4/22に行った総合科目II(数学との出会い)
についての内容をまとめておきます。
第2回はグラフ理論をやるつもりでしたが、
前半はもう少し対称性についての話をしておこうと思いました。
そこで、
最初に出した、図形の対称性の話を使って復習をします。
鏡映群
鏡映とは線対称のことです。
なので、鏡映変換とは、線対称変換のことです。
つまり、例えば、平面上の曲線に沿った線対称のことです。
下のような正三角形があります。
正三角形には、対称軸となるものが3本あります。
下の図のように、その対称軸を $A,B,C$ とおくことにします。
また、頂点には、下のように番号を振っておきます。
このとき、この軸に沿って線対称変換によって、三角形を写してやっても
正三角形自体変わりません。よって、第一回目の最初の方でやった
結論を考慮すると、この3つの対称軸は、正三角形の対称性ということになります。
これは対称性の復習です。
ここでやりたいことは、この対称性によって、三角形がどのように写されるかということです。それぞれの軸によって、三角形は、下のようになります。
このとき、頂点がどのように動いたかを記録しておくと、
$A\mapsto \begin{pmatrix}1&2&3\\1&3&2\end{pmatrix}$
$B\mapsto \begin{pmatrix}1&2&3\\3&2&1\end{pmatrix}$
$C\mapsto \begin{pmatrix}1&2&3\\2&1&3\end{pmatrix}$
のように写されます。
まるで、右側は、対称群の元のように書いてあります。(わざとですが...)
どういういう意味かというと、1,2,3という点が、動いた先は、元々
どのような点の位置だったかを読み取っています。
そして、この右辺を対称群の元の積と $\sigma_i$ を用いて書いてやると、
$A\mapsto \sigma_2$
$B\mapsto \sigma_1\sigma_2\sigma_1$
$C\mapsto \sigma_1$
となります。また、$A,B,C$ 正三角形の対称軸を表していましたが、
その対称軸による対称変換と同一視しておけば、$A,B,C$ の間にも積が
定義できます。つまり、$B\cdot A$ として $A$ による対称変換を
した後に、$B$ による対称変換をするという具合にします。
そうすると、$B\cdot A$ に対応すると、
頂点がどこに行ったかを追っていくと、
となります。つまり、置換の書き方をすれば、$\begin{pmatrix}1&2&3\\2&3&1\end{pmatrix}=\sigma_2\sigma_1$
となります。
この置換は、$\sigma_2\sigma_1=\sigma_2\sigma_1\sigma_2\sigma_2$
と書き直すことができて、
$B\mapsto \sigma_2\sigma_1\sigma_2$
かつ、
$A\mapsto \sigma_2$
であるから、軸による積の関係と対称群としての積の関係がちょうど関係していることが分かります。
つまり、$R_3$ を正三角形の鏡映全体とその積を取ったもの全体とすると、
$f:R_3\to S_3$
のような写像が
$f_3(X\cdot Y)=f_3(X)\cdot f_3(Y)$
を満たしているのです。
上では、$X=B$, $Y=A$ の場合を確かめたのみですが、ほかの場合を確かめるレポートを出しました。
$f_3$ の中の $\cdot$ は、対称変換の
合成ですが、$f_3$ の外の $\cdot $ は、あみだくじの積からくる対称群の積ということになります。
この2つの積が $f_3$ という操作によって対応していると見ることもできます
ここで、よく見てみると、上の $B\cdot A$ は、120°の回転をしています。
つまり、鏡映を2つ合成すると、回転が生まれます。
よく考えたら、120°回転というのは、正三角形を不変にします。
つまり、回転も対称変換の仲間に入れるべきなのです。
ある変換が図形を変えないように動かすのなら、その合成(積)
も図形を変えないように動かします。
よって、$R_3$ というのは、鏡映全体の積を取ったものというより、
正三角形の対称変換全体ということができます。
ここで、$R_3$ がどれほどあるか数えましょう。
正三角形の一つの頂点1がまず対称変換によってどこに写るかを考えると、
そのパターンは全部で3種類あります。
また、1の隣の2は、その対称変換によって1の右隣に行くか、
左隣にいくかによって2種類あります。
もし、そのどちらかを決めれば、3の場所は、自動的に決まるので、
正三角形の対称変換は全部で、$3\times 2=6$ 種類となります。
つまり、$R_3$ の中には、6個の対称変換が含まれています。
また、
$f_3:R_3\to S_3$
は同型です。
結論として以下のことが成り立ったことになります。
結論
三角形の対称性のなす群と、あみだくじのなす群は同じものである。
ここで、同じものというのは、同型という意味です。
群を用いたことで、まったく違う出どころの
対象が群を用いて結びつけることができるようになります。
また、同じように、$R_n$ を正 $n$ 角形の対称変換とすると、1,2の行き先を決めれば、
自動的にそのほかの頂点の場所は決まるので、$R_n$ は全部で $2n$ 個の対称変換を含みます。
同じように、写像
$f_n:R_n\to S_n$
を定義することが出来ますが、これは、$R_n$ と $S_n$ に含まれる元の個数は
それぞれ、$2n$ と $n!$ ですので、両者の個数を比べてみても $n>3$ の場合は
全単射にはなりません。
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