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2019年11月23日土曜日

トポロジー入門(第5回)

[場所1E303,203(月曜日3,4限)]


前回残した定義があったのでそれを説明をしました。

定義5.1
(X,\mathcal{O}) を位相空間とする。
F\subset XF^c\in\mathcal{O} であるとき、F を閉集合という。

定義5.2
閉集合全体からなる集合を閉集合系という。
閉集合系とは、\mathcal{C}=\{F\subset X|F^c\in \mathcal{O}\} であり、
以下を満たす。
(I) X,\emptyset\in \mathcal{C}
(II) F_1\cdots, F_n が有限個の閉集合とすると、F_1\cup\cdots \cup F_n\in \mathcal{C}
を満たす。
(III) \{F_\lambda\in \mathcal{C}|\lambda\in \Lambda\} を閉集合族とすると\cup_{\lambda\in \Lambda}F_\lambda\cap \in \mathcal{C}を満たす。


定義5.3
(X,\mathcal{O}_X)(Y,\mathcal{O}_Y) を位相空間とする。
\mathcal{C}_X,\mathcal{C}_YX,Y の閉集合系とする。
写像 f:X\to Y が 
\forall U\in \mathcal{O}_X\Rightarrow f(U)\in \mathcal{O}_Y を満たすときf開写像という。
また、
\forall F\in \mathcal{C}_X\Rightarrow f(F)\in \mathcal{C}_Y を満たすとき f閉写像という。

また、f が全単射であり、\forall U\in \mathcal{O}_X\Leftrightarrow f(U)\in \mathcal{O}_Y
が成り立つとき、f は同相写像という。

(0,1)\to {\mathbb R}_{>0}
x\mapsto \tan(x)(0,1){\mathbb R}_{>0} の間の同相写像を与えます。
全単射であることはすぐわかります。
また、連続であることは、\tan (x) が連続関数であることからわかります。
(連続関数であることは位相空間同士の連続写像であることと同値であるから)
また、\text{Arctan}(x) が連続であることから、 \tan(x) の逆写像も連続となります。
このようにして(0,1){\mathbb R}_{>0} が連続であることがわかります。

また、{\mathbb R}\to {\mathbb S}^1=\{(x,y)\in{\mathbb R}^2|x^2+y^2=1\} 
が全射な連続な開写像であることがわかるのですが、
これはまた後日行います。

(X,\mathcal{O}) を密着位相ではない位相空間とします。
このとき、
i:(X,\mathcal{O})\to (X,\{\emptyset,X\}) を恒等写像とすると、
i は連続な全単射で、同相写像ではありません。
もし同相なら、開集合系の濃度は特に等しくなります。

次の定理を示しました。

定理5.1
(X,\mathcal{O}_X)(Y,\mathcal{O}_Y) (Z,\mathcal{O}_Z) を位相空間とする。
f:X\to Yg:Y\to Z が連続写像とする。
このとき、g\circ f も連続写像となる。

(証明)
\forall U\in \mathcal{O}_Z とすると、f^{-1}(U)\in \mathcal{O}_Y が成り立ち、
さらに、g^{-1}(f^{-1}(U))=(f\circ g)^{-1}(U)\in \mathcal{O}_X が成り立つので、
g\circ f は連続写像となります。


今回は、
位相空間の内部、閉包、境界
についてやりました。

まずは、内部と閉包と境界を定義します。
定義5.4 (X,\mathcal{O}) を位相空間とする。
A^\circA に包まれる最大の開集合と定義する。
\bar{A}A を包む最小の閉集合と定義する。
\partial A=\bar{A}\setminus A^\circ と定義する。

とくに、A^\circ は開集合であり、\bar{A} は閉集合になります。
ここで次の定理を示しておきます。

定理5.2
(1) A^\circ=\{a\in X|\exists U\in \mathcal{O}(a\in U\subset A)\}
(2) \bar{A}=\{a\in X|\forall U\in\mathcal{O}(a\in U\to A\cap U\neq \emptyset\}
(3) \partial A=\{a\in X|\forall U\in \mathcal{O}(a\in U\to (A\cap U\neq \emptyset\land A^c\cap U\neq \emptyset)\}

(証明)
(1) まず、(1) の右辺を A’ とします。
A’=\cup_{U\subset A,U\in \mathcal{O}}U となることを示します。
x\in  A’ ならば、U\in \mathcal{O} が存在して x\in U\subset A を満たします。
とくに、x\in \cup_{U\subset A,U\in \mathcal{O}}U が成り立ちます。
一方、x\in \cup_{U\subset A,U\in \mathcal{O}}Uとすると、\exists U\in \mathcal{O}
であり、x\in U であるが、U\subset A であることから x\in A’ となり、
合わせて、A’=\cup_{U\subset A,U\in \mathcal{O}}U が示せました。

最後に、A’A に包まれる最大の開集合であることを証明をします。
まず、A’ は開集合の和集合なので、開集合です。
もし、A'\subset A''\subset A となる開集合 A’’ が存在したとすると、
A’’A’’\subset A かつ A\in \mathcal{O} を満たすので、
A’’\subset \cup_{U\subset A,U\in \mathcal{O}}U=A' であるから、
A’’=A’ となります。
つまり、A’’A に包まれる最大の開集合ということになります。

(2) この(2) の右辺を B’ とすると、
B’=\cap_{A\subset F,F\in \mathcal{C}}F となることを示します。
(B’)^c=\{a\in X|\exists U\in \mathcal{O}(a\in U\to A\cap U=\emptyset)\}=\{a\in X|\exists U\in \mathcal{O}(a\in U\subset A^c)\}=\cup_{U\subset A^c,U\in\mathcal{O}}U
よって、
B’=\cap_{U\subset A^c,U\in\mathcal{O}}U^c=\cap_{A\subset F,F\in\mathcal{C}}F
となります。
ここで、A\subset B’’\subset B’ となる閉集合とすると、
B’’\supset \cap_{A\subset F,F\in \mathcal{C}}F=B’ となるので、
B’=B’’ となります。
よって、B’A を包む最小の閉集合ですので、B’=\bar{A} となります。
ゆえに(2) が成り立ちます。

(3) は省略します。

このとき、
A^\circA内部といい、A^\circ の点を A内点といい、
\bar{A}A閉包といい、\bar{A} の点を A触点といいます。
また、\partial AA境界といい、\partial A の点を A境界点といいます。

次を証明をしました。
定理5.3
A\in \mathcal{O}\Leftrightarrow A=A^\circ
A\in \mathcal{C}\Leftrightarrow A=\bar{A}

(証明)
A\in \mathcal{O} であるとすると、A に包まれる開集合の最大は A 自身であり、
A^\circ =A がなりたち、逆に A=A^\circ であるなら A^\circ は開集合であるから
A\in \mathcal{O} が成り立ちます。

A\in\mathcal{C} であるなら、A を包む最小の閉集合は A 自身が
存在するので、\bar{A}=A となります。逆に、
\bar{A}=A であるなら、\bar{A} は閉集合であるから A\in \mathcal{C} です。


定理5.4
f:X\to Y が連続であることは以下とそれぞれ同値である。
(i) \forall V\in \mathcal{C}_Y ならば f^{-1}(V)\in \mathcal{C}_X である。
(ii) A\subset X\Rightarrow f(\bar{A})\subset \overline{f(A)} である。

(証明) (i) と同値であることはすぐわかるので省略します。
(ii) と同値であることを示します。
もし f が連続であるとします。A\subset X に対して
f^{-1}(\overline{f(A)}) は閉集合であり、A を包むので、
\bar{A}\subset f^{-1}(\overline{f(A)}) となります。
よって、f(\bar{A})\subset \overline{f(A)} となります。

もし、f(\bar{A})\subset \overline{f(A)} を満たすとします。
 \forall F\in \mathcal{C}_Y とします。
f(\overline{f^{-1}(F)})\subset\overline{f(f^{-1}(F))}=\overline{F}=F
よって、\overline{f^{-1}(F)}\subset f^{-1}(F)\subset \overline{f^{-1}(F)} となりますので
f^{-1}(F) は閉集合となります。
よって f は連続となります。\Box

最後に近傍系を定義しました。
定義5.5
X を集合とする。\forall x\in X に対して \mathcal{N}(x)\subset \mathcal{P}(X)
を次を満たすものとする。
(1) \mathcal{N}(x)\neq \emptyset\land (V\in \mathcal{N}(x)\to x\in V)
(2) \forall V_1,V_2\in \mathcal{N}(x)(V_1\cap V_2\in \mathcal{N}(x))
(3) \forall V\in \mathcal{N}(x)(V\subset W\to W\in \mathcal{N}(x))
(4) \forall V\in \mathcal{N}(x)\exists W\in \mathcal{N}(x)(y\in W\to V\in \mathcal{N}(y))
このとき、\mathcal{N}(x)x の近傍系といい、\mathcal{N}(x) の元を
x近傍という。

2019年11月22日金曜日

トポロジー入門(第4回)

[場所1E303,203(月曜日3,4限)]


今日は位相空間に入ったのですが、その前に
前回で残されていた部分をやりました。

定理4.1 (X,d) を距離空間とする。
A\subset X を部分集合とする。
\bar{A}=\{x|d(x,A)=0\}である。

(証明) A’=\{x|d(x,A)=0\} と定義します。\bar{A}=A’ であることを
示します。
x\in \bar{A} ならば、\forall \epsilon>0(B_d(x,\epsilon)\cap A\neq \emptyset)
ですから、a\in B_d(x,\epsilon)\cap A とすると、
0\le d(x,a)<\epsilon が成り立ちます。
よって、0\le \inf\{d(x,a)|a\in A\}\le d(x,a)<\epsilon であり、\epsilon>0
任意にとることにより、
\inf\{d(x,a)|a\in A\}=0 でなければならない。
よって、x\in A’ である。
逆に、x\in A’ であるとすると、\forall \epsilon>0 に対して、
\epsilon は、\{d(x,a)|a\in A\} の下界にはならないから
ある a\in A が存在して、
0\le d(x,a)<\epsilon となります。
(もし任意の a\in A に対して、\epsilon\le d(x,a) なら、\epsilon は、\{d(x,a)|a\in A\} の下界ということになって \epsilon>0 が下界でないということに矛盾します。)

よって、a\in B_d(x,\epsilon)\cap A であるから、B_d(x,\epsilon)\cap A\neq \emptyset
となる。よって、a\in \bar{A} であることがわかります。

よって、\bar{A}=A’ であることがわかりました。\Box

ここからいよいよ位相空間を始めます。

位相空間
定理3.2では距離空間の間の連続写像を定義しました。
そのとき、距離を用いて定義されましたが
そのあと、連続性の条件を、距離を直接使うのではなく、開集合系についての条件として
書き直しました(定理3.2)。
つまり連続性というのは、距離ではなく、開集合が大事だということになります。

このことから、なんらかの開集合の定義があれば、
連続性というのは定義できるのだということが
わかります。
距離空間の定義からくる開集合の性質(I),(II),(III)をもつ集合の
集まりを開集合として定義できないか?
となるのです。そして、次の定義に至ります。

定義4.1
X を集合とする。\mathcal{O}\subset \mathcal{P}(X)開集合系であるとは
以下を満たすものをいう。
(I) \emptyset\in \mathcal{O} かつ X\in \mathcal{O}
(II) n\in {\mathbb N} に対して、U_1,\cdots,\cap U_n\in \mathcal{O} であるとき、U_1\cap \cdots U_n\in \mathcal{O}である。
(III) \{U_\lambda\in \mathcal{O}|\lambda\in \Lambda\} であるなら、\cup_{\lambda\in \Lambda}U_\lambda\in \mathcal{O}である。
\mathcal{O} を開集合系としたとき、空間と開集合系のペア (X,\mathcal{O})
位相空間という。

定義4.2
(X,\mathcal{O}_X), (Y,\mathcal{O}_Y) が位相空間とします。
写像 f:X\to Y連続であるとは、
\forall U\in \mathcal{O}_Y に対して f^{-1}(U)\in \mathcal{O}_X
を満たすものをいう。

次の定理を示しましょう。

定理4.2
A\in \mathcal{O}\Leftrightarrow \forall a\in A\exists U\in \mathcal{O}(a\in U\subset A)

この定理は、距離空間の開集合の定義、
U\subset X\Leftrightarrow \forall x\in U\exists\epsilon>0(B_d(x,\epsilon)\subset U) 
を一般の位相空間に拡張したものと考えられます。

(証明)
\Rightarrow ですが、U として A 自信をとればよい。
\Leftarrow は、A\subset Xx\in A\exists U\in \mathcal{O}(x\in U\subset A)
を満たす UU_x としておきます。
このとき、A=\underset{x\in A}\cup U_x が成り立ちます。
A\supset \underset{x\in A}\cup U_x かつ A\subset \underset{x\in A}\cup U_x 
が成り立つことを示します。

(というのも、U_x\subset A  であることから \supset  が成り立ち、
\forall x\in A に対して、x\in U_x であることから、\subset が成り立ちます。
よって、A=\underset{x\in A}{\cup}U_x であり、A は開集合のいくつかの
和集合によって得られるから、A\in \mathcal{O}  が
成り立ちます。\Box

ここで位相空間の例を与えます。

例1
X を集合とし、(X,\mathcal{P}(X)) は位相の条件を満たすので位相空間です。
このような位相空間を離散位相空間といいます。

例2
X を集合とし、(X,\{\emptyset,X\}) は位相の条件を満たすので位相空間です。
このような位相空間を密着位相空間といいます。

例3
(X,d) を距離空間とします。\mathcal{O}_d を距離空間の開集合とします。
距離空間の開集合の定義は前回を見てください。
このとき、(X,\mathcal{O}_d) は位相空間としての開集合系の条件を満たすので、
位相空間となります。
このような位相空間を距離位相空間といいます。

ある位相空間 (X,\mathcal{O}) がこのように X 上の何かの距離 d からくる
距離位相空間と一致するつまり、\mathcal{O}=\mathcal{O}_d となるとき、
(X,\mathcal{O})距離化可能であるといいます。

距離の性質をもつ空間を考えたのだから、距離空間が自然に位相空間になることは
わかりますが、距離化可能ではない空間が構成できるのでしょうか。
実際、距離化可能ではない例が存在することを証明します。

例4
X=\{1,2\} とします。X の上に位相空間を考えます。
\mathcal{P}(X)=\{\emptyset,\{1\},\{2\},X\} ですから、この部分集合として
位相を与えるものを考えることで位相空間が構成できます。
まず、(I)から、\mathcal{O} には \emptysetX は必ずふくまれるので、
\{1\} が含まれるか含まれないか、\{2\} が含まれるか含まれないか
4パターンあります。
そのうち、どちらも含む場合が離散位相空間で、
どちらも含まない場合は密着位相空間です。

\mathcal{O}=\{\emptyset,\{1\},X\} としてやると、これも位相の条件を満たします。
この位相空間は、離散位相空間でも密着位相空間でもないですが、
実際距離化可能ではありません。




定理4.3
X を有限集合とする。X 上の開集合 \mathcal{O}
が距離位相空間であるなら、X は離散位相空間である。

そのために次の命題を用意します。

命題
X が離散位相空間であることの必要十分条件は、
\forall x\in X(\{x\}\in \mathcal{O}) であることである。

 (証明)\Rightarrow は、離散位相は、\mathcal{O}=\mathcal{P}(X) ですから
当然 \forall \{x\}\in \mathcal{O} が成り立ちます。
\Leftarrow は、\forall U\in \mathcal{P}(X) に対して、
U=\underset{x\in U}{\cup}\{x\} であり、位相の条件(III)から
U\in \mathcal{O} が成り立ちます。

上の定理4.2を証明をしましょう。
(証明)X が有限集合とし、その上の距離空間を考えます。
\delta=\min\{d(x,y)|x,y\in X,x\neq y\} をとります。
X の有限性から\delta>0 が成り立ちます。
このとき、B_d(x,\delta/2)=\{x\} であることがわかります。

故に、任意の1点は開集合ですから、上の命題から、X 上のこの位相は
離散位相空間となります。

よって例4の位相空間 (\{1,2\},\{\emptyset,\{1\},\{1,2\}\})
距離空間とは一致しないことになります。

このようにして、距離空間を見本にして距離空間を一般化した位相空間
を定義しましたが、距離空間とは違う空間を位相空間として取り入れることが
できたことになります。

最後に次の例を考えます。

例5
距離空間 ({\mathbb R}^2,d_M)({\mathbb R}^2,d_2)
d_2({\bf x},{\bf y})=\sqrt{(x_1-y_1)^2+(x_2-y_2)^2} と定義し一方、
d_M({\bf x},{\bf y})=\sum_{i=1}^2|x_i-y_i| と定義します。
ここで、{\bf x}=(x_1,x_2), {\bf y}=(y_1,y_2) です。
このとき、この2つの距離が決める距離位相空間は一致します。
つまり、\mathcal{O}_{d_M}=\mathcal{O}_{d_2} となります。

(証明) U\in \mathcal{O}_{d_M} とします。
\forall x\in U に対して x\in B_{d^2}(x,\epsilon)\subset U となる \epsilon>0
存在します。また、x\in B_{d_M}(x,\epsilon)\subset B_{d_2}(x,\epsilon) が成り立ちます。
なぜなら、\forall z\in B_{d_M}(x,\epsilon) とし、z=(z_1,z_2) とすると、
(|z_1-x_1|+|z_2-x_2|)^2-((z_1-x_1)^2+(z_2-x_2)^2)=2|z_1-x_1||z_2-x_2|\ge 0
が成りたつからです。

よって、
\epsilon\ge |z_1-x_1|+|x_2-x_2|\ge \sqrt{(z_1-x_1)^2+(z_2-x_2)^2}
が成り立ち、z\in B_{d_2}(x,\epsilon) となり、B_{d_M}(x,\epsilon)\subset B_{d_2}(x,\epsilon) となります。
よって、\mathcal{O}_{d_2}\subset \mathcal{O}_{d_M} が成り立ちます。

一方、U\in \mathcal{O}_{d_M} に対して、
\forall x\in U に対して B_{d_M}(x,\epsilon) となる\epsilon>0 が存在し、
B_{d_M}(x,\epsilon)\subset U が成り立ちます。
このとき、B_{d_2}(x,\frac{\epsilon}{\sqrt{2}})\subset B_{d_M}(x,\epsilon) が成り立ちます。
なぜなら、\forall z\in B_{d_2}(x,\epsilon) とすると、
2((z_1-x_1)^2+(z_2-x_2)^2)-(|z_1-x_1|+|z_2-x_2|)^2
=(z_1-x_1)^2+(z_2-x_2)^2-2|z_1-x_1||z_2-x_2|
\ge (|z_1-x_1|-|z_2-x_2|)^2\ge 0
が成りたつからです。

よって、
\frac{\epsilon}{\sqrt{2}}\ge \sqrt{(z_1-x_1)^2+(z_2-x_2)^2}\ge\frac{1}{\sqrt{2}}(|z_1-x_1|+|z_2-x_2|)
が成り立つので、z\in B_{d_M}(x,\epsilon)
よって、U\in \mathcal{O}_{d_M} が成り立ちます。
つまり、\mathcal{O}_{d_2}\subset \mathcal{O}_{d_M} となり、

\mathcal{O}_{d_2}=\mathcal{O}_{d_M} が成り立ちます。\Box

このようにして、違う距離でも同じ距離位相空間になってしまう例があります。

微積分演習F(第2回)

[場所1E102(水曜日5限)]


今回はガンマ関数とベータ関数についてやりました。

ガンマ関数とベータ関数の定義
s>0を満たす実数とし、p,q>0を満たす実数とします。
このとき、ガンマ関数とベータ関数を広義積分
\Gamma(s)=\int_0^\infty e^{-x}x^{s-1}dx
B(p,q)=\int_0^1t^{p-1}(1-t)^{q-1}dt
として定義します。

まず、この広義積分ですが、条件 s>0 p,q>0 において
これらの広義積分は収束します。

まずガンマ関数の方からいきます。
x=\infty で広義積分を考えます。
\int_1^\infty e^{-x}x^{s-1}dx が収束するかどうか考えます。

s+1<n となる自然数 n を取ります。
そのとき、指数関数のテイラー展開から、e^x\ge \frac{x^{n}}{n!}
が成り立つので、
|e^{-x}x^{s+1}|\le |e^{-x}x^n|\le \frac{x^n}{\frac{x^{n}}{n!}}\le n!
が成り立ちます。
よって、|e^{-x}x^{s-1}|\le \frac{n!}{x^2}
であり、広義積分 \int_1^{\infty}\frac{n!}{x^2}dx は収束するので、
優関数法から \int_1^\infty e^{-x}x^{s-1}dx は収束します。

x=0 での広義積分を考えます。
\int_0^1e^{-x}x^{s-1}dx を考えますが、
s\ge 1 であれば、e^{-x}x^{s-1} は有限な値ですから広義積分ではなく
通常の積分となり、値は求まります。
0<s<1 の場合は |e^{-x}x^{s-1}|\le \frac{1}{x^{1-s}}
であり、広義積分 \int_0^1\frac{1}{x^{1-s}}dx は収束するので
やはりこのときも広義積分は収束します。

ベータ関数についてもやってみます。
p,q\ge 1 であれば、
\int_0^1t^{p-1}(1-t)^{q-1}dt
の被積分関数は x=0,1 でも有限な値を持つので、
広義積分ではありません。
つまり、通常の積分として求めることができます。
よって、0<p,q<1 であると仮定しておきます。
例えば、t= 0 のときの広義積分を考えましょう。
\int_0^{\frac{1}{2}}t^{p-1}(1-t)^{q-1}dt
を考えますと、|\frac{1}{t^{1-p}}(1-t)^{q-1}|\le \frac{1}{2^{q-1}t^{1-p}}
となり、この積分
\int_0^{\frac{1}{2}}\frac{1}{2^{q-1}t^{1-p}}dt=\frac{1}{2^{q-1}}\int_0^{\frac{1}{2}}\frac{1}{t^{1-p}}dt
は前回書いたように収束する広義積分でした。
よって、広義積分 \int_0^{\frac{1}{2}}t^{p-1}(1-t)^{q-1}dt も収束することがわかります。

この関数 \Gamma(s)B(p,q) を用いて多くの積分を書いていきましょう。
まず、この関数の性質を調べてみると、
以下のことが知られています。

B(p,q)=\frac{\Gamma(p)\Gamma(q)}{\Gamma(p+q)}
\Gamma(a+1)=a\Gamma (a)\ \ (a>0)
\Gamma\left(\frac{1}{2}\right)=\sqrt{\pi},\ \ \Gamma(1)=1
とくに、n が自然数のときに、
\Gamma(n)=(n-1)!
となります。
この中で比較的わかりやすいのは、\Gamma(1) であり、
\Gamma(1)=\int_0^\infty e^{-x}dx=\left[-e^{-t}\right]_0^\infty=1
として直接計算できます。
また、\Gamma(a+1)=a\Gamma(a) も、
\Gamma(a+1)=\int_0^\infty x^{a}t^{-x}dx=\left[-x^{a}e^{-x}\right]_0^\infty+a\int_0^\infty x^{a-1}t^{-x}dx=a\Gamma(a)
として部分積分だけで求められます。
ここで、\lim_{x\to \infty }x^{a}e^{-x}=0
なる極限を使いましたが、これは、a<n となる自然数を取っておいて
|x^{a}e^{-x}|=\frac{x^n}{e^x}<\frac{x^n}{\frac{x^{n+1}}{(n+1)!}}\le\frac{(n+1)!}{x}\to 0\ \ (x\to \infty)
となるので、挟み撃ちの原理により
x\to \infty において
x^ae^{-x}\to 0
となることがわかります。
その他の公式についてはここでは詳しくできませんが、この演習の中で
そのうちでてくる方法を用いれば証明をすることができます。
注意してほしいことは、\Gamma(0) の値は求まらないことです。
今のところ、ガンマ関数 \Gamma(s)s>0 だけです。
上の公式を用いると、
\Gamma(s)=\frac{\Gamma(s+1)}{s}
ですが、s\to 0  とすると、右辺の分子は 1  の有限の値に
収束しますが、分母は 0  に近づいてしまうので、
結局、\lim_{s\to 0}\Gamma(s)=\infty となってしまいます。

ガンマ関数やベータ関数の公式を用いて積分を計算する
実際、これらの公式を用いていろいろな積分を求めてみます。
授業中やった計算をもう一度してみます。
\sin^2x=t とおきます。すると、dt=2\sin x\cos x=2\sqrt{t(1-t)}dx ですから、
\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin^{2n}xdx=\int_0^1t^{n}\frac{dt}{2\sqrt{t(1-t)}}=\frac{1}{2}\int_0^1t^{n-\frac{1}{2}}(1-t)^{-\frac{1}{2}}dt
=\frac{1}{2}B\left(n+\frac{1}{2},\frac{1}{2}\right)=\frac{\Gamma\left(n+\frac{1}{2}\right)\Gamma\left(\frac{1}{2}\right)}{2\Gamma\left(n+1\right)}=\frac{(n-\frac{1}{2})(n-\frac{3}{2})\cdots \frac{1}{2}\Gamma(\frac{1}{2})\Gamma(\frac{1}{2})}{2(n!)}
=\frac{(2n-1)!!}{2^{n+1}n!}\pi=\frac{(2n-1)!!}{(2n)!!}\frac{\pi}{2}
となります。ここで、二重階乗は
(2n-1)!!=(2n-1)(2n-3)\cdots 3\cdot 1
(2n)!!=(2n)(2n-2)\cdots 4\cdot 2
を表します。

また、\int_0^\infty e^{-x^2}dx も、x^2=t とすると、
dt=2xdx
\int_0^\infty e^{-x^2}dx=\int_0^\infty e^{-t}\frac{1}{2\sqrt{t}}dt=\frac{1}{2}\int_0^\infty t^{-\frac{1}{2}}e^{-t}dt=\frac{\sqrt{\pi}}{2}
となります。

また \int_0^1\frac{dx}{\sqrt{1-x^3}} は、x^3=t とすることで、dt=3x^2dx であり、
\int_0^1\frac{dx}{\sqrt{1-x^3}}=\int_0^1\frac{1}{3\sqrt[3]{t^2}}(1-t)^{-\frac{1}{2}}dt
=\frac{1}{3}B(\frac{1}{3},\frac{1}{2})=\frac{\Gamma(\frac{1}{3})\Gamma(\frac{1}{2})}{3\Gamma(\frac{5}{6})}=\frac{\Gamma(\frac{1}{3})}{\Gamma(\frac{5}{6})}\frac{\sqrt{\pi}}{3}
となります。

曲線の長さ
次に、曲線の長さについての演習を行いました。
平面上に (x(t),y(t)) のパラメータをもつ曲線 Ca\le t\le b のときの長さ l(C)
l(C)=\int_a^b\sqrt{(x'(t))^2+(y'(t))^2}dt
として計算できます。

授業中に最後まで計算できなかった計算をしておきます。
(すいません、三角関数で置換し、計算を間違えました。)

以下もう一度計算しなおしました。
(t,t^2) として定義できる2次関数のグラフの
 0\le t\le 1 の部分 C の長さ l(C)
l(C)=\int_0^1\sqrt{1+4t^2}dt のように計算できます。
また、2t=\sinh \theta とおくと、2dt=\cosh \theta d\theta であり、
2=\sinh \theta となるとき、
4=e^{\theta}-e^{-\theta}\Leftrightarrow e^{2\theta}-4e^\theta-1=0\Leftrightarrow e^\theta=2+\sqrt{5}\Leftrightarrow \theta=\log (2+\sqrt{5})
なので、\text{Arcsinh}(2)=\log(2+\sqrt{5}) となります。
ここで、\text{Arsinh}(x)\sinh(x) の逆関数を表すことにします。

また、\sinh(2z)=2\sinh(z)\cosh(z) や、\cosh^2(z)-\sinh^2(z)=1 であることを用いると、
l(C)=\int_0^{\text{Arsinh}(2)}\frac{\cosh^2\theta}{2} d\theta=\frac{1}{2}\int_0^{\text{Arsinh}(2)}\frac{1+\cosh (2\theta)}{2}d\theta
=\frac{1}{2}\left[\frac{\theta}{2}+\frac{2\sinh(\theta)\cosh(\theta)}{4}\right]_0^{\text{Arsinh}(2)}=\frac{\log(2+\sqrt{5})}{4}+\frac{4\sqrt{1+4}}{8}
=\frac{\log(2+\sqrt{5})}{4}+\frac{\sqrt{5}}{2}
となります。

2019年11月21日木曜日

微積分演習F(第1回)

[場所1E102(水曜日5限)]


微積分演習が始まりました。
広義積分から始まります。

広義積分
積分区間が無限区間であったり、積分区間に被積分関数が
定義されない(値の求まらない)点が含まれている場合の積分を広義積分いいます。

例えば、
\int_0^\infty e^{-x}dx
のような積分のことを言います。
また、積分区間に定義されていない点がある積分とは、
\int_0^1\frac{1}{\sqrt{x}}dx 
などの積分ことで、たしかに、被積分関数 \frac{1}{\sqrt{x}} は x=0 で値を持ちません。

また、\int_0^\infty e^xdx などを考えると、
このような関数は x=\infty で関数が無限大に発散してしまうので、
積分も無限大に発散して意味のないものになってしまいます。

しかし、
\int_0^\infty e^{-x}dx
\lim_{R\to \infty}\int_0^R e^{-x}dx=\lim_{R\to \infty}\left[-e^{-x}\right]_0^R=\lim_{R\to \infty}(-e^{-R}+1)=1
のようにして求めることができます。
このように、極限が存在して積分を求めることができるとき、
広義積分は収束するもしくは、広義積分が存在するといいます。
また、広義積分が収束しない場合、広義積分は発散する
もしくは広義積分は存在しないといいます。

上の例のように無限大で 0 に収束するような関数でないと、広義積分は収束
しませんが、被積分関数が無限大で0に収束する関数だからといって
広義積分が収束するとはかぎりません。

例えば、\frac{1}{x} は無限大で 0 に収束しますが、
\int_1^\infty\frac{1}{x}dx=\lim_{R\to \infty }\int_1^R\frac{1}{x}dx=\lim_{R\to \infty}\left[\log x\right]_1^R=\lim_{R\to \infty}\log R=\infty
となり、広義積分は収束しません。
同様に
\int_0^1\frac{1}{x}dx=\lim_{R\to 0}\left[\log x\right]_R^1=\lim_{R\to 0}(-\log R)=\infty
となって、\int_0^1\frac{1}{x}dxx=0 でも収束しません。

広義積分が収束するかどうかをどのようにして判定したらよいでしょうか?

広義積分の収束判定法
実際値を求めることが難しくても、広義積分が収束することはわかる
場合があります。それは次のようにして判定します。

広義積分
\int_a^bf(x)dx
があったとします。
もし、|f(x)|\le g(x) なる関数 g(x) があり、\int_a^bg(x)dx が広義積分可能であれば、
\int_a^bf(x)dx は広義積分可能となります。
これを優関数法といいます。

同じように、|f(x)|\ge g(x)\ge 0 となる関数 g(x) が存在して、
\int_a^bg(x)dx
が発散する場合、
\int_a^bf(x)dx
も発散します。


例えば、広義積分 \int_0^1\frac{\sin x}{\sqrt{x^3}}dx を考えます。
0<x \le 1 において |\sin x|\le x が成り立ちます

よって、|\frac{\sin x}{\sqrt{x^3}}|\le \frac{x}{\sqrt{x^3}}=\frac{1}{\sqrt{x}}
となり、\int_0^1\frac{1}{\sqrt{x}}dx=\left[2 x^{\frac{1}{2}}\right]_0^1=2
となります。
つまり、\int_0^1\frac{1}{\sqrt{x}}dx は広義積分として収束するので、
広義積分 \int_0^1\frac{\sin x}{\sqrt{x^3}}dx は収束します。

ここで、|\sin x|\le 1 という不等式は使えません。そうすると、
\int_0^1\frac{1}{\sqrt{x^3}}dx が広義積分として収束することを
示さなねばならず、実際、これは収束しないのです。

\int_0^1\frac{1}{x^\alpha}dx が収束するかどうかは、実際計算してみることで、
\int_0^1\frac{1}{x^\alpha}dx=\begin{cases}\text{収束する}&\alpha<1\\\text{発散する}&\alpha\ge 1\end{cases}
のようにしてわかります。

おなじように、無限区間の場合にも考えると、
\int_1^\infty \frac{1}{x^\alpha}dx=\begin{cases}\text{収束する}&\alpha>1\\\text{発散する}&\alpha\le 1\end{cases}
となります。

多くの場合、このようなべき乗の関数と比べることによって広義積分が収束する
ことを証明をするということを覚えておきましょう。