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2016年10月3日月曜日

トポロジー入門演習(第1回)

[場所1E103(月曜日4限)]

HPに行く.

今日から秋学期が始まりました。
トポロジー演習も始まりました。今日の内容は、
授業についてのガイダンスや成績のつけ方などと


  • 距離空間であることの示し方
  • 開集合、境界点、内点
などです。初回はあまり解いてくれる人も少ない時もありますが、今日は、比較的多くの人が解いていたような気がします。解いた人の情報は、ホームページ上に
近々アップします。

ここでは今日の復習をします。

距離空間であること

距離空間であることを示す方法は、去年のものがありましたので、リンクさせて
おきます.去年やった同じ問題についての解説を書いています.
今日発表してくれた人も何人かいますね.


このページと、今日の解説を見ればわかると思いますが、
空間 X と関数 d:X\times X\to {\mathbb R}X 上で距離関数の性質を満たせば
d が距離関数になり、(X,d) が距離空間になります.距離空間の性質を今日説明した感じで書いておくと、


(1) d(x,y)\ge 0、かつ  d(x,y)=0\Leftrightarrow x=y
(2) d(x,y)=d(y,x)
(3) d(x,z)\le d(x,y)+d(y,z) 


となります.
さらに去年の同じページに、以前書いた、距離空間と位相空間についての関係について
も書きました.


距離空間や位相空間で何をするのかがわかると想います.

また、今日配ったプリントは、がなかったので、
来週は、トポロジー演習で使う用語集の方も作成して渡します.

内点、境界点、外点

今日のトポロジー入門の授業ではやらなかったようですが、問題を解いている人が
いたので、ここで先に説明しておきます.
ここで、中心を x とし半径が r となる球体
\{y\in X|d(x,y)<r\}
のことを、
B(x,r)

と書くことにします.この書き方は、共通なものではなく、本によっては、
U(x;r) と書いたり、B_r(x)B_x(r) などと書くこともあります.
どれも同じものです.

開集合
まず、A\subset X が距離空間 X の開集合であるとは、任意の p\in A に対して、
ある \epsilon>0 が存在して、p\in B(p,\epsilon)\subset A となるようにできる.

つまり、開集合とは、どのどの点でも、その点を中心とした開球体を内部に置く
ことができるということです.ある集合が開集合であることを示すには、
必ずこの定義に戻って考えます.

ちなみに、開球は、名前の通り、開集合です.

距離空間 X において、部分集合 A\subset X の内点、外点、境界点は
以下のようにして定義します.

内点
pA の内点であるとは、ある \epsilon>0 が存在して、B(p,\epsilon)\subset Aなることをいう.

外点
p が A の外点であるとは、ある \epsilon>0 が存在して、 B(p,\epsilon)\subset A^c となることをいう.

境界点
pA の境界点であるとは、任意の \epsilon>0 に対してB(p,\epsilon)\cap A\neq \emptyset  かつ B(p,\epsilon)\cap A^c\neq \emptyset となることをいう.

となります.今日、証明してくれたいたように、境界点は、距離空間の中で、内点でも外点でもない点ということになります.


最後に、

トポロジー(位相空間論)の演習は、発表中心に行いますが、どんな簡単な問題でも、
論理的に飛躍があったり、ごまかしたりするところがありましたら、どんどん突っ込んで
いこうと思っています.これまでの演習より厳しめかもしれませんが、そのような
演習を通して、位相空間論に限らず、ちゃんと証明できる技術を養っていければと思っています.

また、

あたりまえだと思えることでも、
数学の命題は、定義に戻れば必ず証明することができる

ことを忘れてはいけません.自分の感覚で、いつもこうだから
では数学はできません.

いかにして、数学の証明を書くか、発表をするかについての心構えについては、
去年のトポロジー入門演習のページに書きましたので、これについても
リンクしておきます.

トポロジー入門演習(第3回)の後半部分



この演習を通して、それらを身につけていってください.

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