2017年11月14日火曜日

トポロジー入門演習(第6回)

[場所1E202(月曜日4限)]

HPに行く


今日はテストをしてもらいました。
これから採点します。

今回は、近傍の定義について少し説明を加えました。

$(X,\mathcal{O})$ を位相空間とします。


近傍
$V\subset X$ が $x$ の近傍であるとは、$U\in \mathcal{O}$ が存在し $x\in U\subset V$ となることである。


つまり、以下が同値となります。(1) は上の定義を言葉で言い換えたもの。

(1) $x$ を含むような開集合が $V$ に包まれる。
(2) $x\in V^\circ$ である。
(3) $x$ が $V$ の内点である。

(証明)
(1) $\Rightarrow$ (2)
$x$ を含むような開集合 $A$ が $V$ に包まれているのだから、
$x\in A\subset V$ である。
また、$V^\circ$ は $V$ に包まれる開集合で最大のものだから、
$A\subset V^\circ$ であり、とくに、$x\in V^\circ$ である。

(2) $\Rightarrow$ (1)
$x\in V^\circ \subset V$ であり、$V^\circ$ が $V$ に包まれ、$x$ を
含む開集合である。

(2) $\Leftrightarrow$ (3)
$x$ が $V$ の内点であることは、$x\in V^\circ$ であることの定義。

位相 $\mathcal{O}$ 上の開集合と閉集合について
位相空間 $(X,\mathcal{O})$ の部分集合 $A$ が開集合であるための必要充分条件をまとめました。
下のどれもが $A$ が開集合であることと必要充分です。
  • $A\in \mathcal{O}$ である。
  • $A=A^\circ$  であること。
  • $\forall x\in A$ に対して、$\exists U\in \mathcal{O}$ があり、$x\in A\subset U$ が成り立つ。
  • $\forall x\in A$ に対して、$A\in \mathcal{N}(x)$  ($x$ の近傍) が成り立つ。
$\mathcal{O}$ が距離位相 $\mathcal{O}_d$ であるときには、
  • $\forall x\in A$ に対して、$\epsilon>0$ が存在して、$x\in B_d(x,\epsilon)\subset  U$ が成り立つ。
また、$B$ が閉集合であることは、
  • $B^c$ ($B$ の補集合) が開集合であること。
を使うことで、閉集合の条件を開集合の条件として言い換えることができます。
しかし、よく考えず、$B\not\in \mathcal{O}$ や $B^\circ \neq B$ ということは意味しません。


注意してください。

例えば、上の2番目の条件に相当する、$B$ が閉集合であるための条件は、

  • $\bar{B}=B$ であること


となります。

なので、$B$ が開集合でないからといって閉集合というわけではありません。
あくまで、閉集合は、補集合が開集合になっている集合をいいます。

つまり、位相空間の任意の部分集合は以下のように4つのパターンに分けられます。

開集合である 開集合でない
閉集合である A B
閉集合でない C D

上のA, B, C, D に当てはまる例として以下のものがあります。

A 空集合や全体集合
B ユークリッド距離空間の閉円盤
C ユークリッド距離空間の開円盤
D ${\mathbb R}$ 上の通常の距離位相としての半開区間 $(a,b]$

Dの例としては、$\{0,1\}$ 上の密着位相 $\{\emptyset, \{0,1\}\}$ における一点集合 $\{0\}$ もその例です。

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