2014年7月14日月曜日

平方数の差と隣り合う整数の積の差

今日は九九の話です.

この前、手習い塾に行ったときに話していた学生が言っていたこと....

$6\times 8$ は $7^2-1$ を計算すればよい.

すぐに何を言っているのか分かりませんでした.
もちろん正しいのは分かるのですが.

要は

$a(a+2)$ を計算するには、 よくある和と差の積 $(b-1)(b+1)=b^2-1$ を計算
するというわけですが.つまり、$a=b-1$ とするわけです.

つまり、九九のうち $6\times 8$ を知らなくても、$7\times7$ を知っているだけで
そこから誤差 $1$ を引くだけで計算できるということですが.

実際、九九は本当に81個覚えなければならないのでしょうか?
まず、掛け算の可換性が明らかだとすると、$(1+9)\cdot 9/2=45$ 個だけでいいのですが、

さっきのように、誤差がわかっていれば、$6\times 8$ は覚える必要はありません.
そうすると

$n\times(n+2)$ は $(n+1)^2$ から $1$ を引けばよいわけだから平方数 $n^2$ を
覚えていればよい.

また、偶数個離れていても、

$(n+m)(n-m)=n^2-m^2$ と 平方数が分かっていれば引き算すればよい.

$2\times 6$ や$3\times 9$ 等は、平方数より重要度が低いことになります.
例えば $2\times 6$ は、掛けているふたつの数 $2,6$の平均の $4$ の平方を計算し、
2数 $2,6$ の平均からのからのずれ $2$ の平方をとればよい.
つまり、$2\times 6=4^2-2^2$

同じように、$3,9$ の積に対しては、2つの平均の $6$の平方から、ずれの $3$
の平方の差を計算すればよい.
つまり、$3\times 9=6^2-3^2$ となります.

では、奇数個離れている積はどうすればよいでしょうか?
$n(n+1)$や$n(n+3)$はどうすればよいか?

しかし、2や 10は平方数の差を計算しても出てきません.

仕方がないから $n(n+1)$ も覚えましょうか.

そうすると、

$n(n+2m+1)=(k-m)(k+m+1)=k^2-m^2+k-m=k(k+1)-m(m+1)$

となり、全ての奇数の差の積は $n(n+1)$ の形の差として書けることがわかりました.

つまり、

$2\times 5=2(2+3)=3\times 4-1\times 2$ や
$3\times 8=3(3+5)=5(5+1)-2(2+1)$

などととなります.
つまり、掛ける2つの数の平均の整数部分 $n$ の $n(n+1)$ から $n$ と小さい方との差
$m$ に対する $m(m+1)$ を引く.

全ての整数の掛け算は偶数差か奇数差なので、$n^2$ と $n(n+1)$ を覚えていれば、
任意の $n\times m$がそれらの引き算で計算出来ることになります.

九九を平方数のところと、$n\times (n+1)$ のところを書いておきます.

$1$$2$$1\times 3$$1\times 4$$1\times 5$$1\times 6$$1\times 7$$1\times8$$1\times 9$
$2$$4$$6$$2\times4$$2\times 5$$2\times 6$$2\times 7$$2\times 8$$2\times 9$
$3\times 1$$6$$9$$12$$3\times 5$$3\times 6$$3\times7$$3\times 8$$3\times 9$
$4\times 1$$4\times 2$$12$$16$$20$$4\times 6$$4\times 7$$4\times 8$$4\times 9$
$5\times 1$$5\times 2$$5\times 3$$20$$25$$30$$5\times 7$$5\times 8$$5\times 9$
$6\times 1$$6\times 2$$6\times 3$$6\times 4$$30$$36$$42$$6\times 8$$6\times 9$
$7\times 1$$7\times 2$$7\times 3$$7\times 4$$7\times 5$$42$$49$$56$$7\times 9$
$8\times 1$$8\times 2$$8\times 3$$8\times 4$$8\times 5$$8\times 6$$56$$64$$72$
$9\times 1$$9\times 2$$9\times3$$9\times 4$$9\times 5$$9\times 6$$9\times 7$$72$$81$


九九のその他の表をそれらの差で書いていくと

$1$$2$$4-1$$6-2$$9-4$$12-6$$16-9$$20-12$$25-16$

$4$$6$$9-1$$12-2$$16-4$$20-6$$25-9$$30-12$


$9$$12$$16-1$$20-2$$25-4$$30-6$$36-9$



$16$$20$$25-1$$30-2$$36-4$$42-6$




$25$$30$$36-1$$42-2$$49-4$





$36$$42$$49-1$$56-2$






$49$$56$$64-1$







$64$$72$








$81$


となり、見事に、その他の三角の部分は平方数の差や $n(n+1)$ の形の数の差として
表せることが分かりました.

よって、分かったことは、

定理
任意の自然数は平方数($0$も含めて)の差、もしくは、$n(n+1)$の形の数($0$を含めて)
差として表せる.

特に九九の計算においては、平方数と $n(n+1)$ の数を覚えておけば、適当に差をとることで
全て求めることができる.


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