Processing math: 100%

2018年11月18日日曜日

トポロジー入門演習(第6回)

[場所1E202(月曜日4限)]

HPに行く

今回の演習をした時に、あまり理解ができていなさそうだったところを書いておきます。


問題4-1
f が連続であることと
任意の部分集合 Af(\bar{A})\subset \overline{f(A)} であることは
同値であることを示せ。

補足ですが、連続写像 f:X\to Y に対して、AX の部分集合です。

f:X\to Y が連続であるとすると、任意の開集合 U\subset Y に対して f^{-1}(U)
開集合であることと同値です。
さらに言い換えて、任意の閉集合 F\subset Y に対して f^{-1}(F)
X の閉集合であること同値です。

この関係を使いましょう。

もし f が連続であるとします。
X の任意の部分集合を A とします。
A\subset f^{-1}(f(A))\subset f^{-1}(\overline{f(A)})  が成り立ちます。
f^{-1}(\overline{f(A)})  は閉集合であり、\bar{A}A を包む閉集合の中で
最小のものだから、\bar{A}\subset f^{-1}(\overline{f(A)}) となり、
両辺に f をかけて、
f(\bar{A})\subset \overline{f(A)} となります。

つぎに、任意の部分集合 A\subset X に対して f(\bar{A})\subset \overline{f(A)}
が成り立つと仮定しましょう。
このとき、
F を任意の Y の閉集合とします。
このとき、f(\overline{f^{-1}(F)})\subset \overline{f(f^{-1}(F))}=\bar{F}=F となり、
\overline{f^{-1}(F)}\subset f^{-1}(F)\subset \overline{f^{-1}(F)} より、
f^{-1}(F)=\overline{f^{-1}(F)} が成り立ちます。
よって、f^{-1}(F) も閉集合であるから、f が連続である
ことになります。


問題4-3
x\in XA\subset X の触点であることと、d(x,A)=0 であることは
同値であることを示せ。


この問題の証明についてまだあまりできていませんでした。
d(x,A) の定義は inf を使って次のように定義します。

d(x,A)=\inf \{d(x,a)|a\in A\}

つまり、A のある点 a からの距離 d(x,a) の下限として定義されます。

d(x,A)=0 とは、A のある点からの距離の下限が 0
ということなのですが、
d(x,A)=0 から言えることは、d(x,A)\ge 0 なので当然
d(x,A)=\epsilon>0ではないので、
\epsilon より近い x からある A までの元は必ず存在します。

よって、\forall \epsilon>0 について、d(x,a)< \epsilon となる a\in A が存在します。
もう少し言い換えれば、任意の \epsilon>0 に対して、B_d(x,\epsilon)\cap A の元は
存在することになります。

\forall \epsilon>0 に対して、B_d(x,\epsilon)\cap A\neq \emptyset であることは
x\in \bar{A} であることの定義でしたので、よって、x\in \bar{A} となります。

また、逆に、x\in \bar{A} であるとすると、任意の \epsilon>0
対して、B_d(x,\epsilon)\cap A\neq \emptyset であることより、
\forall \epsilon>0 に対して、d(x,a)<\epsilon かつ a\in A であることになるので、
0 より大きい実数は \{d(x,a)|a\in A\} の下界になりません。
また、0 より小さい実数は、下界の最大にもなりません。
d(x,a)\ge 0 であるので、0 より小さい実数 -\delta より大きい実数でも
0 以下であれば、\{d(x,a)|a\in A\} の下界になります。
よって、 0\{d(x,a)|a\in A\} の下界の最大になります。

よって、d(x,A)=\inf\{d(x,a)|a\in A\}=0 となります。


これで証明はおわりです。
少し丁寧すぎるくらい長々と証明をしました。

また、d(x,A)=0 だからといって、x\in A にはならないので気をつけてください。
問題4-2でそのような例を与えました。
A=B((0,0),1)x=(1,0) とするとき、d(x,A)=0 ですが、x\not\in A です。

今回渡した問題の基本近傍系ですが、まだ、講義では行なっていないかもしれません。

定義はこうです。

x\in X に対して、\mathcal{R}(x)x の近傍系( x の近傍全体の集合) とし、
N(x)\subset \mathcal{R}(x)x の基本近傍系であるとは、
\forall V\in \mathcal{R}(x) に対して、ある W\in N(x) が存在して、
W\subset V となることです。

どんな近傍にもそれに含まれる基本近傍系の元が含まれることになります。
とくに、基本近傍系の中にはいくらでも小さい近傍が存在することになります。

0 件のコメント:

コメントを投稿