[場所1E101(水曜日4限)]
HPに行く.
今日は、定期試験でした.
5問あり、それぞれ20点ずつの100点満点としました.全体として以下のような成績でした.
平均点:56.1点
最高得点:80点
最低得点:20点
よくできる人もおらず、全く不勉強もおらずという感じで、
最低でも、最後の5問目E、もしくは連続の定義はできていたようでした.
各設問の得点率は、以下のようになりました.
5問あり、それぞれ20点ずつの100点満点としました.全体として以下のような成績でした.
平均点:56.1点
最高得点:80点
最低得点:20点
よくできる人もおらず、全く不勉強もおらずという感じで、
最低でも、最後の5問目E、もしくは連続の定義はできていたようでした.
各設問の得点率は、以下のようになりました.
問題 | A | B | C | D | E |
得点率(%) | 87.9 | 69.0 | 25.0 | 17.9 | 81.0 |
感想として、B などの基本的な積分計算もよく間違っている印象でした.
C は、広義積分可能であることを不等式などを使って証明して欲しかったのですが、
その記述をしている人はほとんどおらず、収束性を示した人は皆無でした.
D は、テイラー展開の問題ですが、授業中では、よく知られている関数と、それを組み合わせた関数を展開する方法について重点的に計算させたので、テイラー展開の式を直接使ってやる計算をもう少しさせるべきだったかと思います.2次までテイラー展開を正確に完成させた人は一人もいませんでした.
これらの内容は基本的なので、配付プリントを用いて夏休み中にでも復習しておくことを勧めます.後期からはさらに発展させた内容となりますので、積分計算は完璧にできるようにしておくと良いでしょう.
試験直後に試験解答をホームページに貼り付けましたが、このページには、採点後の感想と少し別解をつけて貼り付けます.
問題-15-A
(1) 任意の正の実数 $\epsilon$ に対してある正の実数 $\delta$ が存在して、任意の $|x-a|<\delta$となる $x$ に対して、$|f(x)-f(a)|<\epsilon$ が成り立つ.
(2) 任意の$\epsilon$に対して$\delta<\min\left\{1,\frac{\epsilon}{3}\right\}$ なる正の実数 $\delta$ に対して、$|x|<\delta$なる任意の $x$ に対して、
$$|f(x)-f(0)|=|2x^2+x|\le |x|(2|x|+1)<3\delta<\epsilon$$
となり、$x=0$ での連続性が言える.
注:定義に関してはよくできていました.(2) の方では、2次関数を解いている人がほとんどで、上記のような $\delta$ を選ぶ方法は簡単なのですが、少数派でした.
問題-15-B
$$\int_0^{\frac{\pi}{2}}\frac{\cos x\,dx}{1+\sin x}=[\log (1+\sin x)]_0^{\frac{\pi}{2}}=\log 2$$
$$\int_0^1x^2\log x\,dx=\left[\frac{x^3}{3}\log x\right]_0^1-\int_0^1\frac{x^2}{3}dx=-\frac{1}{9}$$
ここで、ロピタルの定理から $\lim_{x\to 0}x\log x=\lim_{x\to 0}\frac{\log x}{\frac{1}{x}}=\lim_{x\to 0}\frac{\frac{1}{x}}{-\frac{1}{x^2}}=\lim_{x\to 0}(-x)=0$ が言える.
$$\int_0^1\frac{dx}{x+\sqrt{x}}=\int_0^1\frac{2t\,dt}{t^2+t}=2\int_0^1\frac{dt}{t+1}=2[\log (t+1)]_0^1=2\log 2$$
$$\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin^3x\,dx=-\int_0^{\frac{\pi}{2}}(1-\cos^2x)(\cos x)'dx=\left[t-\frac{t^3}{3}\right]_0^1=\frac{2}{3}$$
より、各積分値の絶対値を計算すると、$\frac{1}{9}<\frac{2}{3}<\log 2<2\log 2$ であるから、それらが小さい順に積分を並び替えると、
$$\int_0^1x^2\log x\,dx,\ \ \int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin^3x\,dx,\ \ \int_0^{\frac{\pi}{2}}\frac{\cos x\,dx}{1+\sin x},\ \ \int_0^1\frac{dx}{x+\sqrt{x}}$$
となる.
注1:$x^2\log x$ の $x\to 0$ での極限が 0 となることがわかっていない人がいました.
注2:なぜか、0.6666より、0.69...の方が小さいと答えている人もいました.
問題-15-C
$0<x<\frac{1}{2}$のとき、
$$\Big|\frac{\sqrt{x}}{\sqrt{x(1-x)}}\Big|= \frac{1}{\sqrt{1-x}}\le \sqrt{2}$$
よって、$\Big|\frac{1}{\sqrt{x(1-x)}}\Big|\le \Big|\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{x}}\Big|$ が成り立ち、
$\int_0^{\frac{1}{2}}\frac{\sqrt{2}\,dx}{\sqrt{x}}$ は広義積分可能なので、$\int_0^{\frac{1}{2}}\frac{dx}{\sqrt{x(1-x)}}$ も広義積分可能.
$x=1$ での広義積分可能性は同様なので省略する.
以下、積分値を求める.
$-x^2+x=\frac{1}{4}-(x-\frac{1}{2})^2$ となり、ここで、$x-\frac{1}{2}=\frac{1}{2}\sin t$ とおくと、
$-x^2+x=\frac{1}{4}(1-\sin^2t)=\frac{\cos^2t}{4}$、$dx=\frac{1}{2}\cos t dt$ となり、
$$\int_0^1\frac{dt}{\sqrt{x(1-x)}}=\int_{-\frac{\pi}2}^{\frac{\pi}{2}} dt=\pi$$
注1:広義積分可能性については、何度かやったはずですね.
有限の端での広義積分であるなら、
積分 $\int_0\frac{dx}{x^s}$ $(0<s<1)$ の収束性、
無限区間なら、
$\int^\infty \frac{dx}{x^s}$ ($s>1$) の収束性
と比較するのが一般的です.
有限の端での広義積分であるなら、
積分 $\int_0\frac{dx}{x^s}$ $(0<s<1)$ の収束性、
無限区間なら、
$\int^\infty \frac{dx}{x^s}$ ($s>1$) の収束性
と比較するのが一般的です.
注2:後半の積分計算もそれほどできていませんでした.無理関数の中が2次式であるなら、三角関数、もしくは双曲線関数で置換するのが常套です.
問題-15-D
$f'(x)=-\frac{e^x x-e^x+1}{\left(e^x-1\right)^2}$ より、ロピタルの定理を用いて $f'(0)=-\frac{1}{2}$
$f''(x)=\frac{e^x \left(e^x x+x-2 e^x+2\right)}{\left(e^x-1\right)^3}$ より、再びロピタルの定理を用いて $f''(0)=\frac{1}{6}$ となる.
ゆえに、$y=f(x)$の$x=0$ での2次までのテイラー展開は、
$$1-\frac{x}{2}+\frac{x^2}{12}+o(x^2)$$
となる.
テイラー展開の公式に戻らなくても、以下のようにすることもできます.
(別解)
$\frac{1}{1+x}$ の級数展開を応用することで、$x=0$ の十分近くで関数を展開することで、
$$\frac{x}{e^x-1}=\frac{x}{x+\frac{x^2}{2!}+\frac{x^3}{3!}+\cdots}=\frac{1}{1+\frac{x}{2!}+\frac{x^2}{3!}+\cdots}$$
$$=1-(\frac{x}{2!}+\frac{x^2}{3!}+\cdots)+(\frac{x}{2!}+\frac{x^2}{3!}+\cdots)^2-\cdots$$
$$=1-\frac{x}{2}-\frac{x^2}{6}+\frac{x^2}{4}+o(x^2)$$
$$=1-\frac{x}{2}+\frac{x^2}{12}+o(x^2)$$
とできる.
ただし、
$$\frac{1}{1+x}=1-x+x^2-x^3+x^4+\cdots$$
なる級数展開を用いた.
$$\frac{1}{1+x}=1-x+x^2-x^3+x^4+\cdots$$
なる級数展開を用いた.
注 1:分母を展開してそのままの人や、テイラー展開の式に $e^x$ が残ってしまう人などがいました.
注2:多くの人は、微分を実行してロピタルの定理を使うまで合っていましたが、計算が最後までできた人はいませんでした.
注3:この、$o(x^2)$ などの項を残した展開は普段はテイラー展開とは呼ばないかもしれません.物の本には、漸近展開と書いてあるものもあります.テイラー展開は、剰余項を残したものとする言い方もあります.問題によって注意が必要です.今回は、剰余項を書いている人はいませんでした.剰余項についてはあまり演習をしなかったので、理解している人はいないだろうということで、上のような解答も正解にしています.
問題-15-E
ロピタルの定理を用いて、
$$\lim_{x\to 0} \, \frac{x-\sin x}{\sin x (1-\cos x)}=\lim_{x\to 0}\frac{1-\cos x}{\cos x-\cos^2x+\sin^2x}=\lim_{x\to 0}\frac{\sin x}{-\sin x-2\cos x(-\sin x)+2\sin x\cos x}$$
$$=-\lim_{x\to 0}\frac{1}{1-4\cos x}=\frac{1}{3}$$