2017年12月18日月曜日

トポロジー入門演習(第9回)

[場所1E202(月曜日4限)]

HPに行く

今回は、小テストを行い、以前やり残していた

  • 同相
  • 第一可算公理
  • 第二可算公理
  • 可分
  • 積空間
についての演習を配りました。

小テストの講評は次回行います。


同相
位相空間 $(X_1,\mathcal{O}_1)$と $(X_2,\mathcal{O}_2)$ が同相であるということは、
ある連続な全単射 $f: X_1\to X_2$ が存在し、さらに、逆写像
$f^{-1}:X_2\to X_1$ も連続であることを言います。

これによって、$U_1\in \mathcal{O}_1$ に対して、$(f^{-1})^{-1}(U_1)=f(U_1)$ は
連続であるから、$f(U_1)\in \mathcal{O}_2$ です。

つまり、この場合、$f^{-1}$ が連続であるとは、$f$ が開写像であることと同値に
なります。

つまり、同相写像とは、連続全単射な開写像のこととしても同じです。
また、$f:(X_1,\mathcal{O}_1)\to (X_2,\mathcal{O}_2)$ が連続であることは、
全単射写像 $f:X_1\to X_2$ によって、$\mathcal{O}_1,\mathcal{O}_2$ の
間に
$\forall U\in \mathcal{O}_1\Rightarrow f(U)\in \mathcal{O}_2$
$\forall V\in \mathcal{O}_2\Rightarrow f^{-1}(V)\in \mathcal{O}_1$
によって定義される一対一対応 $\mathcal{O}_1\to \mathcal{O}_2$
が存在するといっても同じことです。


$f:X\to Y$ を商写像とします。
商写像とは、$f$ が全射かつ
$U\in \mathcal{O}_Y\Leftrightarrow f^{-1}(U)\in\mathcal{O}_X$
を満たす写像のことでした。

このとき、$X$ 上に $x\sim y\Leftrightarrow f(x)=f(y)$ として同値関係を入れることが
できます。このとき、商写像からの写像 $g:X/\!\sim\, \to Y$ として、
$g([x])=f(x)$ が定義することができます。
この写像は、$[x]$ の代表元 $x$ に依存した形で表されていますが、
代表元の取り方にはよりません。
つまり、$g$ は、同値類だけで定義されるということがわかります。
また、$g$ の定義の仕方から、$g$ は全単射であることもわかります。

つまり、$f$ は $X\overset{\text{pr}}{\to} X/\!\sim\overset{g}{\to}\, Y$ として
$f=g\circ \text{pr}$ と分解されます。ここで、$\text{pr}$ は、$x\mapsto [x]$ として、$x$ を含む
同値類集合に値を取る、自然な射影となります。

今、$X/\!\sim$ に、$\text{pr}$ を商写像として、商位相 $\mathcal{O}(\text{pr})$ を
$U\in \mathcal{O}(\text{pr})\Leftrightarrow\text{pr}^{-1}(U)\in \mathcal{O}_X$
として定義しておきます。

いま、$U\in \mathcal{O}(\text{pr})$ に対して、
$\text{pr}^{-1}(U)=f^{-1}(g(U))$ であり、$f$ は商写像であったので、定義から、
$g(U)\in \mathcal{O}_Y$ が成り立ちます。よって、
$g:(X/\!\sim,\mathcal{O}(\text{pr}))\to (Y,\mathcal{O}_Y)$ 
開写像となります。
また、
$\forall V\in \mathcal{O}_Y$ に対して、
$\text{pr}^{-1}(g^{-1}(V))=f^{-1}(V)$
となり、$f$ は商写像で、連続なので、$f^{-1}(V)\in \mathcal{O}_X$
となります。
ゆえに、$\mathcal{O}(\text{pr})$ の定義から、$g^{-1}(V)$ は $g^{-1}(V)\in\mathcal{O}(\text{pr})$ よって、
$g:(X/\!\sim,\mathcal{O}(\text{pr}))\to (Y,\mathcal{O}_Y)$ 
連続となります。
よって、$g$ は連続全単射な開写像であるから、$g$ は同相写像となります。

つまり、商写像 $f:X\to Y$ は、$Y$ に $f$ によって構成してできる商空間
と同相になるということがわかります。

第一可算公理
第一可算公理とは、 位相空間 $(X,\mathcal{O})$ の任意の点 $x\in X$ において、
$x$ の基本近傍基 $\mathcal{N}^\ast(x)$ として、高々可算個の集合がとれることを言います。
高々可算というのは、可算集合もしくは、有限集合ということです。
そのような空間は第一可算公理を満たすといいます。

可算ではない基本近傍系が取れたからといって、第一可算ではないとは言えません。
うまく取り替えれば、可算にできる可能性があるからです。

例えば、距離空間などは、$\forall x\in X$ に対して、
$\{B_d(x,\frac{1}{n})|n\in {\mathbb N}\}$ が基本近傍基を与え、
これは可算集合であるので、第一可算であることがすぐわかります。

離散空間なら、
$\forall x\in X$ に対して1点集合 $\{x\}$ を基本近傍基としてとれるので、有限集合なら
高々可算であるので、これも第一可算です。

また、有限位相空間も、開集合自体、有限個しかありませんから自明に
第一可算です。
ちなみに、授業中で、可算集合上の位相は第一可算とか
口走った気がしますが、可算集合であっても、第一可算を満たさないものが
存在するようです。構成の仕方はよく知りません。

第二可算公理
第二可算公理とは、 位相空間 $(X,\mathcal{O})$ の開基として、高々可算個の
ものが取れるときを言います。
そのような位相空間を第二可算を満たすといいます。

例えば、${\mathbb R}^n$ 上のユークリッド距離位相などはこの空間です。

というのも、${\mathbb R}^n$ には、可算部分空間 ${\mathbb Q}$  があり、
この各点において、${\bf B}=\{B_d((r_1,\cdots,r_n),\frac{1}{m})|r_i\in {\mathbb Q},m\in {\mathbb N}\}$
なる部分集合を開基とすることでこの位相が構成できます。$r_i\in {\mathbb Q}$ です。

このような集合が可算集合であることは、すぐわかりますが、開基であることは、
少し証明する必要があります。
感じとしては、任意の ${\bf x}=(x_1,\cdots, x_n)\in {\mathbb R}^n$ に対して、
その近傍 $B_d({\bf x},r)$ にいくらでも近くに上のような近傍が存在することを示せば
すみます。つまり、$\{U\in {\bf B}|{\bf x}\in U\}$ がちょうど、
この位相空間の基本近傍基となります。

一般に、第二可算公理を満たせば、第一可算公理も満たします。


可分
可分とは、可算な稠密な部分集合が存在することを言います。
稠密とは、位相空間 $(X,\mathcal{O})$ の部分集合 $A$ が $\bar{A}=X$ となることを
言います。
例えば、${\mathbb R}^n$ は、稠密な可算部分集合 ${\mathbb Q}^n$ が存在するので、
${\mathbb R}^n$ は可分な空間となります。

一般に、第二可算公理を満たせば、可分です。

積位相空間
積位相空間とは、位相空間、$(X,\mathcal{O}_X)$ と $(Y,\mathcal{O}_Y)$ とするとき、
直積集合 $X\times Y$ に与えられる位相空間は、 $\{U\times V|U\in \mathcal{B}_X,V\in \mathcal{B}_Y\}$
を開基とする位相空間のこととして定義します。
ここで、$\mathcal{B}_X,\mathcal{B}_Y$ は、$\mathcal{O}_X,\mathcal{O}_Y$ の開基とします。

今、$X\times Y$ に積位相を入れておきます。
$p_X:X\times Y\to X$ や $p_Y:X\times Y\to Y$ を各成分への射影とします。
このとき、$U\in \mathcal{O}_X,V\in\mathcal{O}_Y$ に対して
$U\times Y= p_X^{-1}(U)$ や $X\times V=p_Y^{-1}(V)$ が
開集合なので、積位相空間は、$p_X,p_Y$ は連続となります。

逆に、このような開集合が入っているような位相空間は、$p_X,p_Y$ を連続にする
最小の位相ということになります。

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