2014年6月6日金曜日

セミナーについて

この前、手習い塾で学部生とセミナーについて話していたんですが、

どこか誤解していることもあるかと思いましたので
大学で行われているセミナーや集中講義、その派生型など少しまとめてみました。

まずは、

[一般のセミナー]
セミナー一般について書きます。

数学を勉強し始めるとき、どんなきっかけかわかりませんが、
少なくとも数学の授業や本や雑誌などから入ると思います。
授業を聞いて理解したり、本を読み進めながら数学を理解して行きます。
大抵この場合一人で行います。

大学では同じ専攻の人達が集まっています。
同じ専攻の人達と数学を効率良く学習する方法が
セミナーと言われるものです。

セミナーでは話す方(スピーカー)と聞く方(リスナー)に分かれており、
スピーカーはある特定の話題に対してリスナーにそれを説明します。

この時、両者に対して次のような勉強の効果があります。

(スピーカー)
人の前で話すためにそれなりの準備をしなければなりません。
必然的に勉強になるわけですが、話している時に
再び分からなくなる時があります。
これは自分が理解していなかったことを意味しているのです。
自分だけの理解だけではなく、それをよく理解していない人にも
理解させる必要があります。
これは良い思考訓練になります。
プレゼン能力の向上にもつながります。

ここに河東先生のセミナーの準備について書いてあります。
竹山先生の文章はこちら

(リスナー)
数学の話を聞くだけではなく、能動的に質問をしてお互い理解して行く
責任があります。
授業を一方的に聞くだけだったり、家で本を読むだけより、自分の理解の
助けになることが多いです。

ちなみに、本を読むことが悪いとは言いませんが、本は抽象的に書かれていることが多く、
一体それで何をしたいのかはっきり書いていないものも結構あります。
基礎数学の分野では基礎すぎで(つまり応用がありすぎて)
何をしたいのかさっぱりわからないことがあります。
必ずやらされる線形代数の内容は重要ですが、
内容は面白くないですよね。
いわば、スポーツをする前の筋トレだと思って下さい。


「話を元に戻せば」
セミナーは普通の授業より少人数であり、その分積極的に質問したり
議論したりすることが中心となります。
学問を本当に体得するにはこのような積極的な姿勢がないと中々うまく行きません。
セミナーは双方の立場で学習能力の向上につながるのです。

外書輪講や卒業研究のセミナーはそのパターンの勉強法です。

[自主ゼミ]
自主ゼミ(自主セミナー)とは、多くの場合、学生同士で行うもので、
同じような学力の人たちが自主的に集まってある一冊の本を読み進めたり、
議論したりするものです。
大学生が積極的に学べる場です。

学類で習うような数学は、数学の基礎の部分の一部だけで、
授業だけで全て補うのは無理があります。
多くの大学ではそのような自主ゼミサークルがあり、自分たちで
勉強を進めています。

私も学部の頃に友達と自主ゼミをよくやっていました。
(周りは数学オタクが多かった。。。)
終わった後にそのまま遊びに行ったり、みんなでご飯を食べに行ったり
も良くしていました。

自主ゼミに先生が入る場合がまれにありますがこれは単なる監督、
もしくは辞書がわりのような役目です。

[大学内で行われているナントカセミナー]
(ナントカには分野の名前が入ります。)
話している人が先生だったり、院生だったりしていますが、
セミナーという名前の通り、いくら偉い先生だからと言って気後れすることなく
ジャンジャン質問してみましょう。
普通1時間くらいで終わってしまい、話者の結果の説明もあったりするので
最初から専門的な話が飛び交うことが多いです。
良心的な人なら、易しいところからの解説があるかもしれません。

[集中講義]
短期集中的に行われる講義で、4,5日連続で講義があります。

しかし普通の講義と同じ種類で、出席やレポートがある場合があり、
単位を取得することができます。
大抵学外から人を雇ってきてもらいます。
しかし、これも少人数で有ることもあり、専門的な授業ではありますが、
密度の濃い授業になります。
名前こそ講義となっていますが、実態は短期集中型セミナーと
思って良いでしょう。

学部4年生くらいで理解できる内容で始まることが多いです
数学の最先端の話が聞ける機会でもあります。
その分野の専門家のいない大学の数学科の教官にとっても
絶好の勉強の機会となります。

[合宿型セミナー]
文字通り、泊まり込みで何処かの施設を借りて、集中講義のような
ことを行うものです。
この場合、何人かの話し手がいます。
普段の集中講義では、講義が終わってさっさと帰ってしまう
場合が多く、理解できないところが残ったり、物足りなさを感じる時があります。
合宿型であれば、講義が終わってからでも
講演者に詰め寄って夜通し議論することもできます。
そんなに熱心な人は中々いませんが。

私も院生の頃にこのようなセミナーに参加したことがあり、
数学についてを話しているのは山みちを歩いている時だったり、
みんなでご飯を食べている時だったり、
温泉の中だったりしていました。
夜、飲みかいさながらの議論もありました。

また、数学者と数学の話をしながら山道を巡って遭難しそうに
なったこともありました。

また、問題解決のための合宿型セミナーもあります。
つまり、参加者が問題を複数持って来ておいて、
その場で問題を提示し、みんなで議論しながら答えを探して行くものです。
日本ではこのようなセミナーはあまり見かけませんが、
海外では組み合わせ論などの研究者が集まってこのような
セミナーを開いているところがあるようです。

このような合宿型のセミナーでは
普段とは違う環境で勉強をすることで集中力が増したり、
友達との接触でモチベーションを上げる機会にもなります。

このようなセミナーに参加するには数学教室の掲示板や人づて、
インターネットなどで情報を得ましょう。










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