2019年12月12日木曜日

トポロジー入門(第6回)

[場所1E303,203(月曜日3,4限)]


今回は近傍系を元に位相空間を構成することを行いました。
前回最後に以下を定義しました。

定義5.5
$X$ を集合とする。$\forall x\in X$ に対して $\mathcal{N}(x)\subset \mathcal{P}(X)$
を次を満たすものとする。
(1) $\mathcal{N}(x)\neq \emptyset\land (V\in \mathcal{N}(x)\to x\in V)$
(2) $\forall V_1,V_2\in \mathcal{N}(x)(V_1\cap V_2\in \mathcal{N}(x))$
(3) $\forall V\in \mathcal{N}(x)(V\subset W\to W\in \mathcal{N}(x))$
(4) $\forall V\in \mathcal{N}(x)\exists W\in \mathcal{N}(x)(y\in W\to V\in \mathcal{N}(y))$
このとき、$\mathcal{N}(x)$ を$x$ の近傍系といい、$\mathcal{N}(x)$ の元を
$x$ の近傍という。

また、近傍系を集めた集合 $\mathcal{N}=\{\mathcal{N}(x)|x\in X\}$ を$X$ の近傍系という
ことにします。

ここでの話題は
近傍系と開集合系の同値性
です。

開集合系をもつ位相空間 $(X,\mathcal{O})$ から、
ある近傍系を定義することができます。

定義6.1 $(X,\mathcal{O})$ を位相空間とする。$\mathcal{N}_{\mathcal{O}}(x)$ を
$$\{V\in \mathcal{P}(X)|\exists U\in \mathcal{O}(x\in U\subset  V)\}$$
として定義する。

このとき、以下を証明をしました。

定理6.1 $(X,\mathcal{O})$ を位相空間とする。$\forall x\in X$ に対して
$\mathcal{N}_{\mathcal{O}}(x)$ は $x$ の近傍系である。

(証明) まず、開集合 $U\in \mathcal{O}$ と $x\in U$ に対して
$U\in \mathcal{N}_{\mathcal{O}}(x)$ であることは簡単にわかります。

近傍系の条件(1)から(4)を満たすことを示します。
(1) $X\in \mathcal{N}_{\mathcal{O}}(x)$ を満たすので、成り立ちます。
(2) $V_1,V_2\in \mathcal{N}_{\mathcal{O}}(x)$ とすると、
$x\in U_1\subset V_1$ かつ $x\in U_2\subset V_2$ を満たす $U_i\in \mathcal{O}$ を
が存在します。よって
$x\in U_1\cap U_2\subset V_1\cap V_2$ かつ $U_1\cap U_2\in \mathcal{O}$
を満たすので、$V_1\cap V_2\in \mathcal{N}_{\mathcal{O}}(x)$ となります。
(3) $V\in \mathcal{N}_{\mathcal{O}}(x)$ に対して、$U\in \mathcal{O}$ が存在して、
$x\in U\subset V$ が存在します。$V\subset W$ とすると、
$U\subset V\subset W$ が成り立ち、とくに、$x\in U\subset W$ となるので、
$W\in \mathcal{N}_{\mathcal{O}}(x)$ となります。
(4) $\forall V\in\mathcal{N}_{\mathcal{O}}(x)$ に対して $x\in W\subset V$ を満たす
$W\in \mathcal{O}$ が存在します。
証明の最初の記述から $\forall y\in W$ に対して、
$W\in \mathcal{N}_{\mathcal{O}}(y)$ となります。
よって、$W\subset V$ であるから、$V\in \mathcal{N}_{\mathcal{O}}(y)$ となります。
$\Box$


各点 $x$ に対して $x$ の近傍系 $\mathcal{N}(x)$ を
定義したとき、逆に $X$ に位相を定義することができます。

定義6.2   各点 $x$ に対して $\mathcal{N}(x)$ を近傍系とすると、
$\mathcal{O}_{\mathcal{N}}$を $\{U\subset X|\forall x\in U(U\in\mathcal{N}(x))\}$ と定義する。

 そのとき、以下を示しました。

定理6.2 $\mathcal{O}_{\mathcal{N}}$ は開集合系である。

(証明) (I) の成立は省略します。
(II) を証明をします。$U_1,U_2\in \mathcal{O}_{\mathcal{N}}$ とします。
$\forall x\in U_1\cap U_2$ とすると、$x\in U_1$ かつ $x\in U_2$ が成り立ち、
$U_1\in \mathcal{N}(x)$ かつ  $U_2\in \mathcal{N}(x)$ を満たします。
よって、近傍系の定義の(2)から $U_1\cap U_2\in \mathcal{N}(x)$ を満たすので、
$U_1\cap U_2\in \mathcal{O}_{\mathcal{N}}$ が成り立ちます。
(III) を証明します。$\{U_\lambda\in \mathcal{O}_{\mathcal{N}}|\lambda\in \Lambda\}$ とします。
このとき、$x\in \cup_{\lambda\in \Lambda}U_\lambda$ とすると、
$\exists \lambda\in \Lambda(x\in U_\lambda)$ となり、$U_\lambda\in \mathcal{N}(x)$
となります。よって 近傍の条件(3) から$\cup_{\lambda\in\Lambda}U_\lambda\in \mathcal{N}(x)$ ですから、
$\cup_{\lambda\in \Lambda}U_\lambda\in \mathcal{O}_{\mathcal{N}}$ が成り立ちます。
よって、位相の条件が満たされるので、$\mathcal{O}_{\mathcal{N}}$ は開集合系となります。$\Box$

まとめると $X$ を集合としたとき、写像
$$\{\mathcal{O}|\mathcal{O}\text{は $X$ 上の開集合系}\}\to \{\mathcal{N}|\mathcal{N}\text{は$X$ の近傍系}\}$$
$$\mathcal{O}\mapsto \mathcal{N}_{\mathcal{O}}$$
を定義しました。また、この逆向きの写像
$\mathcal{N}\mapsto \mathcal{O}_{\mathcal{N}}$ も定義できました。

実際、これらの写像が逆写像の関係であることを示しましょう。

定理6.3 $\mathcal{O}_{\mathcal{N}_{\mathcal{O}}}=\mathcal{O}$ である。

(証明) $U\in \mathcal{O}_{\mathcal{N}_{\mathcal{O}}}$ とします。
このとき、$\forall x\in U$ に対して $U\in \mathcal{N}_{\mathcal{O}}(x)$ が成り立ちます。
よって $x\in V_x\subset U$ となる $V_x\in \mathcal{O}$ が存在して、
$U=\cup_{x\in U}V_x$ が成り立ちます。
(このイコールの証明は省略します。)
位相の条件 (III) より、$U\in \mathcal{O}$ となります。

逆に、$U\in \mathcal{O}$ が成り立つとすると、$\forall x\in U$ に対して $U\in \mathcal{N}_{\mathcal{O}}(x)$ 
が成り立ちます。これは、$U\in \mathcal{O}_{\mathcal{N}_{\mathcal{O}}}$ 
が成り立つことを意味します。$\Box$

また、次が示されます。

定理6.4 $\mathcal{N}_{\mathcal{O}_{\mathcal{N}}}=\mathcal{N}$ である。

$\forall x$ に対して、$V\in \mathcal{N}_{\mathcal{O}_{\mathcal{N}}}(x)$ とします。
このとき、$\exists U\in \mathcal{O}_{\mathcal{N}}(x\in U\subset V)$ が成り立ちます。
また、$U\in \mathcal{N}(x)$ ですから、(3)から $V\in \mathcal{N}(x)$ が成り立ちます。

逆に、$V\in\mathcal{N}(x)$ とします。
$V’=\{y\in X|V\in \mathcal{N}(y)\}$ と定義します。
このとき、$z\in V’$ に対して $V\in \mathcal{N}(z)$ であるから、とくに $z\in V$ であり、
$V’\subset V$ が成り立ちます。
また、$\forall y\in V’$ とすると、$V\in \mathcal{N}(y)$ が成りたち、(4)から
$\exists W\in \mathcal{N}(y)$ かつ $z\in W\to V\in \mathcal{N}(z)$ が成り立ちます。
よって、$z\in V’$ であるから、
$W\subset V’$ が成り立ちます。(3) より、$V’\in \mathcal{N}(y)$ が成り立ちます。
これは、$V’\in \mathcal{O}_{\mathcal{N}}$ であることがわかります。
よって、$V\in \mathcal{N}_{\mathcal{O}_{\mathcal{O}}}$ がわかりました。$\Box$

ここで以下を示します。
定理6.5
$O=\{\mathcal{O}|\mathcal{O}\text{は $X$ 上の開集合系}\}$
とし、
$M=\{\mathcal{N}|\mathcal{N}\text{は$X$ の近傍系}\}$
としたとき、$\phi:O\to M\ \ (\mathcal{O}\mapsto \mathcal{N}_{\mathcal{O}})$
としたとき $\phi$ は全単射である。

(証明)
$\forall \mathcal{O}_1, \mathcal{O}_2\in O$ を取ります。
このとき、$\phi(\mathcal{O}_1)=\phi(\mathcal{O}_2)$ であるとすると、
$\mathcal{N}_{\mathcal{O}_1}=\mathcal{N}_{\mathcal{O}_2}$ であるから、$\mathcal{O}_{\mathcal{N}_{\mathcal{O}_1}}=\mathcal{O}_{\mathcal{N}_{\mathcal{O}_2}}$ 
であり、定理6.3から $\mathcal{O}_1=\mathcal{O}_2$ が成り立ちます。
よって $\phi$ は単射であることがわかります。$\phi$ が全射であることは
定理6.4からわかります。 $\Box$

定理6.6 
$(X,\mathcal{N}_X)$ と $(Y,\mathcal{N}_Y)$ を $X,Y$ 上の位相空間とする。
このとき、$f:X\to Y$ が連続であることの必要十分条件は、$\forall x\in X$
において、$\forall V\in \mathcal{N}_Y(f(x))\to \forall f^{-1}(V)\in \mathcal{N}_X(x)$
が成り立つことである。

(証明) 
$f$ が連続であるとします。
このとき、$\forall V\in \mathcal{N}(f(x))$ とすると、
$f(x)\in U\subset V$ となる $U\in \mathcal{O}_{\mathcal{N}_Y}(f(x))$ が存在して、
$x\in f^{-1}(U)\subset f^{-1}(V)$ が成り立ち、連続性から $f^{-1}(U)\in \mathcal{O}_X$ となります。
$f^{-1}(V)\in \mathcal{N}(x)$ が成り立ちます。

逆を示します。$\forall U\in \mathcal{O}_Y$ とします。
このとき、$\forall x\in f^{-1}(U)$ に対して $U\in \mathcal{N}_Y(f(x))$
ですから条件より、$f^{-1}(U)\in \mathcal{N}_X(x)$ となるので、
$f^{-1}(U)\in \mathcal{O}$ が成り立ちます。
よって $f$ は連続となります。$\Box$


次に
基本近傍系
について言及しました。

定義6.3
$\mathcal{N}(x)$ を $x$ の近傍系とする。
$\mathcal{N}^\ast(x)\subset \mathcal{N}(x)$ が基本近傍系であるとは、
$\forall V\in \mathcal{N}(x)$ に対して $\exists V’\in \mathcal{N}^\ast(x)(V’\subset V)$ を
満たすものをいう。

つまり、基本近傍系とは、近傍系の部分集合で近傍として基本的なものを
含んでいるものです。基本的というのは、いくらでも小さい近傍が含まれるということを意味します。


例えば、$X$ 上の距離位相空間 $\mathcal{O}_d$ において、
$\mathcal{N}_d=\mathcal{N}_{\mathcal{O}_d}$ と定義します。
$\mathcal{N}^\ast_d(x)=\{B_d(x,\epsilon)\subset X|\epsilon>0\}$ としますと、
$\mathcal{N}^\ast_d(x)$ は$\mathcal{N}_d$ の基本近傍系となります。

定義6.3.5
$(X,\mathcal{O})$ が第1可算空間であるとは $\forall x\in X$ に
対して高々可算個の基本近傍系をもつことをいう。


例えば、任意の距離位相空間 $\mathcal{O}_d$ は第1可算空間です。
基本近傍系 $\mathcal{N}^\ast(x)$ として、$\mathcal{N}^\ast(x)=\{B_d(x,\frac{1}{n})|n\in\mathcal{N}\}$ とすると
$\mathcal{N}^\ast(x)$ は基本近傍系になります。
というのは、$U\mathcal{N}(x)$ に対して、$B_d(x,\epsilon)\subset U$ となる$\epsilon>0$
が存在しますが、$\frac{1}{n}<\epsilon$ を取れば、$B_d(x,\frac{1}{n})\subset B_d(x,\epsilon)\subset U$ となるからです。

開基を定義します。

定義6.4
$(X,\mathcal{O})$ を位相空間とし、$\mathcal{B}\subset \mathcal{O}$ が開基
であるとは、$\forall U\in \mathcal{O}$ と $\forall x\in U$ に対して、$B\in \mathcal{B}$
が存在して、$x\in B\subset U$ となることをいう。

最後に次の定理を示して終わりました。

定理6.7
$(X,\mathcal{O})$ を位相空間とする。$\mathcal{B}\subset \mathcal{O}$
が開基であることは、$\forall U\in \mathcal{O}$ に対してある $\mathcal{B}’\subset \mathcal{B}$
が存在して、$U=\cup\mathcal{B}’$ とできることをいう。

証明
$\mathcal{B}\subset \mathcal{O}$ を開基とします。
このとき $\forall U\in \mathcal{O}$ に対して、$\mathcal{B}’=\{V\subset X|V\in \mathcal{B},x\in V\subset U\}$
とすると、$\cup\mathcal{B}’=U$ となります。
というのは、$\subset$ は、$\forall V\in \mathcal{B}’$ に対して、$V\subset U$
となり、$\supset$ は、$\forall x\in U$ に対して$x\in V\in \mathcal{B}’$
からです。
逆を示します。$\forall U\in \mathcal{B}$ に対して $U=\cup\mathcal{B}’$ かつ $\mathcal{B}’\subset \mathcal{B}$
となる$\mathcal{B}’$ が存在するので、
$\forall x\in U$ に対して、$V\in \mathcal{B}’$ が存在して、$x\in V$ となるので、
$x\in V\subset U$ となります。$\Box$

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