[場所1E202(月曜日4限)]
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今回は、連続性についての課題でしたが、4の課題を取り組んでもらいました。
課題4-2-4の共通部分と和集合が逆になっていました。
課題4-1
近傍について以下を示せ。
(1) ${\mathbb R}$ 上の距離位相 $\mathcal{O}_d$ において、$\mathcal{N}(x)$ には
いくらでも直径が小さい近傍が存在することを示せ。
(2) $U$が $X$ の開集合であることと$\forall x\in U$ に対して、$U\in \mathcal{N}(x)$
であることは同値であることを示せ。
(1) 距離空間において部分集合 $A$ の直径は、$\text{diam}(A)=\sup\{d(x,y)|x,y\in A\}$ と定義されます。
この $\sup$ は存在すれば、$A$ は有界といい、そうでない場合は $\text{diam}(A)=\infty$ となります。
存在を示せば良いので、全ての近傍を考える必要はありません。
例えば、 $\epsilon$-近傍は、$B_d(x,\epsilon)$ です。この近傍の直径は $2\epsilon$ です。
また、いくらでも小さい....のような言葉を証明するには、
$\forall t>0$ に対して、$t$ より小さい直径の $\epsilon$-近傍を作ればよいことになります。
(2) 課題3-1-2 を思い出してください。
$A\in\mathcal{O}$ であることは、$\forall x\in A$ に対して、ある $U\in \mathcal{O}$ が存在して、$x\in U\subset A$ となることと同値。
でした。この後半の条件は、$U$ が $x$ の近傍になっていることを意味しています。
課題4-2
次の等式を示せ。
(1) $(A\cap B)^{\circ}=A^{\circ} \cap B^{\circ}$
(2) $\overline{A\cup B}=\overline{A}\cup \overline{B}$
また、以下が成り立たない例があるか?もしあれば、それが反例であることを示し、
そうでないなら証明を与えよ。
(3) $(A\cup B)^\circ=A^\circ \cup B^\circ$
(4) $\overline{(A\cap B)}=\overline{A} \cap \overline{B}$
集合の演算と 開集合をとる操作、閉集合をとる操作がどのような関係になるか?
という問題です。
(1,2) は成り立つので証明ができます。
証明の方針は、$\subset$ と $\supset$ を満たすことを示すことです。
$A$ の内点とは、$A$ の内部 $A^\circ$ の点のことです。
つまり内点は、$A$ に包まれる開集合全ての和集合なので、$x\in A^\circ$ なら、
${}^\exists U\subset A$ なる開集合 $U$ に対して $x\in U$ となります。
$x\in (A\cap B)^\cap$ なら、$x\in U\subset A\cap B$ となる開集合が存在する
ことになります。$A\cap B \subset A,B$ であるので、$x\in A^\circ$ かつ $x\in B^\circ$
となります。
逆の $\supset$ の方も示してください。
$A$ の触点とは、$A$ の閉包 $\bar{A}$ の点のことです。
つまり触点とは、$A$ を包む閉集合の共通集合なので、$x\in \bar{A}$ なら、
${}^\forall V\supset A$ なる閉集合 $V$ に対して、$x\in V$ となります。
これも上と同じように示すことができます。
(3,4)ですが、これらは一般に成り立ちません。
よく考えれば反例は思いつくと思います。
(この4は共通部分、和集合が逆になっていたので訂正して下さい。)
課題4-3
$B_d(x;\epsilon)=\{y|d(x,y)<\epsilon\}$を$x$での $\epsilon$-近傍という。
実数上の実数値関数 $f(x)$ の $x=a$ での連続性は、$\epsilon-\delta$ 論法によって
以下のような関係として定義されていた。
$\forall \epsilon,\exists\delta>0$($\forall x\in {\mathbb R}(|x-a|<\delta)\Rightarrow |f(x)-f(a)|<\epsilon$)
この命題を $\epsilon$-近傍と集合の記号 $\subset$ を用いてどのように書き換えよ。
例えば、$\forall x\in {\mathbb R}(|x-a|<\delta)$ であるような $x$ は、$x\in B_d(x;\epsilon)$
と言い換えられますね。
また、$U\subset V$ であることの定義は、$\forall x\in U\Rightarrow x\in V$ であること
なりますので、これを用いて、集合の言葉だけで連続性の定義を言い換えましょう。
最後は集積点・孤立点の問題です。
$x$ が $A$ の集積点とは、$x$ のいくらでも近くに、$x$ 以外の $A$ の点が
存在することをいいます。つまり、
$x$ の任意の近傍 $U$ で、$(U-x)\cap A\neq \emptyset $
$A$ の集積点の集合を $A^d$ とかいて、導集合と言います。
$x\in A$ が $A$ の孤立点とは、$x$ のある近くに、$x$ 以外の $A$ の点が
存在しないことをいいます。つまり
$x$ のある近傍 $U$ で、$(U-x)\cap A= \emptyset $
課題4-4
$(X,\mathcal{O})$を位相空間とする。$A\subset X$とする。
(1) $\bar{A}$は$A^d$と$A$の孤立点からなることを示せ。
(2) $X={\mathbb R}$とし、$\mathcal{O}$を通常のユークリッド距離位相とする。${\mathbb Q}$の閉包は${\mathbb R}$であることを示せ。
(3) 上の問題は、位相を変えると$\bar{{\mathbb Q}}={\mathbb Q}$ともなることを示せ。
(1) $x\in \bar{A}$ であることは、$\forall U$ で $x\in U$ に対して、
$U\cap A\neq \emptyset$ であるものを言います。
上の孤立点と集積点の定義からすぐわかると思います。
(2) $X$ が有理数全体とするとき、$X$ の閉包とは、$x\in U$ として $U\cap X\neq \emptyset$
となる点 $x$ 全体です。
$x$ が $X$ の閉包の元であることは、 $X$ を包む任意の閉集合 $F$ に $x$ が含まれる
ということです。
$F^c\neq \emptyset$ であると仮定します。
$F$ が閉集合であることから、$\forall y\in F^c$ に対して、$y$ の開近傍 $N$ が存在し、
$N\cap F^c=\emptyset$ となります。
${\mathbb R}$ の任意の開集合において、必ず有理数が存在することを示すことができれば、
$N\cap F^c=\emptyset$ に矛盾するので、$F^c=\emptyset$ となります。
つまり、$F={\mathbb R}$ となります。
ゆえに、$X$ を包む任意の閉集合は、 ${\mathbb R}$ となります。
上で不十分な部分を証明することで証明が完了します。
(3) ${\mathbb Q}$ の閉包が ${\mathbb Q}$ であるということは、${\mathbb Q}$ が
閉集合となるような位相を入れてください。
同じことですが、無理数全体の集合が開集合であるように定義して下さい。