2-\theta_1)| は、{\bf a}_2 を {\bf a}_1 に垂線を
おろしたときにできる平行四辺形の高さになります。
つまり、このとき、\det(A) は、{\bf a}_1 を底辺とする高さ r_2|\sin(\theta_2-\theta_1)|
となる、{\bf a}_1 と {\bf a}_2 によって作られる平行四辺形の面積ということになります。
また、符号付面積というのはどういうことかというと、\sin(\theta_2-\theta_1)
が負の数になることも考慮する必要があるということに対応します。
つまり、0<\theta_2-\theta_1<\piのときは、その値は正の数になりますが、
\pi<\theta_2-\theta_1<2\pi となると、負の数になります。
つまり、ベクトル {\bf a}_1 と {\bf a}_2 がこの順番に角度が180度より小さく
なるのなら、面積は正の数であり、{\bf a}_2 と {\bf a}_1 の順に角度が180度
より小さくなる時、面積は負の数になります。
ということは、行列式が0になるのは、2つのベクトルが0度をなすとき、もしくは
180度をなすときということになります。
つまり、それは、いいかえれば、2つのベクトルが
ちょうど平行になっているときです。
行列式がゼロでないとき
上で行列式がゼロでないとき、
2つのベクトルは平行ではないということを意味していました。
ここで、ベクトル {\bf a}_1 と {\bf a}_2 が一次独立であるということを
実数 c_1,c_2 が c_1{\bf a}_1+c_2{\bf a}_2={\bf 0} を満たすとき、c_1=c_2=0 である
と定義します。
一次独立でないことを一次従属といいます。
ベクトル {\bf a}_1 と {\bf a}_2 が一次独立であることと、
それらのベクトルが平行であることは同値です。
もし、{\bf a}_1 と {\bf a}_2 が平行とすると、{\bf a}_1=k{\bf a}_2
もしくは、{\bf a}_2=k{\bf a}_1 を満たす実数k が存在することと同値です。
また、ベクトル{\bf a}_1 と {\bf a}_2 が一次従属であるとすると、
c_1{\bf a}_1+c_2{\bf a}_2={\bf 0} となる (c_1,c_2)\neq (0,0)が
存在することと同値ですが、c_1\neq 0 であるとすると、 c_1 で割ることで、
{\bf a}_1=k{\bf a}_2 の形になります。
同じように、 c_2\neq 0 であるときは、{\bf a}_2=k{\bf a}_1 が成り立ちます。
よって、ベクトル {\bf a}_1 と {\bf a}_2 が一次従属であるということは、
それらが、平行であるということと同値となります。
言いかえれば、ベクトルと一次が独立であることと、
2つのベクトル{\bf a}_1 と {\bf a}_2
が平行ではないことが同値であることがわかります。
まとめますと、以下のようになります。
\det(A)\neq 0 であることは、2つのベクトル{\bf a}_1 と {\bf a}_2 が
平行ではないとき、つまり、{\bf a}_1 と {\bf a}_2 が一次独立であるときを意味します。
また、第4回でもやったように、行列式 \det(A) が0ではないということは、
行列A に逆行列が存在することと同値になります。
よって、以下が同値であるということになります。
- 行列 A が逆行列をもつ
- \det(A)\neq 0 である。
- A=({\bf a}_1{\bf a}_2) としたとき、{\bf a}_1 と {\bf a}_2 は一次独立である。
- {\bf a}_1 と {\bf a}_2 は平行ではない。
また、この否定をとると、
ということになります。
- 行列 A が逆行列を持たない
- \det(A)=0 である。
- A=({\bf a}_1{\bf a}_2) としたとき、{\bf a}_1 と {\bf a}_2 は一次従属である。
- {\bf a}_1 と {\bf a}_2 は平行である。
ということになります。
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