2016年10月25日火曜日

トポロジー入門演習(第2回)

[場所1E103(月曜日4限)]

HPに行く.

今日は、下限についての不等式を使った証明で困った人が多かったようです。
また、集合の扱いにまだ慣れていないのか、適当な証明で終わらせようと
している人がいました.

$\inf$の使い方

$\inf\{x\in {\mathbb R}|x\in X\}$ を復習してみます.
$\inf\{x\in {\mathbb R}|x\in X\}$ は、$X$ の下界の最大値として定義されます.
もし下界が存在しない場合は、$\inf\{x\in{\mathbb R}|x\in X|\}=-\infty$ となります.

つまり、下界が存在する場合、$\inf\{x\in {\mathbb R}|x\in X\}$ は、$\max\{b\in {\mathbb R}|b\le x, \forall x\in X\}$
として定義されます.

今日やってくれた人の解答に沿ってやってみます.

問題は、
不等式 $|d(x,A)-d(y,A)|\le d(x,y)$ を成り立つことを示す

ということです.
$d(x,A)-d(y,A)\le d(x,y)$ を示す必要があります.

まず、三角不等式から、$a\in A$ に対して、
$$d(x,a)\le d(x,y)+d(y,a)$$
が成り立つ.$a$ を $A$ において $\inf$ をとると、$\inf\{d(x,a)|a\in A\}\le d(x,y)+d(y,a)$ が成り立つ.

よって、左辺は、$d(x,A)$ であるから、
$d(x,A)\le d(x,y)+d(y,a)$ となり、
$$d(x,A)-d(x,y)\le d(y,a)\ \ \ \ (\ast)$$
 が成り立つ.

ここで、任意の $a\in A$ に対して、上の不等式($\ast$)が成り立つことに注意しましょう.
そうすると、$d(x,A)-d(x,y)$ は $\{d(y,a)\in {\mathbb R}|a\in A\}\subset {\mathbb R}$ の下界であることがわかります.
上に書いたように、下界の最大が $\{d(y,a)\in {\mathbb R}|a\in A\}\subset {\mathbb R}$ の $\inf$ なので、

$d(x,A)-d(x,y)\le \inf\{d(y,a)\in {\mathbb R}|a\in A\}$ となり、
$d(x,A)-d(x,y)\le d(y,A)$ が成り立ちます.

よって、$d(x,A)-d(y,A)\le d(x,y)$ となり、$x,y$ の役割を入れ替えて、
$d(y,A)-d(x,A)\le d(y,x)=d(x,y)$ となり、
問題の不等式が成り立つことがわかります.



また、別の問題で、
$d(x,A)=0$ であることと、$x$ が $A$ の集積点であることが同値であること


の証明ですが、
$d(x,A)=0$ であることから、$d(x,a)=0$ となる $a\in A$ としている人もいましたが、
そうではありません. $d(x,A)$ は $\inf$ で定義されていることを思い出してください.

定義は、$d(x,A)=\inf\{d(x,a)\in{\mathbb R}|a\in A\}$
です.これは、$A$ の点列で $x$ との距離が $d(x,A)$ に収束するような、
ものが存在するということです.
$A=\{1/n|n\in{\mathbb N}\}$ であれば、$d(0,A)$ は $0$ ですが、$A$ には、$0$ からの距離が $0$ の点、つまり、$0$ 自身は含まれません.

実際証明をしてみると、$d(0,1/n)$ は $0$ に収束するので、$d(0,A)$ は $0$ 以下であることがわかります.
$d$ は距離関数なので、$d(0,A)\ge 0$ であるので、$d(0,A)=0$ であることがわかります.


元の問題に戻ると、
$d(x,A)=0$ であるとすると、$x$ との距離が いくらでも $0$ にちかいような $A$ の点列が取れます.
つまり、任意の $\epsilon>0$ に対して、$d(x,a)<\epsilon$ となる $a\in A$ が存在します.
これは、$x$ が $A$ の集積点であることを意味しますね.

逆も同じように示してください.



集合のイコール

また、
$\cap_{n\in{\mathbb N}}(-\frac{1}{n},1+\frac{1}{n})=[0,1]$ であることを示す.
という話もありました.
開集合の共通部分を使って、閉集合を表わせという問題でした.

このとき、$-\frac{1}{n}\to 0$ であるから、とか $1+\frac{1}{n}\to 1$ となる議論から
上記のイコールがなりたつなどの直接的な議論はよくありません.
集合の単なる無限共通集合ですからそのような直感はここでは役立ちません.

ちなみに、証明は他人を説得させる手法ではないことを覚えておいてください.

では、何なのか?どのようなことを示せばよいのか?
示すべきことは大概決められています.

これこれはある性質を満たすか?という問題であれば、
その性質が定義されており、その定義どおりかどうかを問うているのです.
例えば、連続なら、連続の定義に当てはまるのかどうか?
つまり、定義に戻って議論できるかどうか?ということです.


採点をしている人たちは、決められたもの(定義)に沿って決められたとおりに示しているか?
を見ているだけなのです.レポートを採点しているときなどもそうです.

なんとなくのイメージをするのは、証明するもののゴールを考えるときと、
証明の方針を決めるときくらいです.

実際の証明は道筋立てて論理的に書かなければなりません.


この場合では、極限のイメージはあって、イコールは正しそうだな、では証明を付けてみよう、
ということになります.

証明は、集合のイコールなので、イコールの意味に立ち返れば、

$\cap_{n\in{\mathbb N}}(-\frac{1}{n},1+\frac{1}{n})\subset [0,1]$
$\cap_{n\in{\mathbb N}}(-\frac{1}{n},1+\frac{1}{n})\supset [0,1]$
の両方示せばよく、この包含関係は、

$a\in \cap_{n\in{\mathbb N}}(-\frac{1}{n},1+\frac{1}{n})$ ならば、$a\in [0,1]$

$a\in [0,1]$ ならば、$a\in \cap_{n\in{\mathbb N}}(-\frac{1}{n},1+\frac{1}{n})$

を証明することに対応します.


この演習を見ていていつものように、トポロジー入門演習の証明を書くことにこれまで以上に
ギャップを感じ始めるのは、第3回くらいです.
自分の証明がいかに証明になっていないか分かると思います.

来週からもわかっていなさそうなところはどんどん指摘していきます!!


火曜日は、手習い塾に行くので、もし解きたい問題で解けない問題
やわからないところがありましたら、ご相談ください。

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